「発達障害かも?」と思ったらどこに行けばいい? 当事者にきいた「病院選びテクニック」

日刊SPA! / 2019年2月20日 8時51分

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当事者ライターが教える「発達障害かも?」と思ったら読む実践ガイド【第1回】

 昨今、多くのメディアで取り上げられ、広く知られるようになってきた「発達障害」。しかし、いざ「自分も発達障害かもしれない」と感じて実際に対処をしようとすると、さまざまな困難にぶつかりやすいのが実情だ。

 例えば、意を決して精神科を予約し、診察を受けたものの「発達障害の傾向は見られるが、診断は出さない」と言われ、“モヤモヤ”しただけだったという人はかなり多い。また、うつ病や双極性障害、適応障害などのいわゆる「二次障害」が強く出ているために、それらの裏に隠れた発達障害を見過ごされてしまうこともある。

 さらに「誤診」を受けてしまう場合もあり、結果的に意味のない薬を飲み続けてしまうというケースもある。実際に筆者は発達障害の当事者であるが、診断がつくまでには一度「誤診」を受けており、苦しんだ薬の調整が徒労だったと知ってショックを受けた経験がある。特に、グレーゾーンといわれる、診断がおりるかおりないか微妙なラインにいる人々がぶつかる、診察をめぐるさまざまな困難さについては、着実な取材に基づいて著された姫野桂氏『発達障害グレーゾーン』に詳しい。

「発達障害かもしれない」と感じるからには、何らかの生きづらさや困り感があるのは間違いない。しかし、残念ながら病院がすべての生きづらさや困り感を解決してくれるわけではないと知っておくことは、重要かもしれない。「発達障害かも?」と疑って病院に行っても、医者とのやりとりに満足できず、“モヤモヤ”を抱えたまま帰路につくことになる人は多いのだ。

◆当事者の間では「精神科ガチャ」という言葉まで

 なぜそんな“モヤモヤ”は生じてしまうのだろうか――。その背景として、まず「発達障害をきちんと診られない医師」が実態としてはかなり多いという点が挙げられる。

 発達障害は比較的新しく見出された障害であり、日本の発達障害者支援法は2005年に施行されている。そもそも発達障害について教育課程で学んできていない医師も多いという。目の前の医師が診断基準の最新動向をフォローしているかどうかは、患者からすれば未知数なのだ。病院による診断の質のばらつきについては当事者たちの間でよく聞かれることで、「精神科ガチャ」といったスラングすらも出回っている。

 また、そもそも診療時間が短くなってしまう構造があるのも、“モヤモヤ”を強める要因だろう。精神科の収入を計算する「診療報酬点数」は、診察時間が「30分」を超えると診療点数が上がるように設定されている。そのため、いわゆる「5分診療」にしたほうが、1人あたりの報酬を下げずに“回転率”を上げられる。短時間の問診を積み重ねても、正しい診断は見定められない可能性がある。そこには制度上の課題があるのだ。

 それでも発達障害を専門と謳っている病院には今、予約が殺到している。待たされるうえ、診療時間が短くなる可能性が高い。

 ちなみに、発達障害の当事者たちはその生きづらさゆえに、うつ病などの二次障害を併発するケースが多いと言われている。「障害」と「疾病」は異なる。疾病は病院で解決する場合があるため、もし抑うつなどの症状が強く出ている場合は、発達障害について熟慮するより前に、まず近場の精神科や心療内科にかかることを勧めたい。後述するが、後からセカンドオピニオンなどを活用して発達障害の診断を受けることも可能だ。

◆当事者たちはどんな「病院選びテクニック」を持っている?

 では、そのような状況下で、自分が「発達障害かも?」と思ったらどんなアプローチをするべきなのか。筆者がこれまで当事者たちから見聞きした「病院選びテクニック」のパターンを紹介していこう。

パターン1 まず初めにカウンセリングへ。自分の困りごとや医療に求めることを整理し、安心して精神科へ

 上述したように、精神科は困りごとや生きづらさのすべてを解決してくれるわけではない。自分の困りごとや精神科に求めること、医療にかかる目的をカウンセラーとともに整理し、万全の状態で精神科に行くと、スムーズに診察を受けられることがある。カウンセラーから、適した病院を紹介してもらえるケースもある。

 カウンセリングは、病院に在勤しているカウンセラーか、民間のカウンセリングルームが一般的だが、大学が運営するカウンセリング室は社会人でも安価に利用できておトクだ。また、企業は福利厚生として匿名で受けられるカウンセリングを用意していることもあるという。会社員なら要確認だ。

パターン2 当事者会で情報収集。自分に合いそうな精神科を探し出して受診

 例えばADHD(注意欠陥・多動性障害)に処方されるコンサータという薬は、処方には特別な許可が必要で、処方できない精神科医も多いということは意外と知られていない。また、WAIS-Ⅲという心理検査を受けられない病院も多い。

コンサータ処方資格やWAIS-Ⅲの有無は、実際に診察を受けた人に話を聞くと手っ取り早い。当事者会やSNSなどで当事者の体験を集めてから精神科にかかるのは有効だ。その際、「発達障害に強いかどうか」という情報だけでなく、「診察室に圧迫感のない広さがあるか」「先生の声は高いか低いか」などのディティールを知り、自分自身に合う病院を選ぶのもいいだろう。

パターン3 セカンドオピニオンで発達障害の検査を受ける

 すでに精神科にかかっていても診断が出ずにモヤモヤしている場合、セカンドオピニオンが有用になるだろう。初診料、心理検査料、薬代で3万~4万円かかるケースもあるが、1割負担の「自立支援医療」を適用できる場合もある(主治医の許可のもと、事前申請が必要。心理検査には適用できない場合もある)。

 うつ病などの二次障害がある場合は、いつもの通院でケアをしながらセカンドオピニオンを受けられる。必ずしも、いきなり転院する必要はない。ちなみに当事者の中には、サードオピニオンを経験した人もいる。

パターン4 オンライン診療で、地方からでも都市部のクリニックを受診できる!

 まだまだ浸透しているとは言えないが、オンラインのビデオ通話で診察を受けられる仕組みがある。国も、オンライン診療の指針に関する検討会を設置するなど前向きだ。初診やWAIS-Ⅲなどは病院に足を運ばなければならないといった制約はあるが、住んでいる地域に良い病院がないといった理由で諦める必要はない時代が来つつある。

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 筆者も発達障害の当事者であり、日々さまざまな当事者たちと接したり、取材をしたりしている。私たちを取り巻くあれこれについての“ホントのところ”を、これから複数の記事にわたって伝えていきたいと思う。

<取材・文/えんどうこうた(@kotart90)>

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