“令和初”夏の参院選、改憲勢力3分の2維持は?

日刊SPA! / 2019年5月9日 15時51分

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◆野党共闘で立民躍進は?

 新時代「令和」の到来を祝うお祭りムードのなか、空前絶後の超大型連休が終わった。フランスやイタリア、米国など計6か国を訪問した安倍晋三首相をはじめ、「物見遊山」ともつかない外遊に飛び立った13閣僚もGW後半に慌ただしく帰国したが、休みボケも束の間、今後は怒涛の政治日程が待ち受けている。

 5月26~28日には米国のトランプ大統領が来日し、6月に入ってからは日ロ首脳会談が、6月28~29日には大阪でG20首脳会合が控えているが、なかでも、もっとも安倍首相が気を揉んでいるのが7月に予定されている参院選だろう。4月に行われた統一地方選ではまずまずの結果を出したものの、衆院大阪12区と沖縄3区の補欠選挙では2連敗を喫し、党勢の立て直しを迫られているからだ。

 一方の野党も、連休前から共闘の動きが加速し始めた。立憲民主党の枝野幸男代表と共産党の志位和夫委員長らが会談し、参院選1人区の候補者調整をGW明けの早い段階で決着させたうえで、衆参W選を睨み、早期解散総選挙に備えて与野党が競り合っている衆院選挙区でも、野党候補一本化に向け協議することで合意。改選2人区の京都では、国民民主党が立民に譲るかたちで候補者擁立を取り下げる動きも出てきている。戦いを2か月後に控え、現状では与野党どちらが優位に立っているのか? 政治ジャーナリストの藤本順一氏が話す。

「安倍政権と自民党の支持率は、新元号発表を境にかなり上昇しています。これに対して立民は、かつて2ケタだった支持率が3~5%と大きく下落している。官邸による独自の情勢調査によれば、現状で55議席はいけるという結果も出たが、その後も支持率は上がっているので、これにさらに上積みされる可能性が高い。実は、この調査ではマックスで60議席という数字が弾き出されたが、これを公にすると緩みが生じてしまうので、敢えて少なめの数字を出しているほどです。

 これを考慮すれば現有67議席も視野に入ってくる。今後も、トランプ大統領の来日、日ロ首脳会談、G20首脳会合と、安倍政権による“メディア・ジャック”が続くので、これも有利に働くはず。与党は参院選前の通常国会では与野党の対決姿勢が鮮明になるような法案の提出は控える戦術を取っており、野党からすれば参院選で争点化できるような攻めどころがないのです」

 勝敗を左右するのは、野党がどれだけ足並みを揃えられるかにかかっているようだ。藤本氏が続ける。

「GW明けに1人区での候補者調整を進め、共産党を含めた統一名簿の作成まで漕ぎつければ、野党の躍進はある。だが、立民が統一名簿には否定的で、複数人区に複数候補を立てる構えを見せ、野党共闘には後ろ向きのまま。立民は前回衆院選の結果が基礎票と考えているが、当時は投票率が低調だったので、これが5%伸びれば“眠れる非自民・反アベ”票により自民を逆転する可能性が出てきます。

 問題は、立民と国民の対立で、民進党が分裂したときの遺恨が残る立民の福山幹事長がネックになっている。参院選は福山幹事長が仕切っており枝野代表も口出しできない。福山氏は参院立民で主導権を握るために参院選で国民を大きく引き離したい。その結果、野党共闘の話が悉く潰れてきたのです」

◆衆参W選挙の可能性は?

 一方、参院選を間近に控え、今も燻り続けているのが衆参W選挙の可能性だ。政治ジャーナリストの安積明子氏が話す。

「安倍首相の最側近と言われる萩生田自民党幹事長代行が、消費増税の先送りを示唆する発言をして物議を醸しましたが、あのとき、増税延期なら国民に信を問うべき、と話したことで、永田町では、安倍首相が6月30日投開票で衆参W選に打って出るという噂が駆け巡りました。

 官邸主導で観測気球を打ち上げたと見て選挙中に公約を掲げるという異常事態となりかけたように、この日程では準備が間に合わなくなる。ただ、W選なら、安倍首相の党内プレゼンスを盤石にするためだけの、大義なき選挙となってしまいますよ」

 今回、藤本氏と安積氏に加えて、記者ゼロの通信社として知られるJX通信社代表の米重克洋氏にも参院選の行方を占ってもらった。AIを駆使したデータ解析で、’17年の東京都議選で報道各社の情勢分析が軒並み外れるなか、都民ファーストの会躍進を予測したことで話題となったが、米重氏によると、今回の参院選は’16年の参院選と重なる部分が多いという。

<参院選の議席獲得見立て>

●改選

自民党    67

公明党    11

日本維新の会 9

立憲民主党  11

国民民主党  10

日本共産党  8

●政治ジャーナリスト・藤本順一氏

自民党    55~65

公明党    11~13

日本維新の会 6~8

立憲民主党  20~25

国民民主党  8~12

日本共産党  5~8

●政治ジャーナリスト・安積明子氏

自民党    54~58

公明党    13~14

日本維新の会 7~8

立憲民主党  21~22

国民民主党  12~15

日本共産党  6~8

●JX通信社代表・米重克洋氏

自民党    52~62

公明党    13~14

日本維新の会 6~8

立憲民主党  19~27

国民民主党  4~7

日本共産党  4~8

「今ある各党の支持率を見ると、’16年の参院選のときとかなり似通っている。前回は野党4党が32の1人区すべてに統一候補を立てて11人が当選し、自民はかなり取りこぼしています。前回の結果をベースにすると、変動要素としては消費増税の行方。変数としてもっとも大きいのは立民と国民の力関係がどうなるのかという点でしょう。

 立民の比例候補を見ると、左派色が強かったり、元社民党の地方議員がいたりで、社民や共産の比例票を奪いにきている。先の統一地方選の結果から明らかなのは、“組織は国民にあり、支持は立民にある”ということ。急ごしらえの立民は、組織が整備されていないため候補擁立も追いつかず、実力ほどの議席を取れないことが予想される。

 一方、旧民進党の支部を引き継いだ国民は、大選挙区や中選挙区が存在する参院選ではある程度議席を取れるはず。ただ、統一地方選のように、立民の半分の議席を取ることは難しく、野党間の争いは相対的に立民に有利となるが、野党全体としては伸び悩むでしょうね」

 与党に維新を加えた改憲勢力で3分の2をクリアできるのか? それとも、野党が大同団結でこれを阻むのか? 熱い戦いは始まっている。

<取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社>

※週刊SPA!5月7日発売号「今週の顔」より

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