任天堂の決算から見えた「スイッチできないNintendo Switch Lite」の狙いとは?

日刊SPA! / 2019年8月4日 8時30分

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任天堂の意図は?

―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
 7月30日に、任天堂の第一四半期決算(2019年4月~6月)が発表されました。今回はそこで公表されたハード売上などのデータをザックリとチェックするとともに、9月20日に発売される「Nintendo Switch Lite(以下NS Lite)」の狙いを探っていきたいと思います。

「NS Lite」は、19980円(+税)とNintendo Switchよりも1万円安いものの、テレビに出力できず、また、コントローラも分離できない仕様で、「Nintendo Switchらしさをなくしたハード」「スイッチできないSwitch」などの声も挙がっています。任天堂の意図はどこにあるのでしょうか。

◆Nintendo Switch本体やソフトの売上は?

 まずは、4月~6月期のデータから見ていきましょう。Nintendo Switchの売上は世界で213万台(国内約3万4000台)となり、前年同期比13.2%増と勢いが続いています。世界累計販売数は3474万台となりました。

 ソフトも同じく好調で、任天堂タイトルの売上本数は2262万本(前年同期比25.9%増)。6月に発売された『スーパーマリオメーカー2』が世界242万本(国内52万本、海外190万本)と出足の良さを見せています。また、2017年4月発売の『マリオカート8 デラックス』が、この4月~6月にミリオン(国内17万本、海外103万本)を売り上げるという驚異のデータも発表されました。

 一方で、これまで携帯ゲーム機市場をリードしてきた3DSは、販売台数が世界20万台(前年同期比44.9%減)と減少。ソフトもほとんどラインナップされていない状況です。

 ここまでのデータから言えるのは、Nintendo Switchは発売から3年目に入ってもいまだに成長が続き、“成功ハード”の道を歩んでいるということ。その一方で2011年に発売された3DSは、ハード寿命が尽きつつあります。

 この状況を見るに、新型機「NS Lite」は、カンフル剤的なNintendo Switchの廉価版という位置づけではなく、3DSが果たしてきた役割を担うべく投入されたと考えるのがシンプルでしょう。

 これまで任天堂は、Nintendo Switchと3DSの住み分けに関して、「(3DSは)初めてゲーム専用機を手にされるお客様のため(のハード)」「Nintendo Switchは、数多くの親御さんにとってお子様全員分を短期間にお買い求めいただける価格ではありません」といったコメントをしています。この3DSの「初めてのゲーム体験の窓口」「家族・兄弟、全員分を揃えやすいハード」の役割を継ぐのが「NS Lite」と言えるでしょう。

 ただ、「NS Lite」が発売されることで、好調なNintendo Switchの勢いが削がれてしまうのは避けたい、と思うのは任天堂としては当然で、その結果、値段は安く、Nintendo Switchの邪魔をしない、主要コンセプトを犠牲にした「NS Lite」が生まれた……といったところではないでしょうか。

 また、『ポケットモンスター』本編シリーズの完全新作が11月にNintendo Switch向けにリリースされるのも、「NS Lite」投入の理由かもしれません。これまで『ポケットモンスター』本編は、携帯ゲーム機で展開されてきました。今回は3DSで発売されないため、ユーザーの負担を少しでも減らして、やや右肩下がりになっている『ポケットモンスター』本編の売上につなげたいという狙いもあると思われます。

 現状は、「Nintendo Switchの下位モデル」といったイメージが先行している「NS Lite」ですが、約295gと軽量になり、持ち運びやすくなったメリットを活かして、3DSの「すれちがい通信」のような「NS Lite」が輝く遊びが生まれてくるのを期待します。

【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲームの紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。著作には『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)がある。ウェブサイト「ディファレンス エンジン」
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