世間を賑わす節税保険の販売禁止と早急に求められる保険税務の見直し

相談LINE / 2019年5月9日 19時0分

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近年、生命保険の税務においても大きな影響を及ばす節税保険について、その保険の販売を見合わせるというニュースが世間をにぎわせています。この節税保険は、保険税務の穴を突いたものので、定期保険に準じた取扱いとなり、その保険料の全額が経費になりますので大きな経費をつけることができます。

■国税の主張とは

一方で、この保険は経営者の退職金の確保という側面もあるため、退職金に充当できる多額の解約返戻金も支払われます。こうなると、定期保険を支払っているという実体よりも、解約返戻金を得るために資金を積み立てていると変わらないことから、保険料の全額を経費にするのはおかしいのではないか、といった主張が国税からなされたようです。

結果として、国税は今後通達を改正して、問題になっている保険のうち一定のものについて、保険料の全部又は一部を経費として制限すると見込まれています。なお、執筆時点の情報では、国税が問題視している保険は、ピーク時の「解約返戻(払戻)率」が50%を超える商品のようです。

■保険税務は通達で決まっている

ところで、保険の税務は全く法律には書いておらず、国税庁が決めた通達という内部文書で取扱いが定められています。このため、今回はこの通達を改正することで上記の保険を制限しようとしている訳ですが、本来はこのような改正は法律で行う必要があります。このため、現時点の取扱いは、法律的にはおかしなものです。

なお、通達を改正する場合、実務に影響がある所定の改正については、パブリックコメントを実施することが多く、この保険税務に関しても国税庁のホームページにおいてパブリックコメントが出されていますので、意見があればきちんと主張しましょう。

加えて、パブリックコメントにおいては通達の改正案が示されますから、内容はしっかりとチェックする必要があります。

■決算対策などにも影響がある

この通達の改正がいつからどのように適用されるのか、詳細は執筆時現在不明ですが、従来の保険については、決算前の節税として駆け込み的に使うことができました。しかし、販売がストップした現在、このような使い方はできなくなりますので、決算前の節税対策などについて、見直しが必要になります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ 税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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