バイトAKBからラーメン店主に。麺匠八雲・まゆか店長「批判もされました」

日刊SPA! / 2019年9月25日 8時30分

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毎朝の仕込みとタレ作りは梅澤さん自身で行う。

―[麺すすり子のラーメン巡礼]―

 こんにちは。ほぼ毎日ラーメンを食べる会社員、麺すすり子です。

 今回は前回に引き続き、東京都・堀切菖蒲園駅にある『麺匠 八雲』をご紹介いたします。店主のまゆか店長こと、梅澤愛優香さん直撃インタビュー!バイトAKB(アルバイト雇用のAKB48メンバー)からラーメン店主という異色の経歴をもつまゆか店長。なんとすすり子と同い年なのです…!

 学生時代のすすり子、ラーメン屋さんのアルバイトで、鶏ガラの入った重い寸胴を持ち上げることができませんでした…。そんな大変な面も多いラーメン屋さん。店主を務める同い年のまゆか店長に興味しかありません。彼女により迫るべく、すすり子が気になること、ぜんぶまるっと聞いちゃいました!

◆元アイドルがラーメン屋を開いた

――まずはじめに、ラーメン店をオープンするに至った経緯を教えて下さい。

梅澤愛優香(以下、梅澤):元々ラーメンが好きで、高校時代に食べ歩きをしていたんです。そのうち自分でラーメンを作りたくなって、アイドル活動を始めた頃からは、ネットや本で調べたり、お店に訪問したりして試作をはじめました。そのうち、徐々に自分のお店を持ちたいという気持ちが強くなって、オープンを決めました。

――高校の頃から食べ歩きをしていたんですね。

梅澤:はい。私の高校は神奈川の藤沢にあったのですが、いろいろなラーメン屋さんがあったので飽きなかったです。

――元々料理をすることは好きだったんですか?

梅澤:昔から好きでした。高校の頃も、調理系の部活動に入っていました。

――アイドル時代には、訪問したお店の“研究ノート”を付けていたそうですね。

梅澤:味や材料を書き留めたノートを書いていました。最初は趣味で始めていたのですが、だんだんとハマっていって、お店の見た目とか、煮込む時間とか、具材を切る幅とかもチェックするようになりました。自身のお店を意識し始めたのはこの頃だと思います。

――食べ歩いている時に見つけた具材を、今も使ってたりするんですか?

梅澤:あります!具材は常に出先や旅行へ行った際、市場や気になる材料の生産者さんに会いに行ったりと何処へ行っても材料を探そうとする意識は持っています、また何種類かはアイドル時代に出会った具材を今でも使っています。

◆「自分の可能性を知りたかった」アイドルを辞めた理由とは

――どうしてアイドルの道に進もうと思ったんですか?

梅澤:一度芸能の世界に入ってみたいなという気持ちがあったんです。それで中学時代からずっとテレビにAKB48が出ていて、そのすがたが憧れだったので進もうとしました。

――ちなみに推しメンは……。

梅澤:麻里子さま(篠田麻里子)と、珠理奈さん(SKE48・松井珠理奈)です。何度か劇場で会いましたけど、オーラが凄くて見れなかったです……(笑)

――アイドル友達は、梅澤さんがラーメン好きって知ってたんですか?

梅澤:友達にはラーメンの話をよくしていたし、食べ歩きに誘っていたりしてたのでラーメン好きというイメージはあったと思います。実際にラーメン屋さんでのPRのお仕事とかも呼んでもらったりと。最後に劇場公演をした時には、ラーメン(麺)をすするポーズをしました。

――ラーメン好きが高じて、店主へと転身されましたが、ラーメンアイドルとして活動を続けるという選択肢はなかったのでしょうか

梅澤:食べたラーメンを発信するよりも作ることが好きだったのと、やっぱり一番に自分の作ったラーメンを沢山の人に食べてほしくて。

――(ラーメン店での)修行とかも考えなかったんですか?

梅澤:自分の可能性を知りたかったのと、様々なラーメン作りがあるなか片寄った知恵は入れずにやりたかったので修行は考えませんでした。

◆批判から応援へ……。開店二年目にみる、環境の変化

――1店舗目の開店資金はいくらぐらいかかったんですか?また資金はどうやって準備しましたか?

梅澤:開店資金は物件取得から簡単な内装工事、中古のコンロや冷蔵庫類の什器、営業許可の申請など全てで300万円ほどかかりました。最初は物価とか全くわからずでしたが、大和店付近は都心部から離れてるので安価のようです。
 あと、よく資金についても「出資者がいるんじゃないか」などと言われますが、私が小さい頃からもらってたお年玉やお小遣いを母が貯めてくれていたり、自分で働いた資金など合わせて全部自分で払いました、それにもちろん名義も全て私ですし……(笑)。そんなのあったら後で絶対揉めそうなので嫌ですよね。

 あと私自身ブランド物などの高価な物への欲がないのと、全体的に節約してるからお金が貯められるのかなって思います。

――開店するにあたって、苦労はありましたか。

梅澤:ラーメン屋をするにしても入り口が元アイドルだったので、色眼鏡で見られてしまうことが最初は悲しかったです。SNSで批判されたり、来店された方に横柄な態度を取られたり、一年以内に潰れると言われたりなど……。他にも「私がラーメンを作っていないんじゃないか」とかも言われたりして。

