サッカー日本代表にもハーフ化の波。U-19では6人が選出

日刊SPA! / 2020年10月19日 8時50分

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◆日本代表にも迫るサッカー国際化の波

 ついにサッカー日本代表にも国際化の波が迫っているかもしれない。

 代表格と言えるのが、幼少期からスペインの名門バルセロナの下部組織で育ち、A代表でも地位を確立しつつあるMF久保建英(19=ビジャレアル)。両親ともに日本人だが、スペイン語も堪能で、その堂々としたプレースタイルや取材時などの受け答えは異彩を放つ。そんな久保を筆頭に、彼と同世代となるU-19(19歳以下)日本代表の陣容も実に興味深いものとなっている。

 同代表は9月14日から3日間、そして10月4日からも4日間の日程で千葉県内にあるJFA夢フィールドで強化合宿を行った。2021年にインドネシアで開催予定のU-20W杯出場を目指すチームだが、招集リストを見て目を引いたのは、ハーフ選手の多さだ。9月の合宿では全29選手中、約5分の1となる6人、10月も全26選手中5人がハーフ選手だった。

 顔ぶれはGK鈴木彩艶(18=浦和レッズユース)、GK野澤大志ブランドン(17=FC東京)、DFモヨマルコム強志(19=法政大)、DFバングーナガンデ佳史扶(19=FC東京)、MF藤田譲瑠チマ(18=東京ヴェルディ)、FW櫻川ソロモン(19=ジェフユナイテッド千葉)。GKからFWまでバランスよく招集されていた。

 この6選手のうち、鈴木とバングーナガンデはガーナ、藤田と櫻川はナイジェリアと、アフリカ系ハーフが実に4人。野澤は米国、モヨマルコムは英国と欧米系ハーフも2人となった。

◆元代表内田篤人がロールモデルコーチとして急遽参加

 同代表合宿は8月にも行われる予定だったが、初日の検査で新型コロナウイルス陽性者が出て中止に。今回が7月以来2度目の活動となることに加え、8月に現役を引退したばかりの元日本代表DF内田篤人(32)がロールモデルコーチとして急きょ参加することに。当然、会場には多くの報道陣も集まった。

 練習ではドイツの名門シャルケで欧州チャンピオンズリーグにも出場するなど海外クラブで長く経験を積んだ内田コーチが、同じサイドバックを主戦場とするバングーナガンデ佳史扶や櫻川ソロモンらに積極的に話しかける場面もあった。彼らにとっても大きな刺激を受けた合宿となっただろう。

 そして、この世代の強みはハーフ選手以外の人材も豊富なこと。9月の合宿には、すでにJ1クラブで多くの出場機会を得ているDF成瀬竣平(19=名古屋)、MF荒木遼太郎(18=鹿島)、FW斉藤光毅(19=横浜FC)ら将来性豊かなタレントたちも名を連ね、印象的なプレーを披露していた。久保建英ら海外組にもタレントは充実しており、父がナイジェリア人のGK小久保玲央ブライアン(19=ベンフィカ)、FW若月大和(18=シオンFC)らがいる。少し下の世代に目を向けると、世界的強豪レアル・マドリードの下部組織にはMF中井卓大(16)もいる。彼もまた欧州のビッグクラブで最先端の教えを学びながら、着実にカテゴリー昇格を続けている楽しみな逸材だ。

◆欧州強豪国は他国にルーツを持つ選手が豊富

 久保らを筆頭に若い年齢から海外で経験を積んだ選手と、日本人離れした身体能力などを強みとするハーフ選手の組み合わせ。これは今までの日本代表になかった要素であり、代表強化の面でも新たな時代の流れと言える。世界に目を向けると、直近の2018年ロシアW杯で優勝したフランスは代表メンバー23人中、半数以上の15人をアフリカにルーツを持つ選手で占めた。

 それ以外でもFWアントワーヌ・グリーズマンはポルトガルやドイツ、FWオリビエ・ジルーはイタリアにルーツを持っていた。歴史的な背景も影響しているとはいえ、世界のサッカー界ではラグビーのように他国にルーツを持つ選手が代表選手として活躍する例が珍しくないのである。

 かつてのサッカー日本代表では90年代にW杯初出場を目指してFWラモス瑠偉やロペスワグナーらが活躍。その後も2002年日韓W杯、2006年ドイツW杯でMF三都主アレサンドロ、2010年W杯ではDF田中マルクス闘莉王と、ブラジルから帰化した選手が主力としてチームを支えてきた。2014年ブラジル大会、2018年ロシアW杯ではドイツ人ハーフのDF酒井高徳が出場。

 これまでW杯に日本代表として出場した帰化選手やハーフ選手が各大会1人ずつにとどまっているところを見ても、U-19日本代表などから感じられるハーフ選手の多さは相当なものだと言える。しかも彼らの多くはハーフとはいえ日本育ち。言語面での心配はなく、身体能力の高さに加え、勤勉で献身的な日本人のメンタリティーを併せ持つ利点は大きいだろう。

 選手たちは18歳でレアル・マドリードと契約した久保建英の存在をかなり意識しており、「彼に負けられない」と意気込む選手は多い。こうした競争意識の高さも良い兆候だ。今のU-19日本代表は、次の2022年カタールW杯を20~21歳で迎える世代。このチームから何人かの選手がその舞台に立つ可能性も低くはないだろう。

 10月のA代表の親善試合は海外クラブでプレーする選手のみの招集となった。それだけでも隔世の感があるが、このままのペースでいけば、いつしかA代表メンバーの大部分がハーフ選手で埋まる日もそう遠くはないかもしれない。

 U-19日本代表がまず目指すのは3大会連続となるU-20W杯出場。今年10月に行われる予定だった同大会出場権をかけた「AFC U-19アジア選手権」は新型コロナウイルスの影響で21年に延期された。彼らはサッカー関係者に「新黄金世代」とも称される期待の世代。来年にあらためて迎えるアジア予選を勝ち抜き、未来を担う若武者たちが世界の舞台で躍進することを願いたい。

文/福沢 隼

【福沢 隼】
サッカーを中心に取材する30代前半のスポーツライター。コロナ禍以前は海外にも積極的に取材に赴く。マイナースポーツにも明るい。

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