「貧困家庭」出身の凡人が東大合格。受験費用は100万円以上を節約して…

日刊SPA! / 2020年8月9日 15時53分

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布施川天馬

―[貧困東大生・布施川天馬]―

 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆贅沢は「数か月に一度のサイゼリヤ」だった幼少期

 皆さんは「受験」といわれると、どういうイメージを持つでしょうか。勉強がつらい、面倒くさい……そういう印象を持つ方が多いと思いますが、こう考える方も多いのではないでしょうか?「受験はとにかくカネがかかる」と。

 たしかに受験勉強ってとっても金がかかるんですよね。いい中学、高校、大学に行こうと思えば、独学で勉強して……というのは難しい。当然、塾に通うのが一番効率的なのですが、そうなるとどうしても一年間で100万円以上の出費となってしまいます。

「100万円も!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、塾の授業料、模試の受験料や夏期講習などの講習費用がかかりますし、移動にかかる交通費や食費まで数えなければならないので、どうしてもこれくらいはかかってしまいます。

 そして、上位の学校を狙うとなれば尚更です。東大に通う多くの学生も受験生だった頃は塾を掛け持ちしたり、参考書をたくさん買ったりして、めちゃくちゃ受験に金をかけて合格している場合がほとんどです。

 しかし、そんな中で、僕はおそらく誰よりも「お金をかけずに東大合格をもぎ取った人間」です。なぜお金をかけずに大学を受験したのかというと、僕の家は世帯年収が300万円台と非常に貧乏だったため、お金をかけたくてもかけられない事情がありました。

 子供の頃に外食した経験もほとんどなく、たまに連れていってもらったサイゼリヤのエビグラタンが僕にとってのごちそうでした。それも数か月に一度程度、僕にとってサイゼリヤのグラタンは特別なご褒美に感じられるものでした。

 そんな家庭なため、受験に対して10万円はおろか、1万円だって出すのが難しいような環境だったのです。

◆東大を目指さざるえなかった「切実な理由」

 しかし、それでも僕は東大に合格することができました。

「どうせ元から頭がよかったんでしょ」と思われる方もいるでしょうが、そうでもありません。僕が通っていたのは偏差値50〜55程度の学力的には平凡な学生が集まる高校で、東大への合格者も僕で同校史上3人目という状況。天才でも神童でもなんでもなく、基礎的な学力でいえば、どこにでもいる凡人です。もちろん学校の先生方には大変よくしていただきましたが、それでも東大の受験情報が少なすぎてとても苦労しました。

「お金がないなら無理して東大を目指さなくてはいいじゃないか!」と思われるかもしれません。確かにその通りなのですが、僕の場合は東大でなくてはいけない理由がありました。

 まず、大学に通おうと思ったのは両親の勧めでした。将来、お金で苦労したくないのであれば、絶対に大学までは進学しなさいと教えられていたからです。両親はともに貧乏な子供時代を過ごしていたようで、それぞれ夜逃げを経験していました。決していいとはいえない暮らしぶりを経験してきた両親だからこそ、せめて子供の僕には苦労しないで生活していってほしいと思ったのでしょう。

 実際、大卒で就職するのか高卒で就職するのかで数千万単位で生涯年収が異なってくるというデータもあります。「大学は絶対に出なさい」と言ってくれた両親には今も深く感謝しています。

◆同級生よりも「100万円以上」を節約して東大に合格

 わざわざ東大を目指したことにも明確な理由があります。

 僕の家の経済状況を考えれば、私立大学に通うのは不可能。また、一人暮らしをして大学に通うことになっても仕送りなどは一切できないとも言われていました。ですから、僕は「実家から通える範囲にある国立大学」に通おうと当初から決めていたのです。

 そして、その条件に当てはまる大学が東大くらいしかなかったのでした。試験慣れのために私立大学も受験しましたが、実際に合格しても通うことはできなかったでしょう。

 僕が受験生だった年にかかったお金は、参考書代と模試受験料、模試会場までの交通費程度だったので、もろもろ合わせても年間3万円以内には収まったはずです。

 塾に通っていたら授業料だけで80万円以上、特別講習費用や入塾料、塾までの交通費を考えると確実に100万円は超えてしまいますから、僕はほかの東大受験生よりも100万円以上は節約して東京大学に合格したということになります。

 僕の場合は各教科、必要だと思われる参考書を厳選し、選びぬいた本を一冊だけやり通すという方法を考えました。もちろん一口に受験参考書と言っても値段はピンからキリまでありますが、3000円を超えるような高価なものはあまり多くありません。なので、塾や予備校に通うよりも圧倒的に安価に済ませることができます。

 先日、僕が元々使っていた参考書を揃えなおすと、いくらで揃えることができるのかを検証してみました。ネットショッピングやフリーマーケットアプリを最大限活用し、最安値で揃えることを目指したところ、なんと1807円! わずかな費用で揃えなおすことが可能であるということが判明しました。

◆「お金がかけずに東大に合格する方法」とは?

 こうした僕の来歴を周囲に話すと、よく聞かれるのが「お金がかけずに東大に合格する方法」です。

 これまでの僕の経験を振り返ると、たしかに小さい頃から塾に通って必死に勉強しなくても、東大に合格することは可能であるといえます。お金を全然かけないでも東大に進学するだけの学力を得ることは誰でも十分にできます。

 具体的には「授業をしっかり聞くこと」だけです。

 授業中に寝ないで授業をしっかり聞いてノートを取り、「わからないこと」があったら、すぐに先生に質問をしにいく。質問事項や「わからないこと」を次の日に残さない。これを徹底すれば、東大に合格することも非現実的な話ではありません。

 なぜならすべての大学入試問題は「高校入試範囲の復習テスト」に過ぎないからです。「毎日の復習」だけしっかり行っていれば、どんなことでもわかるようになります。

 大事なのは「わからない」と思ったら、すぐに先生に質問をしに行って、「わからない」という感情を残さないことです。ですから、結果を出すためには授業をしっかり受けるということだけは絶対に怠らないようにしましょう。

◆「地道な積み重ね」こそが最善の戦略

 もしかしたら、あまりにシンプルな答えに肩すかしをくらった方もいるかもしれません。しかし、自分の体験や周囲の東大生から聞いた話から自信を持って言えるのは、この「授業をしっかり聞くこと」の重要性です。

 残念ながら地道な積み重ねなく、東大に合格できるような「ウラ技」はありません。

 そもそも受験勉強は「各人でスタート地点が異なるクソゲー」だと僕は考えています。環境に恵まれた人ならばいい教育を受けられるが、お金のない人たちは自分の努力でこの差をひっくり返さす必要があります。

 黙っていても充実した学習環境が与えられている人にも負けない成果を出すには、この「地道な積み重ね」をより確実に、より効率的に行うことが最善の戦略になります。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』が発売中

―[貧困東大生・布施川天馬]―

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