「アイドルならこのぐらい当然」を押し付けるファン、イベントで胸を…

日刊SPA! / 2020年7月19日 15時53分

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 SNSを中心に“ポテサラ論争”が巻き起こった。これは、スーパーの惣菜コーナーでポテトサラダを手にした子連れの主婦に向かって、高齢の男性が「母親ならポテサラくらい作ったらどうだ」と言い放ったという目撃情報のツイートに端を発するものだ。Twitter上では「ポテサラは手間のかかる料理か否か」「男性の発言はいかがなものか」と物議を醸した。

 実際、自分自身の「○○なら○○くらいできて当然」という思い込みを強要してくる人は少なくない。それは“アイドルの現場”においても日常茶飯事なのである。

◆Twitterでリプ返を強要、理想のアイドル像を押し付けるファン

「“アイドルはこうであるべきだ!”っていう理想を押し付けてくるオタさんは多いですね」

 とあるアイドルユニットに所属する苗さん(21歳・仮名)がこう話す。

「さすがにひと昔前のような“アイドルは黒髪で清純派じゃないとダメ!”なんて人はあまりいませんが、今ってTwitterやInstagramをみんなやってるじゃないですか?

 そのなかで、自分のものさしでアイドルに対して更新やリプ返(※コメントの返事を返すこと)を強要する人は多いんです。私のツイートに対してコメントしてくれるのはうれしいのですが、私が返事をしないと、『アイドルのクセになんでリプ返もしないわけ?』『君よりもっと売れてるアイドルは毎日リプ返をしてるよ、見習いなさい』『リプ返もしないなんて、アイドルとして意識が低い』なんて書き込まれることもあります。確かにアイドルとしてやった方がいいのはわかります。私も、出来る範囲で返してはいるんです。でも……」

 苗さんはアイドル活動と並行して現役大学生でもある。その二足のわらじだけでも大変そうだが、ひとり暮らしのためにアルバイトもしているそうだ。

「バイトは深夜のカラオケ店。大学に行ってからライブに出て、その後アルバイトするなんてこともあります。だから、本当に疲れて返事が返せないこともあるんです。もう帰ってすぐ爆睡みたいな。オタさんの中には、物販でチェキが売れてるから『苗チャン、俺より稼いでるんじゃない?』なんていう人もいるけど、とんでもない。半分くらいは事務所に持っていかれちゃうし、アイドルの月収は良くて5万円。

 アイドルが本業とはいえ、実家の経済的な問題もあってバイトをしないと生活はできないんです。実家暮らしとか彼氏に養ってもらってるとかなら、余裕もあるだろうけど。同じアイドルでも状況や環境は人それぞれ違うのを分かってほしいです」

◆“ニコニコとチェキを撮るだけで簡単な仕事”ではない

「ファンから『ニコニコとチェキを撮るだけで簡単な仕事だよね』と言われた時は、本当にカチンときましたね」と怒りを露わにするのは、グラビアアイドルのアキラさん(30歳・仮名)だ。

「DVDのリリースイベントの時に、購入特典でツーショットチェキを撮れるようにしたんです。私はポーズにNGが少ないほうなんで、手をつないだり、腕を組んだり程度のことはやっているんです。ただ、腕を組むのはOKとはいえ、自分の腕を思いっきり私の胸に押し当ててきた奴がいたんです」

 もちろん、アキラさんは水着。そのオタクは半袖だったそうだ。つまり、アキラさんの胸とオタクの腕がダイレクトにあたってしまうことになる。

「胸にベト~ってその人の腕と汗がついて、耐えきれなくなって『くっつきすぎですよぉ』って引き離したんですよ。そしたら『グラドルなんだからこれぐらい頑張りなよ。水着を着てチェキ撮ってるだけじゃん?』って。

 相当頭にきました。グラドルだから、水着を着ているから、触っていいわけないじゃないですか。それに全員が全員マナーが良くて清潔感があるわけじゃない。何日もお風呂に入っていないような人、口臭がひどい人、汗臭い人もいるし、うざいこと言ってくる人も多い。“ニコニコとチェキを撮るだけで簡単な仕事”だなんて勘違いも甚だしいです」

 一応、現役底辺グラドルでもある筆者も、彼女同様にイベントの際にわざと胸を触られ、注意したところ『グラドルでしょ?』と、さも当然のごとく言われた経験がある。またアキラさんは撮影会でも“グラドルだから”という理由で理不尽な強要をされたそうだ。

「グラビアのイメージDVDでは、際どいマイクロビキニを着たり、手ブラをしたりアイスを舐めたりしていますが、あくまでイメージDVDだからやっているんです。それを撮影会で強要してくる人もいます。『DVDで出来ることが何で撮影会で出来ないの?』って責められたことがあります。映像作品と撮影会は別物だと、いくら説明しても伝わらず。最終的に『グラドルとしてプロ意識もって同じことしろよ!』とまで言われて呆れたこともありました」

 人それぞれ「○○なら○○くらい出来て当然」という基準は違う。自分のうかつな発言で人を傷つけないように心がけたいものだ。<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。近著に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。Twitter:@sally_y0720

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