クルマ好きだけどイマドキの新車を買いたくない7つの理由

日刊SPA! / 2020年4月5日 15時50分

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アルファロメオ164

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。私はクルマが好きで、これまで数十台を購入した経験があります。ただ、その中に新車は1台も含まれておらず、おそらく今後も新車を買うことはないと思っています。

 中古ばかり乗っている私ですが、実は免許を取るぐらいの年齢の頃、いつかは自分も新車を買いたいと思っていました。やはり「新車」という響きには憧れますし、新車ならではの利点もあるといえます。

 最も大きなメリットとしては、最新のモノを買うことができるという点ですが、それ以外にも、色を自由に選べるのは羨ましい限りです。かつて私は、緑色の外装にベージュ内装の新車をいつか買いたいと思っていました。

 しかし今、そういったことまで含めて、新車を買うメリットはほぼ無いのではと思うのです。

◆色の選択肢が新車なのに少ない

 高級車含めて、最近のクルマは色の選択肢が以前に比べて少ないと思います。用意された色は、白、黒、銀。あとは青と赤があるぐらい。内装色も黒がほぼんどです。

 それでは自分好みの配色にするという、新車ならではメリットを受けることができないと思うのです。

 もちろんオプションを駆使して、自分好みの配色にすることは可能でしょう。その場合、注文生産となるため車両受け渡しまで時間がかかります。輸入車ならなおさら。そもそも、たくさん用意してオーダーメイドできるようにしても、わざわざ好みの配色を選ぶといった買い方は少数派なのでしょう。その結果、需要がないため、カラーバリエーションが少なくなったのだと思います。

◆そもそも新車の価格が高くなっている

 今の新車の価格を見ると、ずいぶん高くなったと思います。特に、搭載されるエンジンを見ると、ほぼすべてが3気筒か4気筒。6気筒以上を買うのは困難な状況です。実際、ドイツ車で6気筒エンジン搭載車を選択しようと思ったら、1000万円は覚悟しなければならないでしょう。

 かつてであれば、6気筒エンジン搭載車は、輸入車だと500万円ぐらいから、国産に至っては200万円台から購入可能でした。それが、今では国産車では700万円程度、輸入車では1000万円ぐらいの予算を覚悟しなければ手に入らないのです。

 軽自動車が高くなったといわれていますが、それに限らず、クルマは全体的に高くなっている印象です。もちろん、燃費を追及したり、安全装備などが増えたこともあるので、これは仕方がない流れなのでしょう。

◆価格が高くなっているのに安っぽさも感じる

 車両本体価格は高くなったのに、クルマ自体は安っぽくなっている点も気になります。特に内装のコストダウンは酷く、すぐわかるレベルでチープさを感じます。新車価格が高くなったのに、クルマ本体が安っぽくなっているというのは謎な現象ですが、数多くの自動車メーカーでそういった現象が起きていると感じます。

 このようなことが起こるのは、上場企業の宿命かもしれません。株主は、右肩上がりの成長を期待しますから、経営者は前年比プラス成長を重視します。

 本体価格を高くして、原価率を抑えれば企業の業績は上がります。通常であれば、そうすると「売れなくなる」となるところですが、自動車メーカーの数はそれほど多くないため、消費者的には「買う」という選択をするのでしょう。

 確かに、今、新車しか買っちゃいけないと言われたら、買うことができるクルマは限られていて、かつてのような価格及びクオリティを維持しているモノは見つからないでしょう。

◆基本部分は画期的に進化していない

 20年ほど前まで、新車が出るたびに「未来がきた!」と感動しましたが、今では新車を見ても「どこが新しいのか?」と疑問に思ってしまいます。

 実際、今のクルマが進化したといえるのは、燃費性能と安全性能だけといっても過言ではありません。90年代までは年を追うごとに目覚ましい進化がありました。例えば、1990年のクルマと2000年のクルマを比べると、大きな変化があるといえます。

 90年代、クルマは安全性能が大きく進化しました。具体的には、96年頃にトヨタがGOA、日産がゾーンボディを打ち出し、大衆車でも運転席助手席エアバッグが標準装備。その頃、高級車ではサイドエアバッグが標準となり、98年にはカーテンエアバッグがプログレに世界初搭載されました。

