デザインイメージは黒豆!? 「ヴィッツ改めヤリス」がイマドキ日本で世界初公開された理由

日刊SPA! / 2019年10月19日 8時51分

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―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

 トヨタの「ヴィッツ改めヤリス」のワールドプレミア(世界初公開)が、10月15日、ニッポン(お台場メガウェブ)で行われた。これは大変珍しいことで、ニッポンの自動車メディア業界は、軽いお祭り騒ぎになった。

◆なんで、わざわざ日本で世界初披露?

 ボンクラ諸君は、「国産車なんだからニッポンで初公開するのはアタリマエだべ?」と思うでしょうが、近年の日本市場の販売低迷と、自動車のグローバル化の進展によって、グローバルモデルのワールドプレミアは、ほとんど海外で行われるようになっていた。日本で初公開されるのは、軽自動車やミニバンなどの日本専用モデルだけというのが現実だ。

 そんななか、ヤリスのワールドプレミアが地元・ニッポンで行われたのはなぜなのか。

 実はヤリスのワールドプレミアは、ほぼ同時にオランダでも行われていた。これは、ヤリス(とヴィッツ)が、日本とヨーロッパだけで全体の9割も売れるという、特殊なモデルだからだろう。

 世界中でクルマのサイズが肥大化し、ヤリスのような小型車は、徐々にマイナーな存在になりつつある。もともとアメリカでは小さすぎてあまり売れなかったが、かつて小型車が売れていた中国でも、経済成長に従って急激にクルマが大型化し、いまやこんな小さいクルマは売れない。新興国も同様の傾向にある。みんなデカいクルマに乗って見栄を張りたいんだよ!

 日本じゃ軽自動車の天下だけど、そんなの日本だけ! 外国人観光客が日本に来ると、走ってるクルマがちっちゃいのばっかりでビビるというが、まさにガラパゴスだ(いい意味で)。

 ということで、伝統的に小型車の需要が根強いヨーロッパと日本とに、ヤリス(とヴィッツ)の販売は片寄っていったのでした。

 ヤリス(とヴィッツ)は、日本でも常に販売台数上位に来る量販車種だが、実は昨年の販売台数を見ると、日本は8万7000台。対するヨーロッパは21万9000台! ヨーロッパのほうが2倍以上多かった。車名がヴィッツから海外名のヤリスに統一されたのも、ヨーロッパ市場がメインのクルマだからってのはあるだろう。トヨタ様は、「新しい車名で新しいスタートを切るため」と言ってますが……。

◆日本じゃヤリスギ感満点に感じるヤリスのデザイン

 で、実物のヤリスの第一印象はどうだったかと申しますと、正直なところ、「ちょっとヤリスギじゃ?」でした。

 フロントおよびリヤウィンドウはガバッと寝かされ、サイドウィンドウも屋根に向かって大きく傾いていている。居住空間の上部がキュッと絞られた、非常にスポーティなフォルムだ。顔つきもバクッとエラが張っていて、かなり攻撃的。後ろ姿は、足元のタイヤがグワワと踏ん張っているイメージだ。全体としては「スープラのコンパクトカー版」とでも申しましょうか。

 こういうフォルムだと、当然室内は狭く感じる。ヨーロッパでアピールするには悪くないが、真四角なクルマ全盛の日本でこれはキツイ。

 トヨタ様によると、こういう形にしたのは、「日本には四角いクルマはたくさんあるので、ヤリスは独自の存在感で勝負したかった」「デザインイメージは黒豆」とのこと。しかしここまでスポーティだと、やっぱ日本じゃヤリスギってことになるでしょうね……。

 このカタチを見れば、車名をヤリスに統一したのも自然に思える。ヴィッツのつもりで買いに来た日本のユーザーは、「えっ、こんなのヴィッツじゃないわ~!」と思いそうなので。レンタカーでたまたまヤリスが当たっても、「中が狭いから軽にしてくれ」って苦情が出るかも。

◆見た目はともかく、走りには期待大!

 一方走りは、断然良くなっているはずだ。

 まず、ボディの骨格たるプラットフォームが違う。現行ヴィッツはなにもかもがペナペナで安物感満点だけど、新型ヤリスは、プリウスやカローラにも採用された「TNGA」のコンパクトカー向けバージョンが導入される。プリウスもカローラも、先代とは比較にならないほどしっかりしたクルマになったので、ヤリスも当然そうなってるはず。

 ハイブリッドとガソリン車に搭載される1.5リッターエンジンは、従来の4気筒から3気筒に変更され、燃費が大幅に向上。高性能な自動ブレーキやACC(前車追従型クルーズコントロール)も全車標準装備! ヤリス(旧ヴィッツ)がここまでヤルか! 

 ここまでヤルからにはお値段もかなり上がるでしょうが、発売は来年2月からであります。

取材・文/清水草一

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

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