1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

松本まりか「はじめてのチュウ」は“音痴だからいい” 歌ヘタ女優たちの魅力

日刊SPA! / 2021年3月26日 8時50分

写真

「鏡月」ホームページより

文/椎名基樹

 松本まりかが、サントリー「鏡月焼酎ハイ」のCMで歌う「はじめてのチュウ」の破壊力が凄い。実に堂々とした音痴っぷりである。鼻にかかったその声は、往年の音痴女優・紗栄子を思い出した。だが、女優がCMで歌う歌は、これぐらい調子っぱずれの方が印象に残る。特にアルコール類のCMには、楽しげでぴったりてある。

 松本まりかはCMの撮影現場で「聴いているスタッフの皆さん、ズッコケ~ってなっちゃうかもしれないけど、大丈夫ですか?」と尋ねたという。確かに「ズッコケ~」となりました。ニヤけながら。それにしても「ズッコケ~」って……(笑)。若年アイドルが、決して持ち合わせない、松本まりかのボキャブラリーもまたすばらしい。

◆高畑充希、杏、有村架純…CMで歌う“歌ウマ女優”たち

 昨今、女優に懐メロを歌わせるCMがトレンドになっている。それらを見ると、最近の女優は非常に歌がうまいことを、改めて気づかされる。高畑充希が歌う、X JAPANの「紅」、杏は尾崎豊の「僕が僕であるために」、満島ひかりは中島みゆきの「ファイト!」、有村架純が歌うTHE BLUE HEARTSの「情熱の薔薇」、上白石萌歌はCharaの「やさしい気持ち」など、皆、非常にレベルが高い。ただ、歌唱力がある女優だけがCMで歌うとなったら非常に寂しい。

 CMは歌唱力を競う場ではなく、インパクト勝負であるから、「下手だからこそ価値がある」と言う逆説が成り立つ。女優が調子っぱずれな歌を披露するだけでコミカルである。そして、何より可愛い。コミカルで可愛いものには親しみが湧く。それはCMにおいて、最大の武器になるのではないだろうか。

◆CDデビューもした伝説の音痴女優

 ’80年代、’90年代までは、女優は並行して歌手活動も行っており、大胆にも彼女たちはCDデビューを果たしていた。そうした慣習のおかげで、沢口靖子、吹石一恵など、伝説的な音痴女優が誕生した。

 現在ではCDが売れないせいなのか、女優や事務所関係者が「気づいてしまった」ためなのか、女優が無差別に歌手デビューする事はなくなってしまった。しかし私は音痴な歌が聞きたい。音痴な歌の天然の面白さ、可愛いらしさは他に変えがたい。音痴女優の存在を絶えさせてはならない。音痴がセールスポイントともなるCMは、女優の調子っぱずれな歌が聴ける最後の砦である。

◆他にもいる魅力的な“歌ヘタ女優”たち

 最近の女優は皆歌が上手いと書いたが、もちろん松本まりか以外にも例外がいる。MONGOL800の「小さな恋の歌」を歌う浜辺美波の破壊力は、松本まりかに匹敵する。彼女がCMで披露したダンスも、ドタドタと音が聞こえてきそうで、全くリズム感がなかった。しかし、やはりコミカルで可愛いく、非常に印象に残る。鈍臭さと屈託のない笑顔が、しっくりと重なる。

 「女優×懐メロ」のCMのさきがけとも言える、宮﨑あおいが歌うTHE BLUE HEARTSの「1000 のバイオリン」もとっても音痴で非常によろしい。小学生のように、元気ハツラツに歌った「誰かに金を貸してた気がする。そんな事はもうどうでもいいんだ」(笑)と言う歌詞が耳に残る。

◆あえて恥部を晒す、松本まりかのプロ根性

 松本まりかは、昨年9月に放送された音楽番組「THE MUSIC DAY」(日本テレビ系)で初めて生歌を披露した時、思うように歌えなかった悔しさから楽屋で号泣したと言う。そして「歌手でもない私が錚々たる顔ぶれの中で生歌を披露して恥をかいたことに意味がある」「いい時に、誰もやらないことをやって恥部を晒す。ダメな部分も含めて、いろんな顔を知ってもらいたい」(「MAQUIA(マキア)」12月号より)というコメントを残した。すごいプロ根性だ。彼女は、子どもの頃から音痴を自覚して「歌手は今世では無理だな……」と思っていたらしい。

 音痴を自覚して人前で歌う事をNGにしている女優はたくさんいるだろう。しかし、松本まりかは、そしてきっと浜辺美波や宮﨑あおいも、音痴を自覚しながら克己(こっき)して、人前で歌っているのだ(宮崎あおいは、ちょっと自信満々にも見えないこともないけれど)。女優の音痴CMは、彼女たちがあえて自分の恥ずかしいところを見せてくれた、サービス満点のお宝映像なのである。それは非常に人を惹きつける。音痴は才能! 音痴を自認する女優のみなさんは、惜しむことなくその才能を発揮して欲しい。

【椎名基樹】
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング