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巷のEVとトヨタMIRAI。その共通点と相違点

日刊SPA! / 2021年4月11日 8時51分

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MIRAIの乗り心地は、トヨタで一番いい!

◆トヨタMIRAIは何なのか? 実はEVだけじゃない、クルマの電動化

 普通の自動車は、エンジンを動かすために燃料が必要です。一方、電気自動車(EV)は、モーターを動かすために電気が必要。だから電池を搭載し、給油の代わりに充電が必要です。で、エンジンとモーターの両方を駆使しているのが、いわゆるハイブリッドなんですが、じゃあ燃料電池車(FCV)は何なのか? 素人向けに解説してみました!

西村直人=文 Text by Nishimura Naoto

◆今さら聞けないクルマの電動化

 脱ガソリンの掛け声で、一気に熱を帯びているのが自動車の電動化ムーブメントだ。

 こうした活動の背景には、「SDGs」(持続可能な開発目標)の精神がある。ご存じのとおり「SDGs」は、分野の異なる17の国際目標を立てて、使いっぱなしの世界から、人や物を大切にする世界へ変えましょうという地球規模での声掛け運動のことだ。

 現在、日本には約8000万台の自動車があって、その多くがガソリンや軽油を燃やす内燃機関(「ICE」という)を動力にして走っている。燃料を燃やして走るから当然、温室効果ガスの一つとされる「二酸化炭素/CO2」が排出される。

「なるほど! だから自動車も電動化なのか!」と腹落ちしたいところだが、実際のところ自動車の電動化には内燃機関+電気モーターを動力にしているハイブリッドカーも含まれるから、ちょっとだけややこしい。

 さらに言えば、今回の主役である燃料電池車(FCV)も電動化された自動車に含まれる。

 そもそも燃料電池車とは何か? 2代目になったトヨタのFCV「MIRAI」を例に解説してみよう。

◆FCVは充電しないEVだ!

 FCVにも電池があるのだが、電気自動車(EV)のように充電の必要がない。燃料として高圧縮した水素(気体)をタンクに充填し、その水素と空気中の酸素を心臓部「FCスタック」で化学反応させることで発電。この電気でモーターを回して走るのがFCVなのだ。何も燃やさないからCO2はゼロ。残るのは化学反応で排出される水のみだ。

◆FCスタックは小さな発電所だ!

 FCVに搭載される「FCスタック」は、いわば小さな発電所というべきもの。重量32㎏で体積29Lと極小ながら、ガソリンエンジンなら2Lスポーツエンジン並みの174馬力を生み出す。

◆FCスタックは汎用性が高い!

 乗用車の内燃機関は、車種間での部品の流用はあっても、求める性能が違うため、一部を除いて商用車やほかのモビリティには使えなかった。その点FCスタックは小さな発電所なので、大型・小型トラックやトラクター、電車、船などにも転用可能。トヨタは、かねてよりFCスタックをパッケージ化した燃料電池システムを事業者向けに販売しており、この先も転用先は拡大する。用途が広いから改善サイクルも早く、早期の大幅コストダウンも視野に入る。

 筆者は、実際に東京都営バスの路線バスとしても活躍するFCバス「SORA」のプロトタイプに試乗したことがある。初代MIRAIの電動モーターとFCスタックを2個ずつ搭載し、10本の水素タンクの総容量は600L。発進停止を繰り返す営業運転だと、これで200㎞走ることができる。

◆FCVの走りは?

 ところで、FCVの走りはどうなのか?

 MIRAIは電動モーター駆動なので走行性能は、まさにEVだ。速さは日産「リーフ」と、その高出力版「リーフe+」の中間あたりの速さだ。

 まあ、試乗車は車両重量が1930㎏もあったので、それを考えれば必要十分以上に速い。重さのわりに、どんな場面でも力強く走った。

◆乗り心地は?

 では、乗り心地はどうか?

 なんといっても驚くのは、走行中ウルトラ静かなこと。筆者はこれまで世界中のEVやFCVに乗ってきたが、それとは比較にならない。イメージ的には、ノイズキャンセルヘッドフォンをつけているみたいで、騒音は遮るものの、たとえば隣車線から迫る他車の走行音など、運転に必要な音は耳に伝わるので安全性も高かった。

 しかも、前席後席ともに快適で、乗り心地はトヨタ車で一番といってもいい! プラットフォームの基本を共有するレクサスの最高級車LSよりも良かった。

◆燃費性能は?

 肝心の燃費性能はどうか?

 水素は1kg1210円(試乗時に充填したスタンドでの価格)。今回の取材では、平均132㎞/㎏走ったので、1㎞走るのに9.2円。ハイオクガソリン車換算でいえばリッター16.9㎞となる。意外に普通と思うかもしれないが、経済産業省が2030年までに水素の単価を3分の1に、最終的には5分の1にする計画を掲げており、5分の1になればリッター67㎞走るガソリン車と燃料コストは同等になる。

 CO2削減のために自動車の電動化は待ったなし。そのなかにあって安価な方法で実現を目指すFCVは、ただのイロモノではないのだ。

◆【MIRAI】
2代目トヨタ「MIRAI」は710万円~。3本搭載する水素タンクの総容量は141L。WLTCモードで135㎞~152㎞/㎏、水素の一充填当たりの走行距離は参考値で750㎞~850㎞(いずれもグレードにより異なる)。FCVはタンクの水素を使って化学反応させて発電してモーターを動かし、EVは充電池に蓄えた電気を使ってモーターを動かす。なお、MIRAIの水素の充填は約3分で終わる

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