クラファン175万円獲得のアイドル・森ふうか。神対応の極意は「ホテル時代に学んだ」

日刊SPA! / 2020年10月2日 6時50分

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 これまで活動の拠点だったライブがコロナ禍の影響で難しくなったアイドルたち。先の見えぬ状況で卒業・解散を決断するメンバーも少なくない。しかし、そんな中で前向きな再スタートを切っているアイドルもいる。この8月からソロアイドルとして活動を始めた森ふうかさんもそのひとりだ。

 彼女はアイドルユニット「純粋カフェ・ラッテ」を今年4月に卒業し、事務所を退所。フリーランスのソロアイドルとして芸能活動を再開する際に、オリジナル楽曲と衣装制作のためのクラウドファンディングを行った。わずか90分で目標金額を達成、最終的に目標の約2.5倍近くとなる170万円以上の支援を集めたのだ。

 彼女がファンから熱い支持を受けるのは、実はアイドル時代の“神対応”にあるという。それは、あの有名ホテルコンシェルジュとして働いたことが影響しているとか……。インタビュー前、「今日はよろしくお願いします! 森ふうかです!」と差し出された名刺はこのご時世にはありがたいマスク入り。こんなところから「とにかく相手に覚えてもらってこそ」のフリーランスアイドルの気概が伝わってくる。

――森さんは事務所に所属しないフリーランスのアイドルとして、8月に再スタートをきったわけですが、このコロナ禍の中で不安もあったのでは?

森ふうか(以下、森) それがなかったんですよ。たしかにライブは出来ないけど、私以外もみんなできない。特に大手が動けない今、小回り効いて動ける自分が“輝ける”チャンスだと思ったんです。他のアイドルがやることなくって任天堂スイッチの『どうぶつの森』をやっているの見ると、「どんどんやって! 私はみんながゲームしている間に、しっかり準備するぞ!」と思っていました(笑)。

――むしろ前しか向かない気持ちだったんですね。もともとアイドルになる前はホテルのコンシェルジュとして働かれてたそうですが、ちなみにどこのホテルですか?

森 あの、舞浜駅にある……。

――舞浜駅といえば、夢の国……そこのホテルということは、めちゃくちゃ一流じゃないですか! 

森 接客業が本当に好きなんです。就職する前は、高校時代からマクドナルドで5年間働いてて、スタッフの技能コンテスト「オールジャパンクルーコンテスト」で東京山梨エリアで優勝させていただいたりしました。それから、さらに接客業のトップを目指すなら、あの“夢の国のホテル”しかないなって思って、専門学校で接客を学んで就職できたんです。

――マクドナルドの接客トップクラスてのも凄いですけど、ホテル社員の中でもコンシェルジュってのも皆やれる仕事じゃないですよね。

森 特に私が勤めたホテルはお客様の8割以上が記念日の利用で、プロポーズや結婚記念日など一生に一度の思いでいらっしゃる方が多かったんです。そういうゲストに対して、どういう対応すれば喜んでくれるのか、常に考える仕事でやりがいありましたね。

――でも、アイドルをやりたくて退職されたと。

森 そうなんです。21歳の時でした。オーディションの募集要項を見ると、年齢制限が「21歳まで」だったりして、アイドルになるならラストチャンスだなと思ったんです。それに占いを見てみたら、「今が12年に1度の幸運期!」など書いてあり、「人生変えるなら今しかない!」とアイドルの道に進むことにしました!

◆“夢の国”コンシェルジュ接客とアイドル接触は同じ!?

 21歳で有名ホテルコンシェルジュを辞め、あらためてアイドル業界を学ぶべく地下アイドルのスタッフとなった森さん。その後、撮影会をきっかけに知り合った芸能事務所に入リ、アイドル活動をスタートすることに。

森 最初は既にあるアイドルユニットの新メンバーという感じでスタートしたんですけど、よくある話で3か月で解散しちゃって。ただ、自分としても後から入った形なので「自分ならこうするのにな~」ってところが多かったんです。それで所属事務所に「自分にゼロからアイドルグループをやらせてくれませんか! メンバーのスカウトからプロデュースも全部やるから!」ってお願いして、2017年に『純粋カフェ・ラッテ』を作らせてもらいました。

――自分もアイドルなのにメンバーのスカウトってのも凄いですね。

森 原宿の街角に立ち、スカウトもしたんですが……なかなか面接までは来てくれない。結局、初期メンバーは友達とか撮影会で知り合った人とか、めちゃめちゃ身内だったんですけど(笑)。

――それでグループを始動して。ちなみにそれ以前から「接客のプロ」としてお仕事されてたわけですけど、ファンとの交流にもそれは活きましたか?

