カタログギフトを創業記念品として従業員に支給する場合の課税関係を解説
相談LINE / 2019年4月12日 19時0分
会社の創業記念で、従業員に記念品を授与することがありますが、このような記念品も経済的価値がある以上は、現物給与として給与課税の対象になります。ただし、創業記念品はいろいろな会社で贈られているものですので、一律にお給料として税金を取られるのも、社会常識としてはおかしな話になります。
■創業記念品が現物給与として課税されないための3要件
このような点を踏まえ、以下の要件を満たす創業記念品については、現物給与として課税されることはないとされています。
(1) 支給する記念品が社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること。
(2) 記念品の処分見込価額による評価額が1万円(税抜き)以下であること。
(3) おおむね5年以上の間隔で支給するものであること。
■カタログギフトの場合はどうなるか
ところで、創業記念品として特定の品物を授与することに代えて、近年はカタログギフトを授与することもよくあるようです。上記に照らし、税抜1万円以下のカタログギフトであれば、現物給与に該当しないのではないか。このような質問をよく受けます。
これについては、原則としてカタログギフトで与える場合には、現物給与に該当するということを押さえてください。この理由は、授与される側にどの品物を選ぶか、選択の余地があるからです。選択の余地があるということは、お金を貰って自分で買いたいものを買うことと実態は変わりませんから、お給料として課税されるべきと結論付けられます。
何より、現物給与について一部給与に係る所得税を非課税としている理由の一つに、現物でもらった品物については、いくらの価値があるかよくわからないことが挙げられます。現物でもらわず、一定の予算の中で選ぶカタログギフトについては、この点からも、その取扱いにはそぐわないことになります。
■少量のカタログの場合は?
ところで、ある国税OB税理士の書籍をみますと、創業記念品と同じような取扱いがなされる永年勤続品について、男性は時計、女性は指輪のなかから選ぶようなカタログギフトについては、通常の現物給与と同様に、課税されないとして問題ないという解説があります。少ない品目であれば、選択の余地が少ないため、現物の支給と大差ないという判断のようです。
ただし、何をもって少ない品目と言えるのか、判断は明確ではありませんし、退官した後の見解ですので国税の取扱いとまでは言えないことから、原則カタログギフトの場合は対象外と考えておくべきでしょう。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
この記事に関連するニュース
-
【給与明細の理解度を先輩社会人に調査】 6割が給与明細を必ず確認するものの、正確に理解していない 「手取りと額面の違い」わからない4割弱 プロが解説!「給与明細の見方と確認すべき項目」
PR TIMES / 2024年4月19日 13時40分
-
日本人「就職しました」⇒国「おめでとう!所得税、もらうね」自治体「住民税も!」…“日本人の一生”に課される税金、エグいほどある【税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月11日 12時0分
-
たくさん納税してやっているだろう→1,000万円の追徴課税…税務調査官を“本気にさせた”60歳男性のNG対応【税理士が警告】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月31日 11時15分
-
「まかない付き」の飲食店で働いています。これってもしかして賃金の「現物支給」になるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月27日 11時10分
-
手つかずで遺された、女手一つで育ててくれた80代母への仕送り“総額2,000万円”。50代娘、涙も…税務調査官「追徴課税です」→「なんで?悔しい!」【指摘されない方法を税理士が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月26日 11時45分
ランキング
-
1いなば食品、大炎上でも「不買運動」が起きぬ理由 キリンはあれだけ盛り上がったが…どこに違いが?
東洋経済オンライン / 2024年4月23日 18時10分
-
2東京円一時1ドル154円87銭、34年ぶり円安水準を更新…経団連会長「円安過ぎる」
読売新聞 / 2024年4月23日 20時39分
-
3【要注意】自宅に「エコキュートの無料点検をします」と突然の来訪! 悪徳業者の「詐欺」の場合もあるの? 正規業者との見分け方や注意点を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月22日 5時0分
-
4リッチモンド、顧客満足度1位に「なっちゃう」神髄 目指さずとも…要因は"委ねる"から生まれる主体性
東洋経済オンライン / 2024年4月23日 10時30分
-
5毎朝スタバのコーヒーを飲む上司。コンビニの「100円」コーヒーを買う場合と比べ、年間でどれだけ多くの金額を払っているのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月22日 11時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください