シニア求人、10~20年後の未来予測。どんな仕事がある?

日刊SPA! / 2019年10月24日 8時30分

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 シニア人材の活用が注目されるなか、「定年後も働く時代」との考えが広まりつつある。今の現役世代がシニアと呼ばれる頃、はたしてどんな仕事があるのか。また、そのために何をすべきなのかを真面目に考えてみようーー。

◆80代も働く時代に、現役世代は何をするべきか

「人生100年時代」「70歳定年」と叫ばれて久しい昨今、シニア人材市場が賑わっている。マクドナルドやローソンがシニアバイトを積極的に採用し始める一方で、人材派遣会社・パソナが60歳以上の人材を「エルダーシャイン(社員)」として大量採用。大企業が率先し、シニア獲得を進める現状に対し、人材育成コンサルティング企業代表の前川孝雄氏はこう語る。

「少子高齢化による人材不足を補うため、シニア層の活用は各社の企業課題になっています。現在、高齢者雇用安定法では65歳までの継続雇用が企業に義務付けられていますが、今年、政府は今後この法律を70歳まで延長する方針だと発表。シニアが働く時代に突入したと言えます」

 では、シニア向けにどんな仕事が生まれつつあるのか。1000人以上の登録者を持つシニア人材派遣会社・高齢社の代表取締役社長である緒形憲氏に聞いた。

「傾向としては、土日や深夜早朝勤務など若い人が負担と思う業務を、シニアが代わって働くケースが多くなっている。最近増えているのはレンタカーの受付。早朝などの要員として、シニア層が求められています。あとは、家電修理などの訪問時に、駐車違反対策のため運転席で待機する家電修理サービス補助。負担が少なく、高齢者も活躍できます」

 シニア人材の需要が増えるなか、「10~20年後の日本社会では、“シニアも働かざるを得ない時代”になる」と前川氏は続ける。

「今の40代前後は非正規雇用が多い。さらに年金も少ないので、生活費を補塡するためには、働くしかありません。70代どころか、80代まで働く可能性も高いです」

 さらに、自らも70代ながら、シニア人材を束ね、コンサル会社を経営する中原千明氏もこう語る。

「いまのシニアが働かずに暮らせるのは、高額な年金と退職金のおかげです。現在の中年世代がシニアになる頃には、生涯働くのが一般的になり、『定年』『シニア』という概念はなくなるでしょう」

◆10~20年後の未来に需要が高まる職業は?

 一生働くなら、いまから将来に備えたい。10~20年後、シニアにはどんな仕事があるのだろうか。

「高齢化が進んで、あらゆる産業でシニア消費が高まり、シニアが接客を担当することが増えるはず。特に営業職や販売員、意外なところではホストなど、新たな活躍の場が生まれるのでは」(前川氏)

 さらに、AIやロボットの発展で、参入可能な仕事もあるという。

「体力が必要な介護や飲食などは、従来シニアは参加しづらいと考えられていました。でも、AIやロボットなどの活用で、肉体への負担が軽減されれば、シニアでも従事することが可能です」(中原氏)

 また、今後は国内外でよりグローバル化も進んでいく傾向に。

「今後は訪日外国人も増えるはずなので、駐在経験者などは、観光ガイドや日本語学校スタッフなどでも活躍できる可能性も」(同)

 そして、中小企業の後継者不足が深刻化するなか、おすすめなのが、「会社社長」だという。

「事業承継のマッチングサービスも成長しつつあるので、それらを利用するのも手です」(前川氏)

 多様な選択肢があるなか、シニアになっても働き続けるため、必要なスキルや心構えはあるのか。

「まずは人脈です。多くのシニア求人は口コミで広まります。同窓会で旧交を温めたり、SNSを通じて知人を増やすなど、いまから人脈構築を心がけて」(中原氏)

「中小企業は人材不足で、いまでも70代が活躍しています。50代で中小に転職し、先に居場所を確保するのも得策。あと、若い人と積極的に関わることも大切です。彼らの価値観を知って感覚を共有できれば、上司となる下の世代から採用されやすくなります」(前川氏)

 今後のさらなる高齢化に伴い、対シニア向け人材の需要は増えるはず。未来のため、仕事を得る人脈と若者と共存できる価値観をしっかりと身につけたい。

◆60歳以上の正社員を募集したパソナの展望

 近年はシニアのオフィスワーカーの求人も増加中。例えば人材サービス大手のパソナグループは今年、定年退職者を採用するエルダーシャイン制度を開始。営業、人事のエキスパートなど80人を募集した。制度について同社HR・アドミ本部長補佐の山本哲史氏に聞いた。

「近年は『キャリアを生かして新しい仕事を』と考える方も増えています。定年で初めて転職マーケットに出てきた優秀な方が多い一方、仕事探しは知人の紹介かハローワークと、マッチングが難しい状況でした。パソナではマーケットの活性化を考え、その第一歩として自社採用を行ったかたちです」

 問い合わせは1000件を超え、予定人数の80人を順調に採用。その中には大手企業出身者のほか元経営者の人もいたという。

「フルタイムではない方や兼業の方、両親の介護で4時退社の方もおり、世代の要望に応じた勤務体系で働いていただいています」

 系列のパソナマスターズではシニア世代の人材派遣などをすでに実施中。どんな需要が多いのか。

「まずは建設ラッシュが続く建築施工系の技術職。施工管理、建築設計などの資格を持つOBは引く手あまたですね。また近年は、シニアでも実務で手を動かせる方が求められる傾向が出てきました」

 そう話すのは同社代表の中田光佐子氏。ほかの職種でも時代に応じた求人が増えているという。

「海外と取引する企業が増え、国際法務の知識を持つ方や、海外営業の経験者に需要が出てきました。手作業の業務を自動化するRPAの導入が進み、業務プロセスを設計できるIT企業の出身者も人気。従来これらの職種は中堅層が採用対象でしたが、人材不足でシニアも対象に入りつつあります」

 そのIT業界を筆頭に、今後はシニアと縁遠い印象の業界・職種でも採用が活発化していきそうだ。

◆<定年サラリーマンの採用が増加中の業界>

●管理・事務系……業界を問わず求人の多い職種も。「経営指導や組織改革の経験者、人事制度の設計ができる方、株主総会の取り仕切りやIPOの経験者は特に中小企業でニーズが高いです。内部監査や特許関連の職種も人気です」(中田氏)

●IT業界……IT人材不足で、シニア世代も採用する企業が増加。求められるのは主にマネジメント側の人材だ。「プロジェクトの進捗・工程管理の経験を持つ人は開発プロジェクトマネジャーなどの職種で需要があります」(中田氏)

●建築業界……建築施工管理、電気制御、機械設計などの技術系職種に人気が集中。「企業からは『資格保持者はすぐに紹介を』との依頼も多いです。特に施工管理の有資格者は需要大。悠々自適の退職者にも声がかかります」(中田氏)

取材・文/藤村はるな 古澤誠一郎

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