森 活きましたね! 心がけていたのは、物販とかに来てくださったファンの方が“何を求めているか”を瞬時に判断すること。「私にしゃべってほしい人」「自分がしゃべりたい人」「写真を撮りたい人」「ライブで盛り上がりたい人」とかいろいろタイプがあって、それを読み取って話すのことを心がけていました。

――夢の国のホテルのスタッフとか、お客さんの顔とかすごく覚えてるって評判ですよね。

森 そうなんです。コンシェルジュ当時、お客さんについてのメモはめっちゃとりました! 毎回来ていただいたお客様の特徴とかお話したこととか書いて残して、2回目の予約いただいた時にそれをふまえて接客したり。アイドルになってからも、見た目や性格とか話した内容とか覚えて名前覚えるようにしてたんです。

――そこから『純粋カフェ・ラッテ』はTOKYO IDOL FESTIVALや@JAMといったアイドルフェスに出演するなど、順調に成長していましたが、今年3月に活動休止。森さんも4月に卒業しました。これは正直コロナの影響もあったんでしょうか?

森 正直言って、コロナとはあんまり関係がないんですよ。ユニットとして目標に掲げてた「新宿RENYでワンマンを開催」「全国流通CDを出す」というのを2月3月と叶えたところで、メンバーと今後について会議したんです。あらためて話し合ってみると、それぞれ今後の夢や考えがあって、皆で考えた結果「ここからはそれぞれの道を行った方がいいな」ということになったんです。私も個人の未来を考えると、ここまでは根性論でやってきたけど、ここから先はそれだけではやっていけないなと思って、何度も迷ったんですが卒業を決めました。

――もうひとつ上のブレイクは根性だけではどうにもならない。

森 あと、私は一生アイドルやりたいと思ってて、その夢を叶え続けるとしたらグループを率いてリーダーとしてやっていく方がいいのか? 別の道がいいのか? ということを考えたんです。自分の中に「ファンファースト」という考えがあって、グループのことももちろん大好きだったんですけど、自分のファンが長く推せて幸せにするのはそっちかな、と思ったんです。ユニット辞めるのはファンも悲しいと思うけど、それを超える感動や楽しさを与えて、幸せにできるって自信があったんで卒業を決めましたね。

◆コロナ下ではお金の話をはっきりした方が安心して推せる

 フリーでの活動を決めたものの、それまでの衣装や楽曲はもちろん前事務所のものなので一切使えない。森さんは再びアイドルとしてステージに立つため、最低必要なオリジナル曲と衣装を制作するためにクラウドファンディングをスタート。それも1か月で集めるつもりだった目標金額65万円は開始90分で達成! 彼女を待ち望むファンの期待値の高さを見せつけた。

――フリーになって、まずクラウドファンディングからスタートした理由は?

森 正直言って、資金がなかったからです(笑)。

――ぶっちゃけ、以前は給料どれくらいもらってました?

森 ギリギリ一人暮らし出来る程度ですね。バイトはしてなかったです。

――バイトしなくて一人で住めるのは、いわゆるライブアイドルではちゃんともらえてる方に入りますね(笑)。

森 バイトせずにアイドルの活動だけで生活する、というのは自分でも決めていて、バイトする時間があったら「自分に何が足りないんだろう?」と考える。上乗せするための努力をするようにはしてましたね。

――いざ、フリーになって大変なことは?

森 請求書とかお金のことは全部やらなきゃいけないことですね(笑)。イベントに出たりするのにしろ、出演料のシステムなんか初めて知りましたし、曲や衣装作ったりするのは好きなんですけど、それにいくらお金かけて作ってるのかとかは勉強ばかりですね。あとクラウドファンディングのリターンを送る時のゆうパックの送り状なんかも200人分くらいぜんぶ自分で書いてますし、お仕事のメールのやりとりも全部自分でやったりしてます。

――事務作業もぜんぶ自分でやってるんですね。

森 事務所を介さなくなって「フリーになってめっちゃ稼いでるでしょ?」って言われるんですけど、初期費用だけで100万円かかってるし、「じゃあ同じことやってみて!」って言いたいです(笑)。クラウドファンディングも、出来るだけファンにリターンを返したいと思ってるので、ぜんぜん稼いだ感はないですね。ただ、ファンに支えてもらってる実感は前より感じます。

――事務所がないことでファンとの距離は変わった感じがしますか?

