レオパレスのオーナー会が語る不正実態にア然。「レオを潰す気か?」とオーナーの内輪モメも

日刊SPA! / 2019年2月23日 15時41分

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『ガイアの夜明け』放送以降、注目を浴びる三重県津市の“レオパレス銀座”。小さなエリアに、レオパレスのアパートが密集

 違法建築問題に揺れるレオパレス21が会社存亡の危機に瀕している。2月7日には全棟調査の結果、法令違反にあたる物件が1324棟あったと発表。改修工事を実施するため、最大で1万4443人の入居者に転居を要請することも明らかにした。その引っ越し費用は当然、レオパレス持ち。

「30年一括借り上げ」を謳い、サブリース契約で物件オーナーの家賃収入を保証してきたため、空室が増えようとも家賃の支払いは発生し続ける。莫大な修繕費と合わせて、経営を圧迫するのは必至だ。

 この問題が明るみに出たのは昨年5月29日のことだった。レオパレスは急遽、会見を開いて「建築基準法違反の“疑い”があるものが発見された」と発表。同日夜には『ガイアの夜明け』(テレビ東京)が、オーナーが実施した物件調査に密着し、違法建築の実態を明らかにする様子をスクープした。放送直前の会見には「スクープの先手を打つ狙いがあった」(不動産業界誌記者)とされている。

 同番組で明らかにされたのは、各住戸の間を区切る「界壁」の不備。建築基準法上、火災の延焼防止と遮音性確保のために、小屋裏(屋根と天井との間の空間)にも設置しなければならないが、レオパレスが建設した2棟のアパートには界壁が設置されていなかった。

 その後、同社が実施した全棟調査ではさらなる不備が明らかに……。自治体などには、外壁内部に断熱性・耐火性に優れたグラスウール(ガラスを綿状にしたもの)を用いると申請していたが、耐火性能に劣り、外壁への使用が認められていない発泡ウレタンを採用していたことが判明。天井部分に二重に張るべき部材が一枚張りになっていたり、遮音基準を満たしていない部材を界壁に使用していることも発覚した。

※2/27追記:発泡ウレタンが「耐火性能に劣り、外壁への使用が認められていない」というのは事実ではない、と日本ウレタン工業協会より指摘がありました。詳しくはウレタンフォーム工業会HPの「レオパレス21建築不正について」のページを参照ください。

◆会社ぐるみで違法建築を容認していた可能性も

 問題なのは、会社ぐるみで違法建築を容認していた可能性がある点だ。

「『ゴールドネイル』と『ニューゴールドネイル』というシリーズのアパートの9割に界壁がないことが発覚しています。しかし、このシリーズの物件の8割近くは、大幅な家賃減額と保証契約の解除を迫る社内で『終了プロジェクト』と呼ばれる戦略によって、すでにサブリース契約を解除されている。

ここには、収益性の低い物件をリストラするコスト削減と同時に、違法建築物件を切り離して隠蔽する狙いがあったと見ています」(前出の記者)

 問題発覚の契機となった物件調査を主導したレオパレスの物件オーナー組織「LPオーナー会」の前田和彦氏も次のように話す。

「レオパレスは会見で昨年3~4月に違法建築の疑いがあることを知ったと話していますが、’12年にサブリース契約を一方的に解除された兵庫県のオーナーが起こした訴訟で、界壁の不備が指摘されていました。和解に持ち込まれたため、違法建築の実態は表沙汰にならなかったのです。経営陣はこの時点で問題を認識していたと考えるのが普通でしょう」

 不備の発生原因についてレオパレスは、「現場の判断でやった」「作業を簡略化するためだった」と弁明したが、疑惑は深まるばかり。少なくとも、オーナーを裏切る行為を繰り返してきたのは間違いない。

◆プロパンガス工事費を丸々懐に入れてきた疑いも

「備え付けの家具・家電のメンテナンス用にオーナーは1部屋につき毎月2000円を積み立ててきたのですが、’10年には積立基金が突然『メンテナンス契約』に切り替えられました。オーナーの負担額は変わりありませんが、これによってレオパレスはオーナーの積立金を特約金名目で売上高に計上したのです。

それでいて、一向に家具・家電の修繕や交換をしてくれない。だから、私は165人のオーナーと契約不履行を訴える民事訴訟を’16年に起こしたのです。その翌年には、建物のメンテナンスに関する集団訴訟と、プロパンガス工事代金返還請求訴訟も起こしました。

本来、プロパンガス設備はオーナーの所有物で設置工事費をレオパレスに支払っているのですが、レオパレスは密かに特定のLPガス事業者と手を結んで、無償でガス設備を設置してもらっていたのです。事業者にしてみれば、安定的にガス料金が入ってくるので、設置コストは営業経費という扱いなのでしょう。

レオパレスは我々が負担した工事費を丸々懐に入れてきた疑いがあるのです」(前田氏)

 このほかにも30年保証を反故にして家賃減額を強引に迫ってきたレオパレスに、減額分の返金を求める訴訟が何度も起きている。

◆改修コストは1000棟で100億円か

 問題続出のレオパレスは事業を継続できるのだろうか? オーナー会の依頼を受け、全国30棟以上の物件調査に立ち会った一級建築士の纐纈(こうけつ)誠氏は次のように話す。

「小屋裏の界壁の設置、ないし改修には、部材を運び入れるために天井に大きな穴を開ける必要があります。この際、ユニットバスが接した部分は設備を取り外さないと施工できない。一度取り外して、また戻せばいいというものではなく、メーカーは設備が変形するリスクを懸念して、新品との交換を推奨しています。

そう考えると、ユニットバスだけで30万円程度かかり、界壁の部材費、施工費などを加えると、一部屋あたり100万円単位の改修コストが発生する可能性もある。

1棟10部屋で試算すると、1000棟で100億円。私が調査した物件のすべてにおいて、さまざまな不備が見つかっていることを考えれば、問題のある物件をゼロにするには、さらに改修コストが膨らんでいくでしょう」

◆不正を糾弾したオーナー会に「レオを潰す気か?」という“身内”からのクレームも

 東京商工リサーチの友田信男情報本部長によれば、「レオパレスには’18年12月時点で892億円の現預金があるが、改修コストが数百億単位で発生すれば、資金繰りが困難になりかねない。3月末時点の入居率が大幅に悪化するようなら、家賃負担の増大で倒産も現実味を帯びてくる可能性がある」とのこと。そのため、レオパレスの不正を明らかにしてきたLPオーナー会には、“身内”とも言えるオーナーから「おたくらはレオが潰れたら、どう責任を取ってくれるんだ!? という批判も多く寄せられている」(前田氏)という。

 仮に倒産しようものなら、改修コストはオーナー負担。昨年後半から「レオパレスのアパートと思われる物件が、かなりの安値で多数売り出されている」(不動産関係者)というから、手放したところで残債回収も難しい状況だ。一方で、レオパレスが生き残っても業績回復のために、家賃保証の減額圧力が強まるのは必至。全国2万7000人を数えるレオパレスオーナーが、さらなる負担を強いられるのは間違いなさそうだ。

▼「オーナー被害者の会」は国土交通省に対策を要請

前田氏が会長を務めるレオパレスのオーナー被害者の会は、2月12日に霞が関を訪問。国土交通省に対して、物件管理の厳格化や調査・修繕面での支援を要請した。同オーナー会は’17年から被害者が増えることを防止するために、国交省にレオパレスの建設業許可を取り消すよう請願書を提出してきた経緯がある

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/池垣 完(本誌) 写真/時事通信社

※週刊SPA!2月26日号「今週の顔」より

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