昔のネットは文字だけだった…消えたテキストサイトの栄枯盛衰

日刊SPA! / 2019年7月24日 8時30分

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 インターネット黎明期、毒々しいまでに偏執的な活字の暴威でユーザーの心を掴んで離さなかったテキストサイト。ネットウオッチャーのおおつねまさふみ氏は次のように説明する。

「見た目だけで言えば、HTMLで作られたホームページに文章があるもので、フォントの大きさや色を変えて遊ぶというのが定番。ゲームレビューやアニメレビューを書いていた人たちが、’96年頃から同様のスタイルで、サブカル全盛時代の『宝島』を模倣したところから始まり、それを孫引きして生まれたのがテキストサイトだといわれています」

◆時代は短くも、ネットの源流をつくり上げた存在

 当時、テキストサイトからはネット上の流行ネタが次々と生み出され、確実にネットの面白さのコアを担っていた。

「役に立つとか何を買ったらいいといった実用的な情報がある中で、誰もが面白いと思うネタだけを純粋に追い求めていたという特徴があります」

 しかし、実質的なブームは約2年ほどで終わりを迎えてしまう。

「理由のひとつはネット環境の変化。’99~’00年のナローバンド時代、ダウンロードに丸1日を費やす画像を使うのは現実的ではないので、文字だけでいかに笑わせるかがテキストサイトの基本だった。ところが’03年に環境の変化によって普通に画像を出せるサイトがどんどん普及したことで時代にそぐわなくなってしまったのです」

 もうひとつの理由は、各サイトがマネタイズをし始めたことにあるとおおつね氏は言う。

「当時はネットでマネタイズという概念が嫌われていたので、カネの匂いがした途端に人気がなくなるということが多かった。バナー広告を入れたり、サイトの内容をまとめた書籍を出版するのも然り。バイトしながら音楽活動を続けていれば応援されるが、人気が出始めるとそっぽを向かれるのと同じです。本当に面白いから、好きだから書いているという管理人の気概が、読む側にとって安心材料になっていたのでしょう」

 しかし、テキストサイトの遺伝子は、現在のネット界にも受け継がれているようだ。

「文脈が共有できない人でも、とにかくインパクトのあるものを追求していくと、YouTuberやアメブロのブロガーなどに繫がるのでは。唯一異なるのは、完全に収益化がモチベーションになっているというところでしょうね」

 栄華は短くも、ネット上に鮮やかな爪痕を残したテキストサイト。懐かしのネットの足跡を振り返ろう。

◆テキストサイトの栄枯盛衰史

●1995~1996年
 いわゆるWeb日記と呼ばれる「日記リンクス」「日記猿人」「Readme! JAPAN」などが登場。「地下道入口」「雑文館」、そしてテキストサイトの第一世代と言われる「webやぎの目」(’96年)も開設された。

●1997~1998年
 元祖テキストサイト誕生。中でも「クソゲーハンター」「エープロンプト」などのゲーム系テキストが人気に。対極にはオシャレにサブカルを紹介する「コジャレ」系も登場。

●1999~2000年
 テキストサイトの形が出来上がる。「ろじっくぱらだいす」「一流ホームページ」などが開設。

●2001年
 テキストサイトブーム全盛期。「侍魂」「Numeri」「ちゆ12歳」など一大ムーブメントを起こすサイトが続々と登場。

●2002年
 面白いことを書くために話を盛る、人種差別的な内容の批判、「ろじぱら」が導入したWeb投げ銭などが批判を呼び「脳死」が猛威を振るう。

●2003年以降
 ネット環境の変化、SNSの登場でテキストサイトブーム終焉。

【おおつねまさふみ氏】炎上対策・リスク分析アドバイザー
MiTERU代表、システム管理者。最古参のネット有識者の一人として各媒体に寄稿する傍ら、ネットにまつわる社会問題、ネットリテラシーの重要性を各所で解説する

― 大追跡[テキストサイト]の消えた天才 ―

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