「発達障害の子ども」への接し方とは?特性を見極めることで育児は楽になる

日刊SPA! / 2020年3月15日 15時53分

写真

 入学シーズンを控え、小学校や保育園の入学・入園準備にいそしむ家庭も多いだろう。なかには「落ち着きのない我が子が新しい環境に馴染めるだろうか」と不安に思う両親も珍しくない。

 3月6日に発売された漫画エッセイ『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』では著者の吉田可奈さんの息子・ぽんちゃんに発達障害があることが発覚。のちに重度の知的障害と診断された。しかし、障害に理解ある保育園の協力もあり、ぽんちゃんは周囲の大人や子どもにも馴染み、自分のペースでのびのびと成長していく様子が描かれている。

 本書では「発達障害の子どものための接し方」についてもコラムで解説しており、発達障害の有無にかかわらず、子どもへの接し方についての大きなヒントになるだろう。

「発達障害の子とのコミュニケーションでは、その子独自の特性を見極めることが大切です。それぞれの子どもに合った育て方を周囲で確認・共有し、ストレスなく成長していける環境を整えてあげるようにしましょう」

 そう語るのは発達障害専門医の宮尾益知氏(どんぐり発達クリニック・院長)だ。

◆まずは子どもの特性を理解し、その子に適した工夫をする

 「障害の有無にかかわらず、子どもたちには物事の理解(認知)の仕方に特性があり、それらを見極めていくと、その子とどう接していけばいいのかがわかるようになります」(宮尾氏、以下同)

 具体的には以下のような特徴についてよく観察するといい。

<注目すべき子どもの特徴>
● 絵や写真などビジュアルのほうが理解できるか、言葉のほうが理解しやすいか
● 順序立てて考えるタイプか、全体をまず把握するタイプか
● 記憶力のよさはどの程度か
● 行動や動作が速いか、遅いか

「たとえば言葉よりも絵や写真などのほうが理解できるならば、何かを説明する際、積極的にビジュアルで解説します。やるべきことを順序立てて説明しても理解しにくい場合は、まず全体像を説明してから話しましょう。記憶することが苦手な子なら、こまめな説明や、貼り紙などでたびたび注意を引くと効果的です。行動が遅い子どもは、日常の動線に合わせて必要な物を配置してあげるとよいでしょう」

ポイント① 説明の仕方を工夫する
「まず、子どもがこちらに注目しているかどうかを確認します。教えるときは、できるだけ具体的に、必要に応じて図などを使うようにしましょう」

 また、発達障害の子どもは、人の気持ちを声のトーンで判断する傾向があり、語尾のトーンが上がる話し方や、かん高い声では叱られていると感じてしまうこともあるそうだ。できるだけ平坦な話し方のほうが、かえって意図は伝わりやすいという。

ポイント②してほしくないこともむやみに禁じない
 友達を叩くなど、してほしくないことはむやみに禁じるのではなく、以下のような方法を試すのがおすすめだ。

「まずは“それをしないことがどれだけ得か”を教えることです。友達の顔を叩くなら“顔には、ほほ骨というとがった骨があるから、叩くと君の手が痛くなる。叩くなら肩を叩いてあいさつしよう”と促します。するとその子は、自分が痛い思いをしたくないので、友達の顔を叩くことをためらうようになります。ほかに、“やってもいい場所や時間を決めること”も有効です」

 例えばいたずら描きをするなら、描いてもいい壁を決めて紙を貼り、思う存分に描かせる、または時間を決めてその時だけ描かせるルールにすると効果的だ。

ポイント③失敗経験を減らしてあげる

 発達障害の子どもはむやみに叱られた経験がトラウマ化してしまう場合が多い。子どもの失敗経験をあらかじめ減らす工夫も大切だ。

「たとえば入ってはいけない部屋がある場合に、“この部屋に入ってはいけないよ”と言うだけだと、その子はどうしたらいいかわからずパニックになってしまいます。“この部屋には入れないから、隣の部屋に行こうね”と促してあげましょう。良い行動ができた時には十分にほめ、抱きしめるなどしてごほうびを与えることも大切です」

ポイント④環境やライフスタイルを整える

 1 日の行動に合わせた動線を作ってあげるといった、環境やライフスタイルを整えることも大切だ。

「たとえば帰宅後に手を洗った後、手を拭くタオルをそばに掛けておく。そのそばにテーブルを置き、食べた後は子どもがお皿を下げるためのトレイを用意しておく。その先にパジャマの置き場所を作り、それを持ってお風呂に行く。といったように、子どもが戸惑わないよう、家具の配置や道具の置き場所を工夫し、固定することも大切です。物が置いてある場所に理由をつくることも有効です。たとえば服のしまい方を子どもにわかりやすくするためには、上から帽子、シャツ、ズボン、靴下と、体のパーツの順番に合わせて入れておくとよいでしょう」

 このように家庭でも行動する場所・時間・順番などを決め、ルーチンな生活を送ることで、社会生活になじみやすくなる。

 本書ではそのほかにも、発達障害の子どもによく見られる、特徴的な行動・性質について、親や保育士がとるべき対応策を解説。また、本編は著者の実体験をもとにしたマンガやエッセイが多数収録されている。子育てに悩む多くの人におすすめの一冊だ。

<取材・文/日刊SPA!取材班>

―[子どもの発達障害]―

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング