「俺を誰だと思ってるんだ!」シェフのパワハラで困惑する現場

日刊SPA! / 2019年7月29日 15時54分

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写真はイメージです(以下同じ)

 レストランで料理の味を左右するのはシェフの腕前であることは言うまでもない。だが味だけでなく、シェフ次第では、働く現場の空気も変わってくるとレストランのオーナーは言う。それによって、優秀な人材が辞めてしまうこともあるそうだ。

◆シェフの権限は絶対

「料理界ではシェフ(料理長)の権限は絶対な場合がほとんど。特に現在40歳以上は、先輩から『シェフがもっとも偉い』と仕込まれていることも多いため、絶大な権力を持っていると思い込んでいる。それが店にとって、大変な脅威となることがあります」

 そう語るのは、港区や目黒区、渋谷区など、都内に複数のレストランを持つオーナーの川口聡さん(仮名・51歳)。料理にこだわるシェフと、利益を出さなければならないオーナーが対立するのは、ありがちな図式だろう。

「客が少ないとオーナーに対して、不平や不満を口にします。でも満席になると『オレのおかげ』と自分の手柄として威張る。称賛することと給料をアップすることを常に要求してきて…」

 複数の店舗のシェフからこうした要求が繰り返される日々。川口さんのストレスは半端ないという。

「シェフだけの給料を上げるわけにもいかず、仕方なく食事を奢るという逃げに走ります。彼らはここぞとばかりに高級な料理やワインを注文します。そのくせ『ここの料理はまだまだだな』というエラそうな態度も取る。他の店のオーナーも僕と同じような愚痴を吐いています。ほんと憂鬱ですよ」

 あんまりな言い方にも感じるが…ともかく、この会社はシェフとオーナーの関係が最悪のようだ。
 
◆シェフがパワハラでマネージャーを退職に追い込む

「僕が新規オープンする店に、30代後半の女性のホールマネージャーを雇ったんです。キャリアもあるし、他の店舗から転職したため、お客さんも持っています。新規の店にとって、集客できるマネージャーは貴重。期待通りに女性マネージャーのおかげで満席が続き、口コミでさらに人気店になったんです」

 だがその女性に、シェフは過剰なほどすり寄っていったという。

「最初はマネージャーを褒めまくってから、閉店後に必ず食事に誘ったらしく。ところがマネージャーが2回目の誘いを断ると、翌日から彼女がお客様から聞いた注文を入れても、無視するという仕打ちをし始めたんです。『注文? 聞いてないよ』なんて言って、彼女の足を引っ張っていたと他のスタッフから聞きました」

 いい料理を作るために多少横暴になるのは理解できるが、これではただのパワハラだ。

「マネージャーは仕方なくシェフの食事の誘いを受けますが、だんだん『何のために頑張っているのか』とつらくなり、その後、店を辞めてしまいました。恥ずかしながら僕は、その時に初めて、彼女が受けた仕打ちを知ったんです」

◆「俺を誰だと思ってるんだ!」と一喝され

 集客できる有能なホールマネージャーに辞められるのは、店にとって大きな損失だ。川口さんは、やんわりとシェフに注意をしたそうだが…。

「『俺を誰だと思ってるんだ!』と一喝されました。また『こんな店辞めるぞ』とも。さすがに料理を作る人間にいきなり辞められるわけにはいかない。仕方なくこちらが折れましたね。業界ではシェフを制するのはオーナーという意見もあるのですが、こちらもお手上げです」

 だが川口さんは、「最近は、若手シェフが変革をもたらしている」と続ける。

「現在の30代料理人の多くは、40代以上の昭和型のわがままぶりに反発してきた世代なので、若い料理人が腕を振るう店は繁盛していますよ。激戦区の地域ほど、パワハラをやっている余裕などありませんからね」

 川口さんは現在、積極的に色々な店に出向き、そういった若手シェフを引き抜こうと奔走していると話す。どんな仕事でもそうだが、一見華々しい人気レストランのオーナーも、日々大変なのである。<取材・文/夏目かをる>

【夏目かをる】
コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪」

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