2000万円で投資マンション購入も空室続き…自宅にして長時間通勤に耐える日々

日刊SPA! / 2020年6月29日 15時53分

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バツイチで現在は一人暮らしの橋川さん。「家が遠いと自然と寄り道しなくなりましたね」

「下がる、下がる」といわれ続けている不動産価格。新型コロナ問題でますます住宅事情の先行きを読むのは難しいが、「いい買い物/悪い買い物」は確かに存在する。そんな明暗を分かつものはいったい何なのか? 今回は2000万円で投資用マンションを購入した男性を取材した。

◆投資用マンションとして購入を決めたつもりが自宅として活用中

 ゼネコン関連会社に勤める橋川康司さん(仮名・45歳)は7年前に購入した埼玉県内のマンションに住んでいる。「趣味といえば投資くらいで、全然物欲もない」という橋川さんの部屋。まるでマンスリーマンションのように必要最低限の家具や家電しかない。しかし、この自宅、元を辿ると自分が住むために購入したわけではない。

「昔から株やFXなど投資商品には全般的に関心があったので、知人に紹介された不動産業者に投資物件を勧められた際はすぐに興味を惹かれました。年収は750万円ほどですが、もう頭打ちなので心が揺らいでしまって。

 しかも、『橋川さんは自宅を持っていないので、住宅ローンで融資を受けられます』って言われたんです。上場企業に勤めているので融資もつきやすい。自分は有利な立場で投資できると一気にテンションが上がったのを覚えています。しかも、検索してみると勧められた物件は近隣相場よりも安めの価格設定。これはお宝が舞い込んだと確信して、購入を決めました」

 ただし、投資用物件の住宅ローン利用はそもそもご法度。不動産業者はそれを知りながら橋川さんに勧めたのだから悪質だ。

「それでも最初はきちんと入居者がいて、ローン返済額を上回る月9万円近い家賃収入があったので安心していました。でも、その世帯が転出してしまってから2か月以上、空室に。実は物件価格が安かったのにはワケがあって、車がないと不便なエリアなのに駐車場がないため、敬遠されていたんです。収入がないのにローン返済はずっと続く……そういった状況に陥って、初めて不動産投資の怖さを思い知りました」

 その後、新たな入居者は決まったものの、2年もたたずに転出することが決まった際に橋川さんはついに決断を下すことに。

「都内で借りていた賃貸物件は引き払って、もうこの物件に自分で住んじゃうことに決めたんです。ちょうどフラット35の不正利用が問題視され、本格的な調査が行われるというニュースを目にしたことも背中を押しました」

 都心の勤務先まで所要時間は約100分。長時間の通勤電車は体に堪えるが、「家賃はかからないし、不安を抱えながら貸すよりかはマシなので現在の自己採点は40点」と橋川さんは力なく笑う。

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<橋川さんの詳細>

年収 750万円
購入金額 2000万円
ローン期間 20年
月々の返済額 7万5000円
築年数 10年
延べ床面積 43.78㎡
最寄り駅から徒歩 17分

◆住宅ローンを不正利用した「ニセ自宅」を貸す男の本音

「とにかく収入を増やしたくて不動産投資を始めたのですが、低収入の会社員ではアパートローンが借りられず、やむを得ずでした」

 そう告白するのはIT企業に勤める安沢克昭さん(仮名・43歳)だ。業者の口車に乗せられたケースと異なり、安沢さんは住宅ローンを投資用物件の購入に充てるという不正利用に自らの意思で手を染めた。

「ネットで見つけた1300万円の中古の一軒家を購入し、9万円で貸し出しています。住民票は半年ほど移しておき、ほとぼりが冷めた頃に元に戻しました。報道で問題になっているのは、相場を知らずに割高な物件を押し込まれた、いわば“情弱”。儲かる物件を選べば、そうそうやけどはしません」

 悪びれる様子のない安沢さんだが、銀行にバレる心配は当然ある。

「対策としては郵便受けに僕と入居者の表札を出し、入居者には、『銀行から手紙が来たら転送してほしい』と、宛先記入済みのレターパックを大量に渡してあります」

 何も問題は起きてないと胸を張るが、銀行員が訪問すれば一発でバレる。その点を指摘すると、饒舌だった安沢さんは口をつぐんだ。

「でも、私の場合、源泉徴収票や預金通帳の改ざんはしてないので、それほど悪質ではないと思います」

 強弁するのは不安の裏返しか。35年間、金融機関を欺き続けることは容易ではないはずだ。

<取材・文/週刊SPA!編集部 図版制作/WADE>

―[[家と年収]の正解]―

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