最近の軽自動車でカーマニア清水草一が一番いいと思う1台は?

日刊SPA! / 2020年7月4日 8時50分

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どうですか! このルックス!

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

 中高年カーマニアは、マニアックな輸入車やスポーツカーにしか興味がないと思ったら間違いで、軽自動車にだって興味は大アリだ。実際私はこれまで、ダイハツエッセECOとS660という、2台の軽自動車を所有したことがある。どっちもMT車だったが。

◆最近「これはスゴイ!」と唸らされた軽は……

 現行モデルで所有欲をそそられる軽は、なんと言ってもジムニーだが、あまりにも本格派のクロカン4WDで、オフロード趣味が皆無の自分には無意味すぎる。

 個人的には、「ふだんのゲタにハスラーもいいな」と思ったりしたが、乗り味がいまひとつ平凡だった。一般のみなさんは「ハスラーが平凡なのは当たり前じゃ?」と思われるだろうが、軽自動車の世界も日進月歩。カーマニアを唸らせる新型車は決して少なくない。

 最近、「これはスゴイ!」と唸らされた軽は、ダイハツのタントだった。

 何がすごいって、シャーシがすごい。シャーシってのはクルマの土台になる骨格のこと。この剛性がものすごく高く、あんなに頭でっかちなのに重心が低くて操縦性抜群。スポーツカーのように走ってくれたのである。一般ユーザーにすれば、タントでコーナー攻めるなんて「バカですか?」でしょうが、カーマニアはそういう潜在性能にこだわるのである。

 タントは「DNGA」という、新しいシャーシを導入した。これは、トヨタの「TNGA」みたいなもので、従来の80点主義から脱皮し、100点のクルマを目指したものだ。ドイツ的完璧主義と申しましょうか。トヨタグループの一員であるダイハツも、大トヨタに倣って100点主義に転換し、DNGAを開発したわけです。

 が、いくらなんでもタントは欲しくない。タントが採用した100点の土台を使ったほかのモデルが早く出ないかと期待していた。

 それが出たんですよ! タフトです!

◆タントじゃないよ!タフトだよ!

 コンセプトは、スズキ・ハスラーのまんま対抗馬。ダイハツ版ハスラーですね。ただハスラーと違うのは、見た目がぐっと軍用車っぽいこと。「ギアっぽい」ってヤツですか? 子供のころ大好きだったダイヤブロックを思い出す(レゴは高くて買ってもらえなかった)。とにかく男の子のオモチャっぽくて、58歳のボーイズスピリットに火が付くぜ。

 そのタフトにいち早く試乗するために、近所のディーラーに出かけてみた。対応してくれたのは、少し頭が薄くなった、親切そうなセールスマン。試乗車はFFのGターボで、車両価格160万円である。

 実物を目にして「やっぱりこれはイイ!」とシビレた。新型ハスラーはかなりファミリーカーっぽくなったけど、タフトは逆にミリタリーっぽくて、かつての「ネイキッド」をほうふつとさせる。ひょっとして奥様には「戦争はイヤ!」って言われるかもしれないが、そういうところもカーマニア好みだ。

 近所の試乗コースへ乗り出して、改めてボディのしっかり感に感動した。さすがDNGA! 横に乗ってるセールスマンに「ドイツ車みたいですね!」とほめると、「ありがとうございます。こちらはターボですので、加速も思い通りです。高速道路でも追越車線をバンバン走れます」と、立て板に水で喋りまくりである。

 タントに比べると70kgくらい車重が軽いせいか、3000回転あたりからのターボのトルクの盛り上がりで、唐突に加速しすぎるくらい速い。速すぎるぜ!タフト!

 多少速度を上げると、SUVの車高の高さと軽自動車のタイヤの細さから、少しばかり安定感が足りない感じになるが、実用上は問題ない。これなら高速道路の追越車線を戦車のごとく堂々と走れるはずである。ノンターボモデルだと、多少の非力感はあろうが、それだって日本中どこを走っても、「遅い!」と思うことはあんまりないはずだ。

 もちろん室内も広い。ジムニーは3ドアなので多少不便なこともあるが、タフトは5ドアなので、ムーヴあたりと実用性はほとんど同じ。着座位置が高いぶん、見晴らしもいいし、なにしろボディが真四角だから、角の見切りがすさまじくイイ。これならどんなヘタクソでもラクに車庫入れできようて。

 いまや軽自動車でも自動ブレーキは常識だが、タフトも当然標準装備。ターボならACC(前車追従型クルーズコントロール)やレーンキープ機能も標準で付く。

「ところで、いま注文すると、納車まで時間がかかるんでしょうねえ」と聞くと、「いえ、そうでもありません。今すぐご注文いただければ、お盆明けくらいにはなんとかできると思います」とのことだった。さすがに新型コロナの影響大のようである。

 試乗したFFのGターボで見積りを取ってもらったところ、値引きは3万円。最上級のナビを付けて、諸経費込みで200万円強。今どきの軽はこれくらいがフツーなので納得です。

取材・文/清水草一

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

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