 また、解錠システムについては、90年代前半にキーレスエントリー、2000年にはスマートキーが登場しましたが、2002年には日産マーチのような大衆車でも、スマートキーやカーテンエアバッグがオプション設定されていたのです。

 また、カーナビが進化したのも90年代。ちなみに、現行クラウンでトヨタが売りにしているオペレーターとのコミュニケーションシステムは、96年の段階ですでに日産が実施。コンパスリンクを使えば、オペレーターに電話をかけて、「ディズニーランドに行きたい」と話すだけで、遠隔操作でナビを設定してもらえたのです(友人宅のシーマで90年代に体験)。

 また走行性能についてですが、どんな道でも快適に運転できるという点では、80年代ベンツですでに完成されており、国産車でも2005年頃のクルマで完成されていると感じます。

 以上のことから、2002年頃からクルマは大きく進化していないと、私は思うわけです。

◆性能がアップしたから逆に退化した点も

 先日、とあるメーカーのテストドライバーの方に話を聞いたのですが、2000年代中盤頃から、クルマの運転感覚は退化しているとのこと。その理由は、燃費性能を高めるために、複雑な制御システムを導入したからとのこと。その結果、不自然な動作をするクルマが多くなってしまったらしいのです。
 
 また、デザイン的にも退化したという指摘もあります。アルファロメオ164などを手掛けたカーデザイナーのエリンコ・フミア氏は自動車メディアのインタビューで「スタイリングは退化した」と語っています。

◆新車を買うには中途半端な時期である

 最近のクルマで最も進化したといえるのは、自動ブレーキシステムやナビゲーション周りですが、それらはクルマの進化というより情報技術だといえます。

 そして情報技術となると、自動車メーカーよりIT企業のほうが得意。いくら自動車メーカーがナビを進化させたといってもスマホには勝てません。私は、20年以上前のベンツに乗っていますが、最新のクルマに乗るときでもナビはスマホを使います。

 90年代において、カーナビは日本のクルマぐらいにしか搭載されておらず、日本が世界トップだったのに、今では海外製スマートフォンのほうが優秀。悲しい限りです。

 また、自動ブレーキシステムや自動運転システムは、まだまだ中途半端な時期だといえます。現在のシステムは完全な自動ではなく、半自動といったところ。半端にサポートしてくれると、かえって油断を招き私は危険だと思います。ですから、人より機械のほうが信用できるとなってからでないと、運転における自動制御は成立しないと思うわけです。もっとも、マクロな視点で見れば自動ブレーキシステムは、事故率軽減にメリットがあるといえます。

◆燃費性能はそこまで重要じゃない

 かつて私も燃費性能が重要だと思いました。しかし、今では燃費性能はあまり気にしません。なぜなら、年間1万km程度の走行では燃費による負担額が大きく変わらず、メリットをあまり感じないのです。

 私は、乗っていて心地よいクルマと、乗り心地が悪くて燃費が良いクルマ。その差額が年間5万円程度だった場合、燃費が悪くても快適なクルマのほうが良いと思うわけです。クルマの維持費などを考慮すると、5万円という差はそれほど大きな比率でないといえるでしょう。

 もちろん、給油時の印象は違います。燃費が良いクルマの場合、500km走っても30リッター程度で済む一方、燃費が悪い車だと同じ距離で70リッター以上のガソリン代がかかります。3000円台で済むところを、燃費が悪いクルマだと1万円以上。ただそれは、計算すると大きな損といえない側面もあります。

 以上が私の新車を買いたくない理由です。

◆中古車で十分だと思う理由

 そして中古車市場を見てみると、魅力的なクルマが安価な価格帯でゴロゴロしているのです。実際、燃費性能以外に何ら不満の無いクルマが50万円以下で手に入ります。かつてであれば、中古車はそれなりでしたが、今の時代の中古車は良質です。

 仮に燃費が悪い中古車を50万円で買った場合と、燃費が良い新車を300万円で買った場合、どっちがお得かは、計算すればすぐに分かります。

 ですから、私は今の時代、新車を買う理由が見つからないと思うわけです。

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

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