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2020年4月から新しく創設される「配偶者居住権」という権利について解説

相談LINE / 2019年4月4日 19時0分

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2020年4月からスタートする改正民法により、配偶者居住権という新しい権利が創設されました。この配偶者居住権とは、配偶者相続人が、遺産である被相続人の所有不動産に居住していた場合、その不動産を使用収益することができる権利を言います。この配偶者居住権は、以下のいずれかの要件を満たす場合に、成立するとされています。

■配偶者居住権が成立となるための要件とは

1 遺産分割によって配偶者が配偶者居住権を取得する場合
2 配偶者居住権が遺贈の目的とされる場合
3 死因贈与により配偶者居住権を取得させる場合

配偶者居住権は、遺産分割などで配偶者以外に居宅が相続される場合には、被相続人と同居していた居宅から追い出されてしまう可能性があることを踏まえ、配偶者の権利保護として認められたものです。

■短期配偶者居住権

配偶者居住権には、配偶者短期居住権と、通常の配偶者居住権の二種類があります。配偶者短期居住権は、被相続人の遺産である建物に無償で居住していた配偶者に認められるもので、遺産分割協議などが終わるまで、暫定的に建物の無償使用する権利をいいます。

なお、ここでいう暫定的な期限ですが、原則として相続開始時から6月となります。

■問題になるのは財産評価

配偶者居住権は権利である以上、相続財産を構成することになります。となった場合、相続税の対象になり得ますので、相続税の計算上その評価方法が問題になります。平成31年度税制改正では、この評価方法について検討がなされており、以下のような評価になる模様です。

(1) 建物の配偶者居住権
建物の相続税評価額-建物所有権(2)

(2) 建物所有権
建物の相続税評価額×{(非事業用建物の耐用年数)-築年数-居住権の在籍年数}/{(非事業用建物の耐用年数)-築年数}×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

(3) 土地の配偶者居住権
土地の相続税評価額-土地所有権(4)

(4) 土地所有権
土地の相続税評価額×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

実際に評価する場合には、複利現価率など複雑な数字を使う必要もありますので、専門家に相談しましょう。

■その他の注意点

その他、以下のような取扱いも設けられる模様です。

1 土地の配偶者居住権については、小規模宅地等の特例の対象になる
2 配偶者短期居住権については、遺産分割時考慮されないため、相続税の評価はしない

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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