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事前通知で指定される税務調査の対象期間。しかし実際は期間外の調査もある?

相談LINE / 2019年7月10日 19時0分

事前通知で指定される税務調査の対象期間。しかし実際は期間外の調査もある?

税務調査が実施される前、国税から予め税務調査を行うことや対象になる年分など、一定の事項が連絡されることになっています。そのうち、最も重要な連絡事項は、税務調査で確認される資料(帳簿書類)の範囲です。
仮に税務署から税務調査の事前の予告があった場合、この帳簿資料の範囲をよく聞いて、当日用意するべき資料を把握しておきましょう。

■対象となる年分以外の税務調査は実施できる?

ところで、税務調査の事前通知についてよく質問を受けることの一つに、予め連絡された税務調査の対象年分以上の年分を調査する場合の取扱いがあります。例えば、過去3年間調査しますと言われていたのに、実際に税務調査が進むと、4年前・5年前も確認したいなどということがよくありますが、あらかじめ連絡しているのにその連絡と矛盾するため違法ではないか。このような疑問があります。

この疑問に対する回答としては、違法ではありません。法律を読んでいただくと、予め連絡した年度以外の年度について、何かしらの問題が想定される場合には、連絡した以外の年度を調査することは当然にできると明記されているからです。このようにしないと、例えば連絡していない年度に脱税行為があっても国税は是正できないことになるからです。

なお、仮に連絡した以外の年度の調査を行う場合には、実務上は、再度調査の対象期間を増やすこと等を税務調査の対象者に連絡することになります。

■当然帳簿書類も確認できる

このことは帳簿資料についても同様です。予め連絡された帳簿資料についても、連絡した以外の年度のものも、当然に国税は確認できます。こういう訳で、連絡がなかったから見せません、という対応をすることは違法となります。このあたり、事前の連絡が国税に義務付けられているので、よほどのことがない限り、連絡があった資料以外の資料は確認できないという誤った指導をする専門家もいますので、注意してください。

とりわけ、税務調査で国税が確認できる事業用の資料を出さないことは刑事罰の対象にもなりますので、注意する必要があります。

■延期は可能

一方で、見せないという拒否はできませんが、事前の連絡がなかったので本日は用意しておりません、後日用意しますという延期は可能です。日を改めてもらえば、再度内容を検討することもできます。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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