消費者金融3社からの電話が鳴りやまない借金地獄。万策尽きた僕は…

日刊SPA! / 2020年8月23日 15時51分

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―[負け犬の遠吠え]―

ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。
それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。

「マニラのカジノで破滅」したnoteで有名になったTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載。

 低空飛行の生活にもいよいよ破滅の音が聞こえだした、令和2年8月現在、借金の催促のお話です。

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 今月に入ってから、毎日2時間に1回くらいのペースでどこか知らない番号から電話がかかってくる。息を潜めて電話が鳴り終わるのを待ってから番号をネットで調べ、「レイク」「クレディセゾン」「アコム」などの名前を新規登録する。

 僕が多額の借金を作ったのはちょうど1年くらい前で、毎月の返済金額が25万円、家賃を含めた生活費が10万円、合計35万円ほど必要な生活が続いていた。最初の半年間は昼夜を問わず働いてなんとか凌いでいたが、不況の煽りを受け、全てのバイト先をリセットしてからは割のいいバイトも特に見つからず、少し足りない状況が続き、先月とうとう首が回らなくなったことを確信し、ドミノのように「電話に出ない」現状が完成してしまった。

 僕はすべてのカードの返済をリボ払いにしていた。100万借りてしまっても毎月の返済は3万円で済む。3万円なら一週間働けば手に入るし、パチンコで大勝して届く金額でもある。利息がヤバいからリボを活用する人間はアホ太郎、みたいな広告をよく見かけるが、そもそもリボでしか返せないくらい困窮しているからリボで借りる。入った沼がたまたま毒沼だったわけではなく、毒沼と知りながらも渡るしかないのがリボ利用者の実情なのだ。

 さらに言えば返済金額が安いからこそ、現実的に「今日明日中になんとかなるかもしれない」のがリボで、我々アホ太郎は高すぎる利息を犠牲にしてチャンスを掴もうとしている。諦めない姿勢の表れが、たまたまリボの形をしていただけだ。結果がすべての大人だから周囲にクズだのなんだの言われるが、僕が高校球児で、涙を飲んでリボ払いにしていたら、みんなその勇気に涙すると思う。大人になんかなりたくなかった。

 チャンスを掴めなかったリボ太郎は次に新しい沼を探す。コンビニや駅でクレジットカードの広告や営業を探し、家に帰って登録用紙を書き、片っ端から申請しまくる。これが3月。

 たとえ500万円近い借金があっても借り換えができるのもリボの優れているところだろう。多重債務者が新しいクレジットカードや消費者金融に登録して運よく手に入る枠はせいぜい10万円だ。クビが回らなくなって2社ほど返済が遅れても、とりあえず傷口を塞ぐことはできる。

 さて、この塞いだ傷口、もちろん絆創膏ではない。別の健康な皮膚を剥いで傷口に貼り付けているに過ぎない。剥がれた場所は次第に化膿し、病欠やクビで予期せぬ収入減に見舞われた時に新たな傷口となってしまう。こうしてフランケンシュタインのように身を切ってはくっつけを繰り返し、人の形をギリギリ保ってきた。

 借りすぎて、もう切れる部位がなくなってくると、そこからは延命措置の段階に入る。本来返済に充てるはずだったものの支払いを一時的に遅らせ、他の支払いに充てる。具体的に言えば、家賃を遅らせてカード会社への返済を済ませ、家賃の会社に謝りの電話を入れ、次の月は逆に返済に充てるはずの金で家賃を払い、カード会社に謝りの電話を入れる。僕は学生時代の体力測定で反復横跳びの成績が良く、左にペコペコ、右にペコペコするのは得意だった。これが3ヶ月続いた。限界ギリギリまで支払い期限を引き延ばし、なんとかカードの失効を免れ続け、家賃も半月遅れくらいで支払い続けることに成功していた。

 じわりじわりと支払いのペースが遅れ、徐々に左ペコ右ペコのスパンが短くなり、とうとうどの会社にも間に合わない段階がやってきた。2ヶ月前の分を支払い、先月の分を遅らせる。終わりが始まった。

 カード会社への対応も段々と苦しくなっていく。

「今週、いや、来週明けに払えるんで!」と言っていたのが、「今月末でなんとか……」になり、
「今2万あるんでとりあえずこれでもう少し待ってください……」と萎れていく。

