コロナ禍で実家に帰った大学生、“帰省警察”の目に「生きた心地がしなかった」

日刊SPA! / 2021年1月6日 15時51分

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 コロナ禍で初めて迎えた年末年始。やはりというか、従前に心配の声が上がっていたように「帰省警察」ともいうべき人々に思わぬ「攻撃」を受けたという声が、続々と出始めている。

◆万全のコロナ対策で帰省

「もう1年以上帰省できておらず、就職も決まったし、今年くらいは絶対に両親と過ごしたいと思ったんです」

 新年早々、リモート取材に答えてくれたのは東北地方出身で都内在住の私立大学4年、安藤佳那さん(21才・仮名)。

 帰省は成人式以来、コロナ禍で厳しい就職活動となったがなんとか内定を得て、晴れて久々の「家族水入らず」を楽しむべく、実家に帰ったという。

 実家はいわゆる「過疎地域」にあり、ご近所さんは皆高齢者。自分が帰省したことで地元にウイルスをばら撒いてはならないと思い、自腹で民間のPCR検査を受け陰性であることを確認するなど、徹底した感染症対策も行った。

◆無事に実家に帰れたときは涙が出た

「新幹線とローカル線を乗り継いで、自宅の最寄り駅までは、父が車で迎えにきてくれました。もちろん、その間に他の人との濃厚接触はありません。どこにも立ち寄ってはいません。無事自宅の玄関に着いたときは、思わず涙が溢れてしまいました」(安藤さん、以下同)

 都会での一人ぼっちの生活、誰にも会えないという時期も気丈に振る舞ってきた反動からか、自宅の安堵感に泣いてしまったという安藤さん。両親と兄弟で、久しぶりに穏やかな時間を過ごすことができると思っていた矢先、買い物から帰ってきた母親が目に涙を浮かべていた。

◆「東京の土産なんか受け取るな」

「母が魚屋に買い物に行ったところ、東京から娘さんが帰ってきているだろう、店に来ないでくれと言われたそうです。お正月用のお刺身を買えずにごめんね、と謝られてしまって……」

 誰にも見られていない、と思っていたが、安藤さん一家のある行動によって、噂が広まってしまっていた。それは……。

「昔から面倒を見てくれていた近所のおばさんに帰省の度にお土産を渡していて、今回も母に届けてもらったんです。おばさんは快く受け取ってくれたのですが、おばさんの息子さんが『東京の土産なんか受け取るな』と怒ってしまったらしくて」

 おばさんの息子は隣県在住で、正月に合わせて帰省していたのだが、自分を棚に上げて「東京から帰ってきた」安藤さんが非常識だとまわりの人々に触れ回っていたというのである。さらに……。

「近くの工場に勤めているお父さんのところにも電話がきて、娘がいるのなら正月明けに出社をするなと言われたんです」

 周囲の監視が気になってしまい、生きた心地がしなかったと話す安藤さん。まさに「帰省警察」の標的となったわけだが、帰省に敏感になった人々は、やむを得ない理由で移動しなければならない人たちにも牙を向ける。

◆車の「東京」ナンバーを隠すように注意される

 東京の拠点から地方に商品を運搬するトラックドライバー・徳本善彦さん(仮名)が重い口を開く。

「中部地方の山間部に商品を届けに行ったところ、物流拠点の職員から、ナンバーなどを隠すよう言われました。要は、東京から来たトラックだということがバレるとまずい、というのです」(徳本さん)

 実は同じようなことは、春に「緊急事態宣言」が発令された時にも起きていた。その際は、トラックの荷台に塗装されていた社名や「東京」の文字をシールで隠すほどだったというが、またあの時と同じことが起きるのか、と肩を落とす。

「緊急事態宣言がまた出るとなれば、ますます仕事がやりづらくなるでしょうね」(同)

 コロナウイルスの再流行とともに、「帰省警察」や「移動警察」の活動も活発化していくのか。<取材・文/森原ドンタコス>

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