N国・立花党首はなぜマツコを標的にしたのか? 上杉隆幹事長が明かす裏側

日刊SPA! / 2019年8月21日 15時51分

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上杉隆氏

 タレントのマツコ・デラックスさんが、TOKYO MXの『5時に夢中!』で、国政政党「NHKから国民を守る党」について「今のままじゃね、ただキモチ悪い人たち」などと発言したことを受け、N国党の党首を務める立花孝志参院議員が、生放送中にテレビ局に乗り込んだことが大きな物議を醸している。

 この日、TOKYO MXに駆けつけた立花氏は、マイク片手に「公共電波を使った政治介入」と痛烈批判。放送終了後も1時間ほどマツコさんを「出待ち」したものの直談判が叶わなかったため、詰めかけた報道陣を前に「もし来週、マツコさんが(番組に)出るようだったら、また来ます」と“長期戦”を宣言した……。

 先の参院選で一大旋風を巻き起こして以降、連日多くのメディアを賑わせているN国党だが、ここまで、よくも悪くも立花氏によるサプライズな「炎上戦略」が奏功していると言っても差し支えないだろう。北方領土を巡る「戦争発言」で糾弾決議を受けた丸山穂高衆院議員を“一本釣り”でN国党入りさせたのを皮切りに、みんなの党の「創業者」であった渡辺喜美元行革担当相を引き込むかたちで統一会派を結成。

 そして、極めつきのサプライズが、ジャーナリストとして活躍後、’16年の都知事選や今年の中央区長選にも出馬経験のある上杉隆氏の党幹事長職への抜擢だ。果たして、N国党はどこに向かっていくのか? 今回、憲政史上初めて国政政党の要である幹事長職に「民間人」として起用された上杉氏を直撃した。

◆近い将来NHKが吹っ飛ぶような「爆弾」を炸裂させます

――立花党首から声がかかったのはどういう経緯からか。

上杉:そもそも、立花党首との繫がりは16年前まで遡ります。私は「NHK問題」が社会でクローズアップされるずっと以前から、ジャーナリストとしてこの問題に取り組んできました。当時、強権的な経営で拡大路線をひた走っていた「エビジョンイル」こと、海老沢勝二元会長にも直撃インタビューを試みましたが、予算の国会承認が必要なこともあり、NHKが政治との距離が近すぎて、きちんとした報道ができなくなっているのではないか? という疑義を『文藝春秋』などの雑誌で追及していたのです。

立花党首は、そんなNHKで独裁体制を敷いていた海老沢会長の経理担当の側近として「裏金」を担当していたが、義憤に駆られた彼は「内部告発」を行い、結果、NHKを追われることになった……。

 今、彼は「NHKをぶっ壊す!」と言っていますが、私には「本来あるべき姿に戻ってほしい」という彼の“NHK愛”にしか感じられません。私自身もNHKが健全に機能するようになったらその放送文化は社会に資すると考えており、そこは完全に一致している。ちなみに、私はちゃんと受信料を払ってますが……。

 受益者負担の原則に則った放送の「スクランブル化」は私の改革案の一つでもあるが、NHKがお手本としている英国公共放送BBCは、一部民営化を進めるなど改革を行っており、政治の圧力がかからないような仕組みをつくり上げた。ワンフレーズだけでなく、いろいろなアプローチでNHK改革は十分可能だと思っている。

――幹事長のもっとも重要な仕事は「党勢拡大」に努めることだが、すでに、丸山、渡辺両議員を取り込むなど勢いづいている。

上杉:N国入りを要請する「12人の議員リスト」が話題になりましたが、あれを作ったのは私です。リストは当然、極秘扱いですが、ある日、リストにあった議員から私に「テレビで自分の名前が出ているがどうなっているんだ!」と電話が入った。

 誰が漏らしたんだ?と驚いてテレビをつけたら、立花氏がリスト片手に生解説していました……。ただ、何も隠そうとしない彼のイノセントでフルオープンな姿勢は、永田町ではある意味「強み」になると思っています。

彼と私が渡辺喜美参院議員に会ってN国党への合流を打診したときも、渡辺氏と僕の2人が戦後レジームについて延々と議論を交わし盛り上がったところで、渡辺氏が『で、キミはどうなんだ?』と立花氏に話を振ると、「20分間ずっと2人の話を聞いてましたが、正直一文字もわかりませんでした」と答えた(苦笑)。合流話は物別れになりそうになったのですが、最後は渡辺氏が「これまで多くの人に会ったが、あなたほど正直な人はいない」と信頼関係が生まれたのです。

――「バカ正直」ということか?

