ボーナス激減でローンが返せない…… 「応急処置」と「予防策」を専門家に聞いてみた

日刊SPA! / 2020年11月19日 8時51分

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(写真はイメージです)

 コロナ失業や収入減により、ローンの支払いに困窮する人がかつてないほど増えている。マイホームの差し押さえに自己破産……。ローン返済が滞れば、これまでの日常は瞬く間に崩れ去る。新型コロナによって顕在化した「ローン破綻の落とし穴」はどこか?

◆“ボーナス払い”をアテにしている家庭は特に要注意

 ローン破綻が急増するなか、多くの人が頭を悩ませているのが支払い額の大きい住宅ローンだ。「フラット35」を手がける住宅金融支援機構には、ローン返済の一時猶予や見直しを求める相談が殺到。返済猶予が承認された件数は5月時点で2265件。コロナ以前の2月と比べると151倍にのぼっている。

 そんななか、住宅ローン破綻のリスクがもっとも高いのは、ボーナス払いでのローン返済を設定している家庭に他ならない。すでにJTBは冬のボーナスをゼロにすることを発表。またオリエンタルランドは7割削減、公務員に関してもボーナスを引き下げる公算が大きいことが報じられている。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏はこう語る。

「夏のボーナスは前年10月から3月までの業績が反映されるため、コロナ禍でも支給された企業も多くありました。しかし冬のボーナスは、業績が悪化した4月から9月が対象。さらに今後、コロナの感染状況がどうなるか先行き不透明ななか、人件費を削りたい多くの企業がボーナスを削減、もしくはカットすると予想されます。特に大企業は、年収に占めるボーナスの割合が高い傾向があります。そのため、この冬のローン破綻のリスクは、極めて高いと言わざるを得ません」

◆【応急処置①】返済に困ったら「延滞」ではなく「相談」

 ボーナス払いを設定している人は約4割とも言われ、今冬は多くの人が返済に苦慮することが容易に想像できる。では、ボーナス減に直面したとき、どうすればいいのか? 黒田氏が提示する「応急処置」は次のとおりだ。

「まずは借入先の金融機関にいち早く相談して、返済方法を見直すことです。返済見直しの相談をすることは、かつての貸し剥がしのイメージも相まってハードルが高く感じる人もいるかもしれません。普段、融資を受けることに慣れていないサラリーマンならなおさらでしょう。
 しかし各金融機関には、『リーマンショック時のような破綻者を新たに出さないように』と金融庁から返済猶予などの要請を受けており、コロナ禍で危機的な状態と言える現在は丁寧にヒアリングをしてくれることが期待できます。具体的にはボーナス返済月を変更して、後ろにずらし、その間に準備をする。また返済の内訳を変更して、ボーナス返済の金額を減らすやり方もあります。いっそこのタイミングでボーナス返済を取りやめるとするのも一つの策ですね」

 しかし、返済期間の延長は慎重に行いたい。

「現在の住宅ローンの金利の低さや物件価格の高騰から、最長35年返済で、めいっぱいローンを組んでいる人も多く見られますが、最初から35年フルでローンを組んでいる場合、返済期間の延長は現実的でありません」

「2019年度 フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構発表)によると、近年、利用者の平均年齢は上昇傾向にあるという。’19年度は平均40.2歳で、35年返済なら単純計算でも完済できる年齢は75歳となる。そこからさらにローン返済期間を延ばしてしまうと、ローンが返し終わるのが先か、寿命が尽きるのが先か、わからなくなってしまうので注意したい。

◆【応急処置②】固定費をゼロから見直す

 返済の猶予や返済方法の変更を認めてもらえたとしても、当然ながらいずれはその分を返済する必要に迫られる。コロナ収束の見通しが立たず、収入アップへの明るい材料がない以上、支出を減らして家計を立て直すことが急務だ。

「猶予期間は貯金積立も一時的にストップ、民間保険の保険料も、多くの保険会社が保険料払込猶予の措置をしています。一時的にストップできるものは止めて返済に回すようにしましょう。そうしたうえで、すでにある貯蓄は取り崩さないのが鉄則です」

◆【応急処置③】公的制度をフル活用せよ

 もちろん支出のスリム化も限度がある。収入減を補填するためには、公的支援を頼ることも忘れずに。

「すでに10万円の特別定額給付金を手にした人は多いはずですが、意外と見落としがちなのが自治体独自の公的制度。コロナ禍において、国の施策とは別に自治体ごとにコロナ困窮者を支援する制度が多数設けられているのです。とはいえ、自分がどの給付金の対象に当てはまるのか自力で探すのは慣れない人には難しい。

 そんな人には、家計簿計簿アプリ「Zaim」に搭載された「わたしの給付金」機能をオススメしています。居住地や年齢など自分の属性を入力することで、自分が利用できる制度を確認できるので、まずはチェックしてみてください。こうして、使えるものは何でも使う。そのためにもこまめに相談窓口に足を運んだり、情報収集をするなど自助努力が必要だと思います」

 こうした応急処置で凌ぐべき期間の目安は、最長で半年。その期間、さまざまな策を練ってもどうしても首が回らない場合は、「つらいですが、家を手放すことも視野にいれるべき」(黒田氏)だという。

「家を売る、という決断は家計に体力があるうちにすべきです。ローン返済を数か月延滞するほど困窮してからでは手の施しようがなく、市場相場よりも大幅に安く競売にかけられ、家を売っても多額の負債だけが残る最悪の状況に陥ってしまいます。もうひとつ、なにより絶対に避けたいのが、新たに借金をすること。借金返済に新たな借金を重ねても、その場は凌げても新たな破綻リスクが増えるだけです」

◆コロナ禍を「家計の棚卸し期間」にすべき

 実際に返済に苦労した際の“応急処置”を経て、次に取り組みたいのはローン破綻の“予防策”だ。

「コロナ禍は、ビジネスからプライベートまで、あらゆる社会生活での不要不急のものをあぶり出しました。これは家計も同じです。ぜひこのタイミングで家計には、なにが必要でなにか必要でないか『棚卸しの期間』としても捉えてみてください。そうすればおのずと、無理なローンを組むこともなくなるはずです」

 このコロナ禍では、企業も個人も「やはりモノを言うのは現金」と痛感した人も多いはず。近年は老後資金のために投資に手を出す人も増えていたが「やはり現金は多めに持っておきたい。ひとり世帯なら生活費の3か月分、家族と暮らしているならば半年分の現金は、少なくても手元においておくべき」(黒田氏)だとか。

 気象庁の発表によると、暖冬だった昨年とは違い、「冬らしい寒さ」になるといわれる今年の冬。家計にとっても厳しい冬となりそうだが、これらの方策を念頭になんとか乗り越えたいものだ……。

ファイナンシャル・プランナー
黒田尚子氏
CFP®、1級FP技能士。消費生活専門相談員資格。日本総合研究所に勤務後、’98年にFPとして独立。『50代からのお金のはなし』(プレジデント社)など著書多数

〈文・取材/アケミン〉

―[[ローン破綻]の現実]―

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