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M-1準優勝でブレイク、こがけんの歌芸が音楽マニアをうならせる理由

日刊SPA! / 2021年2月17日 18時45分

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こがけん Instagramより

 2月4日放送の『スッキリ!』(日テレ)を観ていて、久々にテレビで声を出して笑ってしまいました。お笑いコンビ「おいでやすこが」のこがけん(41)のネタ、マジカルマイクが、あまりにも素晴らしかったからです。

◆勝手に洋楽化する歌ネタ「マジカルマイク」が素晴らしい

“歌が下手でも上手く歌うことができる”マジカルマイク(価格100万円)を手にした音痴のアニオタ。ためしにドラゴンボールZのテーマを歌ってみると、元の曲そっちのけでハードロックのボーカルみたいに英語詞(デタラメ)をシャウトしてしまう。「思ってた上手さと違う!」と戸惑いながら、次は崖の上のポニョの主題歌にトライ。すると今度はソウルシンガーのように泥臭さくこぶしを回す。

 他にもコブクロの「桜」や、スマホの着信音。オチは『news zero』の旧バージョンのジングルにも反応して、カラダが勝手に洋楽化してしまうというネタなのです。

 こうして文字にすると、いかにもあっさりとしてしまいますが、ひとつひとつのフレージングに込めた情報の練られ方はかなりのもの。

 たとえば、最初のドラゴンボールZの一発目のシャウトは、「Panama」(ヴァン・ヘイレン)のデイヴィッド・リー・ロスを彷彿とさせますし、その後のAメロは映画『ビバリーヒルズコップ2』の主題歌「Shakedown」(ボブ・シーガー)を思い出してしまう。80年代の産業ロックテイスト満載なのですね。

 コブクロの「桜」でのサビ終わりの盛り上げ方も絶品です。音楽好きならば、“バラードあるある”で膝をたたきたくなるだろう、紋切り型のフェイクをドヤ顔でキメてみせる。音楽的にダサい要素を抜かりなく再現している点に、こがけんの批評眼がピリッと効いているように思いました。

◆モノマネではなく、ロックの笑える部分を一般化する

 しかし、こがけんがスマートなのは、あくまでもモノマネをしているのではないということです。特定の誰かを模写するのではなく、あるジャンルの全体的な特徴をとらえているから、イントロと歌メロでモチーフが違ったとしても、ひとつのネタとしてまとまりが生まれる。

 さらに、“80年代の産業ロック”などというワードを知らない年齢層に対しても、“それ、あるある”と納得させている点も見逃せません。門外漢にも伝わるほどに咀嚼したうえで、“アメリカのロック”の笑える部分を一般化している。

 この、ニュアンスを鷲掴みする観察力と分析力の鋭さ。そして、何よりもマニアックになりすぎず、いい塩梅でアウトプットする力加減には恐れ入ります。

 というわけで、あまりマジメに絶賛していると、かえって営業妨害になってしまいそうなのですが、久々に下地のある笑いに感動しました。
 パロディアルバムでも作ってくれないかなぁ。

【こがけん】1979年生まれ。慶応大学卒業後、NSCに入りコンビ芸人に。一時休業して板前修行、2008年からピン芸人となる。2019年、ピン芸人のおいでやす小田と、ユニット「おいでやすこが」を結成。2020年M-1グランプリでは、歌ネタでまさかの準優勝を果たす。M-1以前はテレビ出演が月1本だったのが月20本以上に増えたという Twitter:@kogakogaken

<文/音楽批評・石黒隆之>

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