関西で人気の「都そば」が提供するラーメンがうまいワケ

日刊SPA! / 2020年10月29日 8時51分

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昔ながらのラーメンは460円

 東京で駅前の風景に「富士そば」はつきものだが、大阪であればそれが「都そば」である。そんな都そばの、東京唯一の店舗で出される「ラーメン」が美味いという噂を耳にし、実際に食べにいってみることにした。

◆関東出汁と関西出汁

 東西のそば・うどんの違いといえば何と言っても出汁だろう。九州育ちの筆者も、上京してはじめて入った「富士そば」で目の当たりにした真っ黒な出汁には面食らってしまい、食べ残して店を後にした記憶が鮮烈にある。

 西日本育ちの人にとっては、それほど出汁の違いは大きなもので、都内で関西風の出汁でうどんやそばを提供する店は、稀有ながら人気が集まっている。こちら「都そば 日比谷店」は、うどんを注文すると関西風と関東風の出汁のどちらかが選べるようになっている。

◆「都そば」とは?

 簡単に紹介すると、都そばは大阪誠和食品株式会社が経営する立ち食いそば・うどんチェーンだ。関西地方以外の人には耳馴染みの薄い名前かもしれないが、特に京阪神地域を中心に50店舗ほどが展開されており、その規模は同業種で最大級を誇る。駅前で素早く廉価で食べられるスタイルは、東京の富士そばにもなぞらえられるほど、ポピュラーな存在となっている。その都そば、東京唯一の店舗が日比谷の帝国劇場の地下で、営業している。

 華やかで大きな間口の劇場入り口の脇に、ひっそりとした地下への入り口。少し寂れた風情ではあるが、入り口が異なるため、帝国劇場の休館日でも利用できる。

 店内に入ると、手前に立ち食いのスペースがあり奥にはテーブル席も広く取ってある。掲げられたメニューは、かけそば・うどんが310円からと、都内の立ち食いそばチェーン店と同じほどの価格帯。関東で大きな店舗展開をしていないということは、仕入れや在庫管理を徹底しないとロスが増えてしまう。

 そのためか、他のチェーン店に比べて品数が多いとは言えないが、中心となる客層は、有楽町や日比谷周辺のサラリーマンなので、ルーティンのように食べるには申し分ないだろう。しかも、トッピングだけでなく出汁の味を2種類から選べるとなると、単純にメニュー数は2倍となる。

◆そば屋の侮れないラーメン

 店内にはそば・うどんの出汁の香りが漂っているが、その中で、今回のお目当である正油ラーメン(460円)を注文すると、数分で出来上がってきた。薄めの茶褐色をしたスープに黄色がかった中細麺で、具はチャーシュー・ネギ・ナルト・海苔が浮かぶ。まず麺をいただくと、こちらはいわゆる、業務用といった風情のベタなもので普通。具のチャーシューは豚ロースで、しっかりと味が染み込んでいる。脂も少なめなところが、こうした「昔ながらのラーメン」にはマッチしている。

 このチャーシューはもちろん、ネギ以外の具はうどんやそばに入れられている様子はないので、このラーメンのためだけに作られているのだろう。そしてスープをいただくと、そばやうどんとは違った鶏ガラの香りが口に広がる。空腹だったせいか、最初の一口目は薄くも感じたが、こうしたスープは塩気が強いと後半に食べ疲れに襲われる。しかしこちらは、食べ進めてもそれがなかったということは、適度な濃さであったということだ。さっぱりしているけれど、しっかり出汁の取られた芯のある味付けで、スープは確かに噂通り美味しかった。

 厨房の女性店員に話を伺うと「他の(立ち食い)蕎麦屋で出されるラーメンは、そば用の出汁に中華スープを足して作ったりするところも多いけど、うちは専用の鶏ガラスープを使っているんですよ」と答えてくれた。ふらりと立ち寄った立ち食いそば屋で、これだけきちんとしたスープをいただけるのはとても嬉しい。

 関東風と関西風の両方の出汁が楽しめる「都そば」東京唯一の店舗。毎日通っても味の変化が楽しめるが、そのサークルに、この侮れないラーメンを加えるのもアリかもしれない。<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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