森 ファンとの距離は近くなりましたし、クラウドファンディングをやって気づいたのが、生々しい言い方ですけど、自分の使ったお金が衣装や楽曲になってるってのはファンからすると安心なんですよね。

――「100%推しに渡ってる」ということですね。

森 そうなんです(笑)。使い道がはっきりしてるので、応援しがいがある。ファンからするとこのコロナの時期にアイドルたちが生活できてるのか不安に感じてると思いますけど、フリーだとストレートにわかるんですね。私も自分で「今はクラウドファンディングにお金使ってほしい。それがいちばん助かるし支援になる」って言ってます。アイドルだとお金の話とかしづらい空気があると思いますけど、こういうコロナ禍の状況だとむしろはっきりお金の話をする方が安心して推せるんじゃないかと思います。

◆困ってるフリーランスや事務所問題で悩んでる子を救えるサークルを作りたい

 ライブイベントの物販が大きな資金源であるライブアイドル。2月以降のコロナ拡大でライブハウスの営業が難しくなったことは活動にも大きなマイナスであったが、まだ制限はあるものの少しずつ活動は再開中。森さんも9月21日には生誕ライブを開催し、11月15日に主催ライブ「森フェス」開催を発表するなど、少しずつアイドルとしての活動を拡大しつつある。

――現在アイドルはなかなかライブは数多く出れない状況ですけど、森さんはそれ以外で収益はどういう形で得てるんですか?

森 撮影会に出たり、あと「talkport」というファンと1対1で喋れるアプリがあって、その話す枠を1分2千円で販売したりしてます。遠くにいて会えないファンの方とも近くに感じれますし、支援の意味も込めて楽しく喋っていただいてますね。

――アイドルは新しいネットサービスを活用して、ファンとの繋がりをうまく継続できていますよね。

森 ネット以外でも、「ふうさんぽ」っていう私が事前に予告して公園とかをふらっとするイベントをやってて、これはアイドルライブ行きづらいなって人も私に会いに来てほしいなと思って始めたんです。遠目に見るだけでもいいし、近くで一緒に散歩してもいいし。利益は一切出ないですけど、対バンライブに出るよりも新規のお客さんが来てくれるし、ビラ配りみたいなもんですね(笑)。

――利益を出すこともやりつつ、新規のファンを掴む無料イベントも平行してやってるんですね。

森 やっぱりアイドルはファンがいるってのがベースだと思いますし、ファンを増やし続けなきゃいけない。コロナでも生きていけてるのは、これまでのファンとの信頼関係のおかげだと思います。

――「スーパーポジティブアイドル」を名乗ってる森さんですが、正直落ち込むときはないですか?

森 うーん、そうですねえ……。慣れないなと思うのは、SNSなんかの噂話なんかでファンの方が落ち込んだり、いなくなっちゃったりした時ですかね。ファンがいなくなったりする瞬間はいつでもイヤですね。一回一回気にしてたらダメだなって思いながらも、ファンに情があるんで悲しいですね。「あの人、最近来なくなったな」とか気づくと落ちこみます。それを引きずりすぎるのもよくないので、直さなきゃいけないと思ってるんですけど……重い女なんで(笑)。

――ファン思いなのはいいことですけどね! では森さんのこの先の目標は?

森 いつかアイドルによるサークル活動をしたいと思っていて、私みたいなフリーランスで困ってる子とか、事務所問題で悩んでる子、いろんな子が集まって部活みたいに楽しめる場を作りたいんですね。これからアイドルになりたいけど、その子のやる気に合わせて事務所を紹介したり、いろんなお手伝いをする「森サークル」を作りたいです。

――それってもう「アイドルのコンシェルジュ」ですよね。

森 そうかもしれない(笑)。

――個人としては立ちたいステージとか、このテレビ番組に出たいとかないんですか?「武道館に立ちたい!」みたいな。

森 そういう具体的な目標はないんですよね、「武道館行って何するんだろ?」みたいな(笑)。それよりも長く続けて生活できるアイドルを目指して、ファンと一歩一歩進んでいけたらいいですね。その結果として「売れる」に繋がるんじゃないかと。見てる人は必ずいると思いますし。「ファンが堅実に安心して推せるアイドル」が目標です!

(取材・文・撮影/大坪ケムタ)

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