コロナで就活できない大学生たち「希望業種にエントリすらできない」

日刊SPA! / 2020年10月16日 8時52分

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※写真はイメージです(以下同)

 コロナ禍によって授業はオンラインが中心となり、学校に通うこともままならない状態の大学生。アルバイトやサークル活動をはじめ、これまでの日常が失われてしまったわけだが、“就職活動”にも影響が出ているという。さまざまな業界が大打撃を受け、新卒採用どころではなくなってしまった企業も少なくないのであるが……。

◆希望の業界が壊滅状態、就職そのものに黄信号

 東京都内の私大文学部4年生・中田理美さん(仮名・22才)は、4年に進級して以降、一度も学校には通っていない。理由はもちろん「コロナ」なのだが、中田さんの場合、大学近くに借りていたワンルームマンションをすでに引き払い、広島県の実家に戻っていた。

 中田さんは旅行が趣味、というよりも「人生の全て」と語るほどで、就職は旅行業界と決めていた。大学3年生の頃にはインターンシップにも通っていた。しかし、このコロナ禍だ。旅行業界は多くの企業が大打撃を受けていることは周知のとおり。

 社員の基本給の減額やボーナスカットなど、新卒採用どころの話ではなくなってきているのだ。政府主導の「GoToキャンペーン」などがあったとはいえ、先行きは見えない。採用人数を抑制する動きや、21年卒の採用活動自体を中止する企業も出た。

「まさかの選考中止。目の前が真っ暗になりました。それで慌てて就職活動を再開し始めたのですが、希望する業界はコロナで全滅。来年まで待ったところで望みも薄いのかなって」(中田さん、以下同)

 中田さんは今、方向転換を余儀なくされている。

「今はオンラインで採用を始めている会社の担当者とビデオチャットで相談したり、月に2度ほど上京して、就職セミナーに参加したりしています。ただ、いまはアルバイトもできないので交通費や宿泊費を出すのすら本当にツラいです」

 今頃は、仲の良い友人たちと思い出づくりをしたり、卒業旅行のことを考えたりしていたはずなのに……。コロナのせいですべてが狂ってしまったと、中田さんは唇を噛み締めた。

◆コロナが長引けば来年の就職活動にも悪影響

 神奈川県内の私立大学3年生・本田翔平さん(仮名・21才)も、コロナ禍によって日常生活の大半を失ったひとりである。幸いにも実家暮らしであったため、食と住に困ることはなかったが、自分たちの世代こそ「忘れられているのではないか」という危機感が、日々強くなっていると話す。

「今の4年生は、ギリギリ内定した人たちもいる。内定取り消し食らった人でも、別の業界や企業が救済の手を差し伸べてくれるケースもあるそうですね。じゃあ今の3年はどうなのか、誰もわからない。コロナ禍は来年も続き、旅行業界だけでなく、他の業界にも影響が出ると言われ、今の4年生より就職が厳しくなるかもしれない」(本田さん、以下同)

 本来であれば、もうそろそろ就活に向けて動き出すタイミングなのだが、まともに就活ができている友人や知人はいない。授業もないし、アルバイトもない。

 収入が厳しくなり、生活が成り立たなくなったという異性の友人らが水商売で仕事を始めたりと、身の回りで信じられないことが起こり始めているという。

「別の大学では、学生に給付金が出たとも聞いていますが、うちは一切なし。就職課に掛け合っても、今は3年生より4年生のことで手一杯という感じ。俺らの世代が一番やばいんじゃないか、と周囲も気がつき始めています」

◆新卒採用どころか会社が潰れる

 本当にそうした「事態」が起きているのか。

 就職情報サイトの営業担当・中西公彦さん(仮名・30代)が声を潜める。

「まず、対面でのセミナーの類がほとんどできなくなっており、企業はオンラインで採用活動をするしかなくなっています。さらに、弊社に求人情報を載せる企業側の動きも相当に鈍っていて、『来年度の採用を見送りたい』という企業はすでに少なくない数が出てきています。このままコロナ禍が続けば、多くの会社が潰れてしまう。就職うんぬん以前の問題です」(中西さん)

 就職活動は前向きに頑張ればなんとかなる、というのは平時の話。普通の日常さえも取り戻すことが厳しくなっているという現実が、大学生たちを苦しめているのだ。<取材・文/森原ドンタコス>

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