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無対価合併の課税関係と税制改正のポイントを税理士が解説

相談LINE / 2018年12月6日 19時0分

無対価合併の課税関係と税制改正のポイントを税理士が解説

会社が合併をする場合、合併する会社を合併会社、合併される会社を被合併会社と言います。合併会社は被合併会社の株主に対し、被合併会社の資産負債を取得する対価として合併会社の株式を交付することが通例です。こうすることで、被合併会社の株主は合併会社の株主になります。
なお、合併会社にとってみれば、本来相当高額の価値がある被合併会社の資産負債について、それに見合うキャッシュを用意することなく株式で取得することができますから、キャッシュの節約という意味で大きな効果があります。
これが本来の合併の姿ですが、会社法では合併の対価として何も交付しない、無対価合併も認められています。

■無対価合併の課税関係

無対価合併についても合併である以上、法人税の取扱いは合併の税制によって規定されています。合併については、その合併の際被合併会社の資産負債の含み益に課税される非適格合併と、その課税がなく、非課税で合併できる適格合併に分かれます。このため、無対価合併についても、非適格合併と適格合併に分類されることとされています。

無対価合併については、従来は、合併会社と被合併会社の株主が同一人物で100%持っているような場合など、ごく一部の場合のみ適格合併とされていました。この理由は、無対価で合併できるとした場合、被合併会社の株主は合併後、合併会社の株主にならず、被合併会社の株式を贈与したのと、実質的には同じことになるからです。このような贈与を認めてしまうと、被合併会社の株主は資産を少なくすることが出来るため、相続税の節税につながる可能性があります。

このため、無対価合併については、敢えて合併会社が被合併会社の株主に、株式を交付しなくてもいいような場合に限って、法人税が非課税となる適格合併に該当するとされていたのです。被合併会社の株主と合併会社の株主が同一人物でその者が100%持っていれば、敢えて合併会社の株式を交付する必要はありません。

■平成30年度改正では

このような無対価合併の取扱いが、平成30年度の税制改正で改正されています。具体的には、複数の株主がいても、その株主の構成及びそれぞれの持株割合が被合併会社と合併会社であるようなケースも、適格合併に該当するとされています。

なお、合併の税務は非常に複雑ですので、詳細は専門家に確認してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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