 この時の財布の中身は3,000円ほどで、3日ほど働いて2万円を作って払う。この3日間の間にまた別の会社から催促の電話が来て、同じことを言う。

 これを繰り返すと1日あたり3万円用意しなければ間に合わない段階になり、アルバイトでは到達できないので、気づくとパチ屋に向かっている。オペレーターのお姉さんとの約束を守るために戦うことを選んだのだ。

 27歳。妻も子供も彼女もいない。ただ、声だけで繋がっているオペレーターのお姉さんとの約束を守るためだけになけなしの金をパチンコや競馬に突っ込む。最後まで諦めないのが漢だろう。猛暑の中、近所のパチンコ屋に向かう僕は、高校球児だった頃を思い出していた。目を閉じるとそこは県で一番大きな球場で、僕はセミの大合唱を応援歌にしながらバッターボックスに向かって歩いている……。

 何度も言っているが、このケースで勝てる人間はほとんどいない。

 三球三振、三振。バットにかすりもせずに球場を後にした。一回だけではない。競馬も競艇もオートレースもやってみたが、令和になってからの僕は本当に弱い。

 オペレーターのお姉さんとの約束はついぞ果たせず、働いた金も消えた。勝負に行ったのは後悔していない。諸々の支払い先がこれ以上待てないと言うのだ。間に合わせるためには戦うしかない。戦って、負けた。僕がまだ高校球児ならみんな同情の涙を流してくれただろうか。

 コツコツ働いて返すしかないのかもしれない。僕は現実の前に屈した。

 8月、僕はかなり働いている。だが催促の電話に出ることはなくなった。支払いを済ませて財布の中身が空になっている時に1日3回も、

「働いて返すんで3日待ってください」

 と答えるのに疲れてしまった。と言うより、3社からかかってくる時点でもうバイトでは足りなかった。連日もらう15,000円は、その日の夜か翌朝に消える。その状態で催促の電話に出て同じ話をするのに耐えられなくなった。

 無心でバイトに行き、金をもらい、返す。ただこれのみ。「もう少し待ってくれ」の言葉を飲み込む。催促の電話には出ないが、僕の背中を見てくれ。

「時間はかかるけど最後にはキッチリ払います」

 そうたしかに書いてあるだろう……。

 とは言えこのままだと許されないのはわかっている。必要なのは「一発逆転」だ。それもギャンブル以外が望ましい。何度も負けて後退していくのはごめんだし、そもそも僕が生涯で人生を賭けた勝負はバカラだけだ。裏カジノにもインターネットカジノにも行かないと決めているのは、法律で禁止されているからとかではなく、バカラを神聖視しているからだ。

 バカラは僕にとって“トクベツ”だから、特別な旅行の時にだけ勝負したい。そもそもそんな種銭すら無いのだが。

 とりあえず時間が無い中でも金が稼げるものを片っ端から調べ、まずyoutubeを始めた。隙間時間で副業もして、どうにか借金を完済、ひいては今間に合っていない返済を間に合わせよう。真面目に生まれ変わった僕はこれまでの自分を反省し、パチンコにも行かず、動画を作った。「借金しててごめんなさい」みたいな動画を延々と撮り、エンディングに吉田拓郎の歌を使い、登録者も1,000人を越え、ようやく収益申請ができるようになった。時給で間に合わないならそれ以外で稼げばいい。僕の目はまだ死んじゃいない。

 そう思っていたが、youtubeの収益審査に落ちた。著作権に引っかかっているのか、借金というコンテンツがダメなのか、googleは何も教えてくれなかった。カード会社からの電話にも完全に出ていない。もうマジで知らない。無理なものは無理。

 部屋でしょぼくれていると知らない番号から電話があった。カード会社と消費者金融の番号は全て登録した。前の職場の取引先が間違えたのかもしれない。引継ぎ業務をちゃんとせずに退職したので、こういうこともよくある。おそらく前の会社で契約している物件の管理会社からかもしれない。僕が窓口だったので、更新月で電話が来ることも多い。

「もしもし」

「あの、〇〇さんでしょうか」

「そうですけど」

次の瞬間、背中に虫が這う悪寒を覚えた。

「遅れて申し訳ございません。こちらレイクの者ですが……」

“二つ目の電話番号”での催促が始まった。

【犬】
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。
Twitter→@slave_of_girls
note→ギャンブル依存症

―[負け犬の遠吠え]―

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