 ただ最近は、批判や中傷がある事が注目されてる証拠だと逆に力になっていますし、それ以上に応援してくれる方が一気に増えたのが素直に心の支えになっています。日々新しいお客さんもいらっしゃいますが、もちろん常連さんも増えました。また常連さんが職場の仲間を連れて来てくれたり、親子で来てくれたり。口コミが広がってきたなと感じています。「アイドルのお店だから」といった偏見はかなり少なくなりました。

――周りの視線が変わってきているんですね。

梅澤:はい、あと親も応援的になってきた気がします。もともと、お店を開くときには賛成してくれたんですけど、「やるなら家族を巻き込まず自分一人の力でやりなさい」というのが条件でした。なので最初の方はお店のことを聞かれたり、ラーメンを食べに来ることもなかったんです。

 でも、最近では月イチで親が食べに来てくれるようになったんです。もしかしたら、少しでも私がやってる事を認めてくれはじめたのかなって思っています。

――周りの視線が変わった中で、ご自身の視点が変わったと思うことはありますか。

梅澤:んー、なんだろう……。前はすごい必死だった気がします。開店当初はお店を続けることで精一杯だったけど、最近は気持ち的にとても余裕を持てるぐらいになりましたし、行動や考えにも落ち着きがでてきたと思います。今月(2019年9月23日)で1店舗目が2年目を迎えたこともあり、自分としても軌道に乗り始めた実感があります。

 最初の方は味に疑問を感じたら直ぐに徹夜で改良したりしてたんですけど、最近はそういうこともないぐらいに自分の味に自信を持てるまでになりました。

◆「懐かしさを感じる味」を追求して

――梅澤さんからみた、八雲のラーメンの強みを教えてください。

梅澤:一回食べたら満足するような味ではなく、毎日楽しんでもらえるような味を目指してます。味噌だと、バターや辛味噌など、様々な味付けで楽しんでもらえるベースになっています。あと、どんぶりにもこだわっていて。味噌は冷めやすいので、底に行くにつれて熱さが持つ美濃焼のどんぶりを、逆に塩と醤油は味噌よりも水質が多い為、熱が逃げづらいので器の層が薄めのどんぶりを使って、温度バランスを取っています。

――味は梅澤さん一人で管理しているそうですね。

梅澤:スープのみお店で従業員さんにも作ってもらっていますが、タレと製麺は完璧に秘伝です。いまでもレシピを細かく改良するくらいこだわっているので、ここだけは教えたくないし、自分がやる、という気持ちでいます。

――仕込みは何時くらいからやっているんですか?

梅澤:朝4時くらいからです。毎朝、湿度や天気を調べて、その日にベストな状態で味づくりを目指しています。

――朝4時ですか……。営業日はかなり忙しそうですけど、休日はどうやって過ごしているんですか?

梅澤:定休日が週一回あるんですけど、がっつりオフしています(笑)ディズニーに行ったり温泉にいったり。もちろんラーメンの食べ歩きもしたりとリフレッシュできるときにして、また次の日の活力にしています。

◆職人としてのプライドに、すすり子感涙

――ご自身のラーメン店主としてのやりがいを教えてください。

梅澤:お客さんから「美味しかった」「また来るね」と言ってもらえたときが一番うれしいです。営業時間中は接客をしているので、常連さんが来てくれたりすると嬉しいですし安心しますね。

――これから更にステップアップするなかで、八雲が目指している目標などはありますか。

梅沢:地域に密着しているお店、というスタンスは変わらず続けていきます。あまり店舗を一気に増やすとかは考えていなくて、増やすとしても自分の手の届く範囲であることと、お店を任せる方との信頼関係を持てるかを重要視して狭く深く地道にやりたいと思っています。

――読者につたえたいことなどあれば、お聞かせください。

梅澤:これからも多くのお客さんに愛されるように、力を抜かず頑張っているので、まずは興味本位からでもいいので足を運んでくれたら嬉しいです。

 またお越し頂いたらまずは味噌ラーメン、その後でいろいろなメニューを食べ比べてみてほしいです。サイドメニューももちろん、一切手を抜いていないので、いろんな味を食べて、そこから好みの組み合わせを探してくれればと思います。

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 まゆか店長にインタビューをして感じたこと、それは「職人だな。」ということです。職人である人に対して、いまさら私が「職人だな」なんて言うことはすごく失礼かもしれません。もしかすると、それは私からの「同い年の女の子」という色眼鏡があっての言葉なのかもしれません。

 だけど、私は、梅澤愛優香さんという1人の職人さんを前に圧倒されました。これはすすり子の思う、紛れもない事実です。

 自分のやりたいことに対して、プライドをもち、本気で向き合っている姿に、ただただ尊敬の念を抱きました。そして、同い年の子がこんなに頑張ってるんだ!って背中を押されました。

 まゆか店長が作るラーメンがおいしいのは、かわいい女の子の手作りだからではなく、努力と苦労を惜しまなかったからです。そんなまゆか店長という職人さんが作るラーメンが、これからもめちゃくちゃに楽しみです!

 ごちそうさまです!

【梅澤 愛優香さん】
1996年10月20日生まれ。バイトAKBを経て2017年20歳の頃に「麺匠八雲」を開業し、現在4店舗を運営中。公式Twitter:@MAYUKA_YAGUMO

<TEXT/麺すすり子>

【麺すすり子】
ほぼ毎日ラーメンを食べる会社員。豚骨ベースの鹿児島ラーメンで育ち、18歳で上京してラーメンの幅広さと奥深さに取り憑かれる

―[麺すすり子のラーメン巡礼]―

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