上杉:8月15日に行われた全国戦没者追悼式も私と2人で参加することになっていたのですが、立花氏は「今日は僕、誕生日なんでお休みします」と式には出ず、後に靖国神社で落ち合ったときにはカノジョと手を繫いで現れた。しかも、初めて訪れたという靖国での第一声は「神社というよりお寺っぽい。お寺のほうがいいんじゃないの……」。

 一見すると不遜な振る舞いと受け取られかねませんが、思ったことは包み隠さず話し、何でもフルオープンにしてしまう人なのです。政治資金についてもすべてユーチューブで公開しており、これに引っ張られて、丸山議員は議員特権の使い放題航空券を、僕はN国党とのコンサルタント契約をフルオープンで出しています(笑)。

◆マツコ番組襲撃騒動の裏側

――ただ、思ったことを直情的に行う姿勢は、時としてトラブルに発展する。マツコさんの番組襲撃騒動には批判的な声が上がっている。

上杉:立花党首に対して反論する機会を与えずに批判を加えたのは、東国原英夫元衆院議員や文筆家の古谷経衡さんで、当初は彼らがターゲットだった。ところが、立花党首がユーチューブで各々に反論したところ、一番PVが伸びたのがマツコさんだったため「標的」となった。彼がMXに抗議に行った件は、多くのメディアが報じたが、これは計算のうち。

 その後、番組スポンサーの崎陽軒のシウマイを買わないと宣言し、メジャーリーガーのダルビッシュ選手まで巻き込む騒動に発展しているが、おかげで立花党首の名が連日メディアで流されることになった。

――イノセントな人柄と戦略的な思考を使い分けているということか。

上杉:メンタリストのDaiGoさんが立花氏を「手腕が一線級の政治家」と高く評したことが話題になっていますが、これまでの選挙戦略を見ても、立花氏は時代の先を読める「深謀遠慮」の政治家と言っていい。

 ただ、今起きているムーブメントに関して、私は“日本版トランプ現象”だと思っています。’16年の米大統領選で、トランプ選対のスティーブ・バノンのヘッドクォーターに入り、もっとも間近で見てきた私からすれば、このムーブメントは世界的な潮流である“保守革命”にほかならず、日本という国と政治を変えるまたとないチャンスなのです。これこそが幹事長職を受けた唯一にして最大の理由です。

 N国党はれいわ新選組と同じアングルで論評されているが、左翼リベラル政党は左にしかウィングを広げられず、パイが小さいので限界がある。一方、保守は立花代表が参院選でやってみせたように、さまざまな層を取り込むことができるのです。

 ただし、極右はラジカルで彼が目指す国民政党にそぐわない。参院選前、N国党は5人の所属地方議員を「選挙資金を支払う意志がない」として除名したがあれは口実に過ぎません。イデオロギーで排除すると揉めますが、カネの問題で縁を切れば角が立たないため、立花氏は先々を見越して極右の党員を排除したわけです。

 今後、国会でもいろいろなことを仕掛けていこうと考えています。NHKが吹っ飛ぶような爆弾も持っていますから……。

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 8月17~18日に共同通信が行った世論調査によると、N国党の支持率は0.3ポイント増の1.3%。2.1ポイント増やしたれいわ新選組(4.3%)が際立っているものの、1.4%の国民民主党に並ぶ勢いは維持している。N国の勢いはどこまで続くのか? バッジを着けていない新幹事長の手腕を見極めたい。

取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社
※週刊SPA!8月20日発売号「今週の顔」より

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