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小林誠司がトレードされない巨人のチーム事情。数字から読み解く

日刊SPA! / 2021年5月14日 15時52分

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◆編成数からプロ野球を考える

 ここ数年、話題が尽きない巨人の正捕手論争。大城、炭谷、岸田、そして現在2軍にいる小林誠司。小林の強肩は球界トップレベルであることには異論はないだろうが、どうにもチームでの評価が高くないのが現状だ。

 どうせ1軍で使わないならトレードしてあげればいいのに……というファンの声は多い。日本代表にも選ばれたことのある実績と未だ健在の強肩があれば、欲しいと思う球団はありそうだ。実際捕手はなかなか替えの効かないポジションなので、トレードに関する報道は尽きないことに加え、ここ数年は常にトレードの話題が上がるものの、実現には至っていない。

 一部からは「飼い殺しなのでは?」という声もあるが、最近の巨人はむしろ積極的にトレードを推奨している球団なのは野球ファンならご存知のとおりだろう。今年だけでも既に田口=廣岡のトレードや、山本泰寛が阪神へ金銭トレードされたりと、むしろ飼い殺しをしない球団である。では、なぜ小林誠司は2軍のままトレードにも出されず在籍しているのだろうか。支配下登録の選手数から考察してみた。

◆巨人は3軍まで合わせて捕手9人 これ以上捕手は減らせない

 その答えは、巨人の捕手数にある。現在巨人で支配下登録されている選手のうち、捕手登録は6名、そして育成は3名で合計9名しかいないのである。育成選手は全体で27名いるのだが、割合を見ても捕手率は低い。同じく3軍を持ち、22名の育成選手を抱えるソフトバンクも育成捕手は3名だが、支配下登録の捕手が7名と一人多い。

 基本的に1チームで3人の捕手を用意するのが普通であることを考えると、ソフトバンクは1軍、2軍、3軍の3チームで合計10人の捕手がいるために余裕が一人分あるわけだが、巨人にはそれがない。もし捕手に故障者が出れば、どこかで捕手2人体制で試合に望まなくてはいけない状況が生まれることになるのだ。

 今年のキャンプで石川慎吾内野手が捕手練習をしていたが、「1軍クラスの捕手が豊富な巨人に必要か?」と思うファンも多かっただろう。原監督は「危機管理」とコメントしていたが、2軍や3軍の捕手数を考えればすでに危機管理が必要な状態であることは数で示されていたのである。

 こんな状態で小林誠司をトレードに出すのは現実的ではない。コロナ禍でいつ選手が感染しメンバーが不足するかわからないシーズン。捕手が足りなくなることは絶対に避けなければいけない。巨人に捕手を放出する余裕は選手数視点では「ない」のだ。

◆2軍までしかない他球団でも基本捕手7名以上

 そして2軍までしかない他球団(※3軍がリハビリ目的の広島を含む)を見ると、育成選手まで含めた捕手の人数は全球団7人以上となっている。つまり、1,2軍で3.5人以上の捕手がいる状態で編成されており、これ以上の捕手を獲得すると飽和状態になることを意味する。

 小林が欲しいと思ってシーズン中に加入させても、捕手が余ってしまい、ファームで試合に出られない若手捕手が出てくるだけなのである。

◆小林残留は現有戦力で戦うという巨人の強い意志表明

 捕手が飽和してでも欲しいと考える他球団があるだろうか。選手数を見る限り厳しいと言わざるを得ないだろう。

 昨年、巨人は育成捕手3選手に戦力外通告をして、育成ドラフトで捕手を3人指名して、9名を維持する判断をしている。3軍まで保有しながら捕手は数をギリギリで運用し続けているので、巨人フロントは「現在契約している捕手でシーズンを戦う」という強い意志を持っているといえよう。

 つまり、このギリギリな捕手数編成はフロントからは小林誠司を戦力として見ていることを示している。だが、現場の判断が一致しておらず現在の状況になっている可能性は否定できない。その結果、飼い殺しのような状態に追い込まれているのだとしたら寂しい限りだ。小林からすれば現場の評価を取り戻し、1軍で強肩を披露するしか打開する道はなさそうである。

〈文/佐藤永記〉

【佐藤永記】
公営競技ライター・Youtuber。シグナルRightの名前で2010年、ニコ生で全ての公営競技を解説できる生主として話題に。現在はYoutube「公営競技大学」を運営。子育てやSE業界の話題なども扱う。Twitter:@signalright

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