SKE48に咲く6年目の“桜”、末永桜花。花咲かすための地道な道のり

日刊SPA! / 2020年3月30日 15時45分

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’20年の末永桜花

「私に期待することを聞いてみたい」

「握手会でファンの人と何を話したい」と先輩メンバーに聞かれた当時13歳、のちにSKE48の選抜に定着する末永桜花はそう答えた。

  ’15年3月31日、のちに黄金世代と言われる“7D2”の一翼を担うSKE48・7期生がファンの前にお披露目される。彼女たちの世代には、加入からわずか5か月で松井玲奈の卒業シングル「前のめり」の選抜フロント入りをした後藤楽々(卒業生)、「意外にマンゴー」「無意識の色」の2作でシングルセンターを務めた小畑優奈(卒業生)、オーディションファン投票1位でのちにAKB48グループ歌唱力No.1に輝いた野島樺乃、SKE48とAKB48を経て、現在女優として活躍する木﨑ゆりあのいとこ浅井裕華など注目を浴びるメンバーが多くいた。

 同じ7期生で加入し冒頭の言葉を放った末永はその中では比較的目立たない地味な女のコで、いわゆる端っこが定位置だった。

 そんな彼女がファンの中で、徐々に注目を集めたきっかけがSKE48の聖地巡礼シリーズをブログに載せ続けたことだ。

 聖地巡礼とはMV撮影地やSKE48にゆかりのある場所に足を運ぶことを指すのだが、彼女は愛知県内に止まらず、函館など遠方にも訪れている。

 まだ幼い彼女の行動力と企画力は多くのファンに驚きを与え、その取り組みは次第にファンの心を掴んでいった。

 これに留まることなく、彼女はガンダム好きを公表。なかでも『機動戦士ガンダムZZ』シリーズが好きとのことで、いま現在もルー・ルカというキャラクターなどの自前コスプレを握手会で定期的に披露し、度肝を抜いている。

 ’16年の夏に初めて連載で取材した際、「よろしくお願いします」をすれ違うたびに言う丁寧すぎるコだった。

 あまりにも何度も言うので、記憶に強く残り「そこまでしなくても」と思いはしたが実直さが伝わって、どんな成長をしていくのか楽しみにもなった。

 その年の11月、チームEへの昇格を果たす。しかし、’17年に「意外にマンゴー」でセンターに抜擢された小畑優奈を筆頭に同世代の活躍は当時目覚しく、末永は少し霞んだ印象になってしまう。

 それでも腐ることなく着実に努力を重ね、’18年に「無意識の色」のカップリング「触らぬロマンス」でセンターに抜擢される。

「前にいる限りはどのメンバーにも負けないように」と自分を奮い立たせ、32人が参加、寒いなかでの半袖でのMV撮影を見事に乗り切ってみせた。

 ここから彼女の努力は一気に身を結び始める。「いきなりパンチライン」で初めてのSKE48シングル選抜入り。世界選抜総選挙45位で初ランクイン。48グループの若手選抜楽曲へ度重なる参加。

 初ランクインした総選挙前、彼女への取材をして思ったことがある。地元名古屋での総選挙。下馬評では先輩の松井珠理奈が1位、対抗馬はHKT48の宮脇咲良、SKE48の須田亜香里というのが大方の予想の固い選挙戦に見えた。

 そんななか「最終目標は1位。ランクインをして少しでもそこに近づきたい」と取りようによっては宣戦布告とも言える発言してくれたのだ。

 ほとんどの場合、ランクイン、選抜入りを目標にして、1位という順位を口にするメンバーは限られてくる。取材時はまだ「いきなりパンチライン」の選抜発表もない段階。ある意味表立った実績のないメンバーが1位を目指していると公言するのは、なかなか勇気が必要なことだと思う。

 そのブレない強さも彼女を押し上げてきた推進力になっているように思えて仕方ない。

 そして今年1月25日、TDCホール(東京・水道橋)で彼女は単独コンサートを行うまでに成長した。超満員とはならなかったが、およそ1500人のファンが集結。しかし、土曜日の午前10時開演、本拠地は愛知県、東京在住のグループでも1000人を集めるのに苦労するアイドルグループが多いことを鑑みれば、個人で十分すぎる成果だと思える。

