1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

FCVはEVより断然イイ!でも乗用車としての未来はない

日刊SPA! / 2021年5月16日 8時52分

写真

2代目MIRAIの航続距離は約850㎞。額面通りなら、担当Kの青森の実家まで走れます。ただし、東北地方は仙台以北に水素ステーションがないので、行ったら最後、自力で帰京はムリですが

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

◆かつての究極のエコカーは今……

 自動車会社⇒モビリティカンパニーへの変革を目指して進化中の我らがトヨタ。富士山の麓に実証実験のための街まで作っちまうなど、その深謀遠慮は庶民には測りかねますが、燃料電池の市販車は、今の日本ではちょっと難しいかもしれません。テスラ・モデル3に比べると、乗り心地もフィーリングもとってもいいので、カーマニアとして応援はしてますが…….

MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

◆EV&ECVに突きつけられた難題

「我が国は2030年までに、CO2排出量を2013年度比で46%削減することを目指します」という菅義偉総理の発表を聞いて、「えええ~~~~~っ!」と叫んでしまいました。 

 あと10年しかないじゃんかー! ムリムリムリムリ~~~っ!!

 例えばクルマの分野に関しては、仮にすべてのクルマをEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)にしたって、CO2削減効果なんざ、たかが知れている。EVは火力発電の割合を劇的に減らさなきゃあんまり意味ないし、FCVだってCO2を出さずに作ったグリーン水素を使わなきゃダメだ。そのどっちも、日本にとってはハードルが高い!

◆EVは見込みがあるが……

 もちろん長期的には、太陽光や風力発電をドカンと増やして発電のカーボンフリー化を進め、グリーン電力(再生可能エネルギー)で走るEVも増やすというのが、王道の攻めではある。

 でも、グリーン水素製造は国内では超難題だ。欧州みたいに、太陽光や風力発電が大増加してコストも劇的に下がり、時間帯によっては電力が大量に余りそうな地域なら、その余った電力で水を電気分解して水素を作ればいいけど、日本は地形的な制約が非常にキツいこともあって、10年以内にとてもそこまでは行けまい。

◆MIRAIに未来なし?

 かつてFCVは、「究極のエコカー」と言われた。そして日本は、水素社会の実現を国策に定めた。大トヨタはそれに応え、世界初のFCVである初代MIRAIをリリースしたが、グリーン水素の運搬や供給の高コストを考えれば、MIRAIに未来はなかった! EVのほうが断然早道! テスラCEOのイーロン・マスクはFCVについて「馬鹿げている」と言ったけど、確かにその通り!

 トヨタはハイブリッドで世界を制した。FCVでも世界に先駆けた。EVでも、革新的な全固体電池の開発でリードしていると言われている。でも、さすがのトヨタも戦力を分散させすぎじゃないか? もうFCVはあきらめてもよくないですか!?

◆新型MIRAIはカーマニアを虜にする

 そう思いながら新型MIRAIに乗ったのですが、その乗り味のまろやかさに、カーマニアとしてノックアウトされてしまいました。

 FCVは、水素タンクの水素と空気中の酸素を反応させて電気を起こし、それで走る。つまり形を変えたEVだが、バッテリーEVとは明らかにフィーリングが違う。

 普通のEVは、アクセルを踏んだ瞬間にドカンと加速する。タメとか余韻みたいなものはゼロに近い。それがEVの楽しさでもあるわけだが、内燃エンジン車に慣れ親しんだ者としては、電気スイッチみたいなその感覚に徐々に嫌気を覚え始めていた。

◆内燃エンジンのような乗り心地

 ところがFCVは違う。アクセルを踏むと水素タンクから水素が送り込まれ、空気中の酸素と反応させて電気を起こし、それでモーターを回して加速するので、そこには内燃エンジンみたいな微妙な反応の遅れや、ターボみたいな盛り上がりがある! しかもアクセルを深く踏み込むと、あれは燃料電池が空気を吸い込む音でしょうかねえ、「シュワァ~~~ッ!」みたいな音がして、まるで大パワーのガソリン車みたい。オレはEVより断然こっちが好きだ!

◆燃料電池車には未来がある!これでいいのだ!

 そんな折、豊田章男社長は、日野といすずと共同し、燃料電池トラックを開発すると発表した。しかも、福島県のメガソーラー電力で製造したグリーン水素を使って走らせるという!

 トラックをバッテリーの電気で動かそうとすると、車体が重くなりすぎるし、デカいだけに充電も大変だ。燃料電池は乗用車向きではないけれど、トラックなどの大型車には向いている。トラック用と割り切れば、設置費用のかさむ水素ステーションも、効率的に集中させられる。MIRAIに未来はなくても、燃料電池技術はトラックやバスで生きる!

 そのうえトヨタは、この5月、水素エンジン車(水素を燃やして走るクルマ)をレースで走らせるという。カーマニアとして、断然水素を応援したくなりました、涙。

◆【結論!】

たぶんMIRAIに未来はないが、トヨタの水素戦略には脱帽するしかない。古典的カーマニアとしては、MIRAIに乗って電気自動車よりも燃料電池車が断然好きになりました。陰ながら応援させてください!敬礼!

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング