時代の流れに逆らうマツダのこだわり。電動化や自動化がすべてじゃない!

日刊SPA! / 2020年4月5日 8時51分

写真

実は広島のマツダ工場には秘密の部屋があり、就業後に有志が集まって会社にナイショで新型ロータリーエンジンを開発している……。そんな妄想をせずにはいられません(担当K)

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

 ’20年、創立100周年を迎えたマツダ自動車は、カーマニア的にはロータリーエンジンですが、近年はクリーンディーゼルで注目の的に。CX-5から始まったマツダの快進撃は凄まじかったです。そんなマツダが今挑戦しているのが、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのいいところどりした新しい内燃機関(エンジン)。マツダは我が道を黙々と走っております!

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

◆時代に逆行しても内燃機関にこだわる“孤高のマツダ魂”を支持します!

 クルマは、いわゆる「CASE」の方向に向かっていると、規定事実のように語られている。CASEとは、コネクティッド化(C)、自動運転化(A)、シェア化(S)、電動化(E)のそれぞれの頭文字。クルマが、シェア電動アシスト自転車みたいになるってことだろうか。

 しかし個人的には、その4つとも、コレッポッチも待ち望んでいない。つながれたくないし、自動運転は渋滞中のみで十分だし(すでに一部モデルで実現)、シェア化しちゃったらクルマがいじれなくなるし、電動化なんざ日本じゃ何のメリットもない。全部希望しておりません!

 でも、これは逆らえない時代の流れ。乗り遅れたらおしまいだと、各メーカーが必死に開発を進めている。

 そんななかマツダは、かたくなに内燃機関の進化にこだわっている。その一つのステップが、ガソリン圧縮着火を実現したスカイアクティブXエンジン。それを最初に搭載したのがマツダ3で、2番目がこのCX-30だ。

 マツダが主張しているのは、「内燃機関にはまだ改善の余地がある」ということ。内燃機関の現状のエネルギー効率は40%くらいなので、伸びしろがたっぷりある。一方、電気自動車はすでに80%くらいで、伸びしろがない。

 それでいて、日本みたいに電気の8割を化石燃料で作っている国の場合、トータルのエネルギー効率(≒二酸化炭素排出量)は、電気自動車より内燃機関を併用したハイブリッドカーのほうが上。ガソリン車やディーゼル車ですら、2~3割の差で追っている。なら当面は、内燃機関の燃費を良くしたほうがよくね?ということだ。

 そういう考え方のもと、マツダ技術陣が総力を挙げて開発したのがスカイアクティブXエンジンなわけですが、乗った感じはどうだったか。

◆これがマツダの生きる道

 ズバリ、期待はずれでした!

 まず燃費がそんなによくない。CX-30で空いている都内をフツーに走って、リッター12㎞ぐらい。フツーのガソリン車より2割くらいいいけれど、それほどの差じゃない。

 スカイアクティブXエンジンは、加速がいいのもウリだが、それもまあ2割アップというところで、フツーの人には差がわからないだろう。

 担当Kの第一印象は、「ガソリンエンジン(ノンターボ)以上、ディーゼルエンジン以下ですね」だったが、フツーに走った時のフィーリングはまさにそんな感じだ。

 もちろん、これで価格据え置きなら大戦果ですが、このエンジン、お値段がとっても高いのです。装備が同じなら、フツーのガソリンエンジンモデルより68万円も! その理由は、エンジンルームを開けてみればなんとなく理解できる。

 エンジンカバーを開くと、その下には、めちゃめちゃギッシリと精密なメカが詰め込まれている。これだけメカがとぐろを巻いてるエンジンは初めて見た!

 なにせこのエンジン、理想の圧縮着火を実現するためにスーパーチャージャーを持ち、マイルドハイブリッドシステムまで併用しているのだ。こんなに複雑じゃ68万円もお高くなるのは仕方ないが、それで得られる果実が小さすぎる……。

 それでも我々カーマニアは、このスカイアクティブXエンジンに熱烈なエールを送りたい。だって、CASEなんてぜんぜん望んでないから! クルマは、あと20年は内燃機関でイイ。電動化はオレが死んでからにしてくれ。愛する内燃機関の進歩を前面に掲げるマツダを、応援しないわけにはいかん!

 マツダはMTにもこだわってくれている。このCX-30にもちゃんとMTが設定されている。日本じゃほとんど売れないとわかっていても出す! エライ! 涙が出る。

 CX-30はスタイリッシュだし、インテリアも乗り心地も良好。とってもいいクルマだ。ただ、お値段を考えると、ディーゼルエンジンがオススメだろう。それで何の問題もないです!

【結論!】
ユーザーとしては、スカイアクティXはともかくとして、マツダのディーゼルエンジンの改良を希望します。8年前に出たときは感動したけど、いまやパワーも燃費も欧州メーカーにどんどん追い越されつつあるので。

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング