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国税が問題視してきた小規模宅地の特例は2019年度の改正でどう変わる?

相談LINE / 2019年5月23日 19時0分

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相続税の計算上、被相続人が居住用として使っていた宅地や、事業用として使っていた宅地については、原則としてその評価額を80%減額させる特例の対象になります。この特例を小規模宅地の特例といいますが、近年国税がこの特例を問題視しています。
具体的には、小規模宅地の特例の問題点として、駆け込み的に使うことができることも問題視されています。具体的には、例えば被相続人が亡くなりそうな段階で事業の用に供した、という宅地についても、現行制度では小規模宅地の特例の適用になります。駆け込み的に使えると、安易な節税が増えますので、それを防止する必要があると言われています。


■2019年度改正の内容

この点を踏まえ、2019年度改正においては、被相続人が不動産貸付業以外の事業に使っていた宅地(「特定事業用宅地等」といいます)に関する小規模宅地の特例について、相続開始前3年以内に事業の用に供した宅地については、原則として小規模宅地の特例の範囲から除かれることになりました。この改正は、2019年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税に適用されるものの、同日前から事業の用に供されている宅地等については、適用対象外とされます。

なお、この規定には例外があり、3年内に事業の用に供したとしても、その宅地の上で事業の用に供されている償却資産の価額が当該宅地の相続時の価額の15%以上であれば適用対象とされます。

■会計検査院の問題意識はもっとある

ところで、小規模宅地の特例の問題点はもっとあります。この点、昨年末に会計検査院が指摘したことですが、この特例の趣旨と税法の規定内容に矛盾があると言われています。

具体的には、被相続人の居住用や事業用の宅地については相続人がそれを引き継いで再度居住用や事業用に使うことが通例であるため、高い相続税が課税されると困るという点を考慮してこの特例は認められていますが、相続開始から10ヶ月以内の申告期限まで持っていれば足りるため、申告期限後すぐに売却してもこの特例の対象になります。となると、引き継ぐという観点からは問題があると指摘されています。

この問題に関する改正は2019年度改正では行われていませんが、将来的な検討項目に挙げられていますので、今後必ず改正の対象になりますから注意が必要です。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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