防災情報もアップデート。火事のとき濡れたハンカチで…は古い/鴻上尚史

日刊SPA! / 2019年12月28日 15時51分

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―[連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史>]―

◆生きのびるために防災情報もアップデート

 TBSの新番組『グッとラック!』に出演していたら、防災の最新知識という特集をしていました。きっかけは、小学生達が抜き打ちの避難訓練をされた時、校庭にいた生徒達が「地震だ!」の声とともに一斉に教室に走り込み、机の下にもぐったことでした。

「地震が来たら机の下」と教えられましたね。でも、グラウンドにいる場合は、教室に戻るのはとても危険です。なるべく壁から離れてグラウンドの中央に集まるのが正解なのです。

 昔は、火事になったら濡れたハンカチやタオルで鼻と口を覆って、姿勢を低くして這うように逃げろと言われました。

 今はとにかく急いで逃げろ、です。タオルを濡らしたり、四つんばいになったりしないで、とにかく速く走れ、です。タオルやハンカチを濡らすと、じつはとても呼吸しにくくなるし、そもそも濡らす手間と時間があるなら、とっとと逃げろ! となったのです。

「地震が来たらトイレに逃げろ!」も、今は間違いと言われています。トイレに入ってドアが開かなくなるケースが出てきたからです。

 今は、「廊下に出ろ!」となります。何も置いていない廊下が一番安全なんだそうです。

「地震だ、火を消せ!」も、今では「その必要はない。とにかく身の安全を!」です。今は、震度5以上の地震が起こると、ガスは自動的に止まるようになっています。

 浴槽に水をためて、トイレの流す水に使うのも、今はNGです。実際の地震の時に、お風呂の水を流して、逆流したり漏水したケースがありました。下水管が破裂していたり、亀裂が入っていたりするからです。大きい時はどうするかというと、簡易トイレや携帯トイレがおすすめです。

 これらの知識は、リアルな地震や火事、災害に遭遇してアップデートされているのです。

◆その時々で臨機応変の対応を

 番組ではクイズも出されました。

地震が来たら、どこに逃げる?
①コンビニ
②駐車場
③ガソリンスタンド

 分かります? 僕は②駐車場と答えたのですが、正解は③ガソリンスタンドでした。

 ガソリンスタンドは、ガソリンを扱うので安全基準がとても厳しく、防火設備がしっかりしているので、避難場所としても適しているのです。

 番組では、阪神・淡路大震災の時にガソリンスタンドで延焼が食い止められた映像が紹介されていました。防火設備が火を止めたのです。一方、都市部のビルに囲まれた駐車場は危険となりました。だだっ広いスペースなら、もちろんOKです。

エレベーターの中で地震があったら? というのが次のクイズ。
①1階ボタンを押す
②奇数階のボタンを押す
③すべての階のボタンを押す

 さぁ、どうでしょう? 正解は③すべての階のボタンを押す、です。

 1階まで待つのではなく、とにかく早くエレベーターから出て、非常階段で下に降りていくのが正解です。この問題は正解したのですが、全然ダメだったのが次の問題。

ホームで地震にあったら、どうしたらいいでしょう?
①改札に入る
②電車の中に入る
③線路に降りる

 分かりますか? 改札にみんなが走るとパニックになりますね。二次被害が起きてしまいます。線路に降りると、ホームの屋根やらいろんな物が落ちてくるかもしれません。もちろん、電車にひかれるかもしれません。

 ということで正解は②電車の中に入る、でした。

 で、もし、電車がホームに入ってなければ、ホームで頭上に注意しながら、身の安全を守るのです。

 番組に出演した危機管理アドバイザーの国崎信江さんは、ただ一つの方法でなんとかなると地震を甘く見てはいけないとおっしゃいます。その時々で臨機応変に判断することが求められるのです。それでも、いまだに「地震は机の下!」と機械的に教えている学校は多いと国崎さんは警鐘を鳴らします。

 そんなわけで2020年も生きのびましょう。よいお年を!

―[連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史>]―

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