 このコンサートでも彼女は個性を発揮。鉄道好きという最近強化されてきた武器を使い、鉄道コーナーを実施したのだ。

『ある一日の少女の儚い夢』と題したミニ・ムービーが会場に流れる。これストーリーも秀逸で、小湊鐵道の里見駅で何やら愛しのきいくんという”男の子”を待つ様な末永の姿が映し出される。そして、電車が到着。きいくんが来たのかと思いきや、なんときいくんは、キハ200系気動車で彼女は撮り鉄だったというオチなのだ。このヲタ丸出しの展開に会場は笑いに包まれた。

 さらに同コーナーでは「鉄道唱歌」「ホームタウン急行」を熱唱。そんなに電車は詳しくないと言うが間奏では、好きな電車についてJR西日本の500系新幹線電車をあげ「新幹線のビジュアルメン」と評したり、京阪電気鉄道の8000系電車をあげ「パンタグラフが下枠交差型になっておりまして~」とその後、知識のない人にはまったくわからない話を熱くトークし、会場をどよめかせた。これでも止まらない彼女、8000系のプレミアムカーやダブルデッカー車(二階建て)に乗りたいと話し、コンサート後に即乗ってツイートを公開してみせた。

 素人目に見れば十分マニアックなそのトーク内容に彼女の底知れなさを感じさせられたコンサートだった。ちなみにアンコールでは山手線一周を暗唱。次はぜひ地元名古屋の名城線一周からの名港線名古屋港駅までをトライしてもらいたい。

 そんなコンサートには、彼女の人柄がにじみ出る要素がまだ散りばめられていた。それは4月2日卒業予定だった(新型コロナの影響で、卒業公演ができないため、時期は延期に)片岡成美をサプライズで出演させたことだ。

 実はかつて連載で共演した際に「仲良くなりすぎて他の同期に嫉妬されちゃうくらい(笑)」と話していたほどの盟友だ。

 そんな片岡と『微笑みのポジティブシンキング』という明るい曲を披露。末永は壇上で「2人で前向きにこれからも頑張って行こうねという思いを込めて選びました」と思いを明かしている。

 クールな印象があり、さもすると敬愛する卒業生・柴田阿弥の様に”ぼっち”属性が強いのかと思いきや彼女のメンバー思いのエピソードは割と多く、卒業した後輩の白雪希明は末永の生誕祭でアンダーデビューした際、「わざわざ私を気にかけたコメントをしてくれたり、前日にメッセージをくれたり」と感動した舞台裏を教えてくれていた。

 また、末永は料理やお菓子を作るのが得意で、胃袋を掴まれるパターンも。同じチームの熊崎晴香はかつて「おーちゃん(末永のニックネーム)手作りのカップケーキをもらって。デコレーションもきれいだし、すっごいおいしいんです」と教えてくれた。

 SKE愛も深く、仲間思い。ガンダム好き、鉄道好き、料理も得意と複数の武器を持っている。こう見ると向かうところ敵なしなのかなとも思うが、本人におごりはない。

「ナチュラルに好きなだけなんです。好きじゃないものを無理して発信しても続かない。自分自身が楽しめる方法でやってるだけなんです。7期はキラキラしたコが多くて、そのコたちみたいに私はなれないと思って、どうやったらSKEで上に行けるんだろうとは考えてました。だけど見てくれてる人はきっといるから諦めずに努力するのが大事だなって思います。あとは自分が楽しむことが大事かなって」

 純粋に前向きに活動を楽しむ。それはなかなかできそうでできることではない。そんな彼女が好きな言葉に掲げているものに“運鈍根”というのがある。ものごとを成功させるには運と、鈍いくらいの辛抱強さと、根気強さとが必要だという意味の言葉だ。

 辛抱強く根気強く5年間を駆け抜けた彼女。今の位置は決して運で手に入れたものではないだろう。6年目を迎える桜がどんな満開の花を今後見せてくれるのか。楽しみで仕方がない。

取材・文/八木康晴 撮影/山川修一 連載写真/青山裕企

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