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峰なゆか×川上奈々美。AV女優は5年で一回息が途絶える

日刊SPA! / 2021年7月30日 15時51分

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 2005年に『恋のから騒ぎ』出身女優としてAVデビューし、2009年に引退。その後、漫画家として活動し『アラサーちゃん 無修正』が大ヒット、現在は『AV女優ちゃん』を連載中の峰なゆか。2012年にAVデビューし、俳優やアーティストとしても活動の幅を広げ、本年をもってAV界を引退する川上奈々美。「元・AV女優」の肩書きを持った二人の女性が日刊SPA!で初対面にして初対談! それぞれの時代の業界事情や、AV女優たちのセカンドキャリアについて語った。

◆二人はいかにしてAV女優になったのか

峰:『AV女優ちゃん』でも描きましたが、私の場合は「貧乏専門学校生でカネがなくて困っていたときにスカウトされた」というのがデビューのきっかけだったんです。川上さんはどうだったんですか?

川上:峰さん、漫画で「あんまり頭のよくない高校に行っていた」って描かれてましたよね。私も同じです。福井県の田舎高校に通っていて……。

峰:あっ、私は岐阜県です。

川上:似てる! 場所じゃなくて、他県から見た立ち位置が似てる県同士!

峰:そうそう。東京の人に出身地を聞かれて全然盛り上がらない場所というか。やっぱり田舎の女の子ってAVに行っちゃうんですかね。でも、何でそういう学校に通ってたんですか?

川上:私は親に勉強しなくていいって言われてたんですよ。私はお兄ちゃんがいるんですけど、習字と水泳と塾に通っていたんです。でも、私は女の子だから字が綺麗なだけでいいって言われて水泳には通えなくて、今でも泳げないんですよね。そんなんだったから、福井県で一番スカートが短いバカ校に行きました。

峰:同じくです。うちもちょっと屈めばパンツが見えるようなスカート丈でしたね。

◆二人の女子高生時代は?

川上:あるんですね、岐阜にも(笑)。何科だったんですか?

峰:家政科です。そこが一番偏差値が低い科で、普通科、商業科、看護科の順に教室が並んでて、廊下の奥に行くほどどんどん頭が悪くなっていって、どんどん汚くなっていくっていう(笑)。他の科の子は家政科には怖くて近寄らないみたいな感じでした。でも、ワルかったからリスペクトはされてましたね。

川上:共学?

峰:いえ、女子校でした。でも、近くに底辺工業高校の男子校があって、そことペアを組んでるみたいな感じでしたね。

川上:私はほとんど男子校みたいな高校のテキスタイルデザイン科です。うちのクラスは女子ばっかりでしたけど、その他は工業系でほとんど男子。

峰:モテました?

川上:モテました! 小中がエスカレーター制だったのもあって、一念発起で高校デビューして見せましたよ。ツイストスパイラルパーマとかかけたりして。

峰:そんな女子高生がどうやってAV女優になったのか気になります。

川上:私は純粋に東京に憧れていたんですよ。高校の時からエステティシャンになりたくて。なんか、私が世の中のすべての女性を幸せにしてみせる!っていう、思い込みの強い感じが当時あって。ちょっとズレたフェミというか(笑)。というのも、17歳の時に初めて男性にフラれたんですね。すごく愛されてぐいぐい来られてたにも関わらず突然「別れよう」って言われて、自分が全否定された気分になって、男なんかこの世からいなくなればいい!って思ったんです。

峰:極端!

川上:そうなんですよ。私、思い込みが激しくてバカ素直で。プロのエステティシャンになって、社長になって一軒家買って見返してやるって心に決めたんです。そして無事に某大手エステ企業に就職したんですけど、やっぱり現実はそう甘くないですよね。

峰:いきなり次期社長にはね。

◆Vってなんだろう? って

川上:かなり虐められたり、パワハラも横行していて、揉まれたんですよ。それでしんどくなってる時に渋谷のスクランブル交差点を歩いていたら声を掛けられて、事務所に行ったらそこが芸能系の仕事をしてるって。「今の仕事辛いからやります!」って契約したんですけど、仕事が決まったって連れていってもらったら「じゃあ、脱いでみようか」って。それが結局、AVだったんです(※スカウトしたのは現在の所属事務所とは別の事務所)

峰:それ、どう思いました? 最初から怪しいとか感じなかったんですか?

川上:怪しいと思ったのはギリギリでしたね。「V撮影〇日に決まったよ」ってメールきて、Vってなんだろう?って。

峰:そう! 業界人ってAVのことをVっていうんですよね。アダルトを抜いておけばいいだろ、みたいな。雑過ぎる……。

川上:現場に行ってマジか~とは思ったんですけど、田舎者なので空気乱すの苦手なんで断れなかったです。

峰:でも、ああいう場に芸能の仕事だと思って行って、スタジオまで入っちゃったら断れる子なんていないんじゃないですか。怖いことがあるんじゃないかと思うだろうし。出演強要問題が注目されるようになって、今はだいぶ状況が変わってきたとは思うけど、本人もOKしているし契約書にサインもしているとはいえ、このスカウトの仕方はグレーなのではっていう例は、以前はたくさんありましたよね。

川上:そうそう。私も殺されるんじゃないかと思いましたもん。サービス精神も相当ありましたし、デビュー作見るとわかるんですけど凄いハイテンションで撮ったんですよ。男優さんとの3絡み目で「撮影どう?」って普通のテンションで聞かれて、「たーのしー!」って(笑)。あれは今見たら絶対ヤバい人。でも、私はもともとしんどいときほど笑っちゃうクセがあるんです。うちの父も同じで、おかんに怒られてる時ほどニヤニヤしてるんですよね。それに似ちゃったのかな。

峰:私はしんどいときに限ってエロい声が出ちゃう人なんですよ。マラソン大会でも声が凄くエロくなって「あん、あん」って。真面目にやれって怒られてました(笑)。瓶の堅い蓋を開けるときとかも、全力でやると「あぁ~ん!」って。人前では気を使って普通に「えいっ」ってやるんですが、それだと100%の力が出ないので、結局「あぁ~~あぁ~~~」って。だから、AV撮影も疲れてきた方が盛り上がるタイプでした。

川上:AV、天職じゃないですか(笑)。

峰:そういう意味では合ってたんでしょうね。でも今日、川上さんを初めて見てめっちゃ最近のAV女優は顔も可愛いなぁって思いましたよ。女子アナみたいじゃないですか。昔はけっこうブスな子がいっぱいいたんですよ。

川上:本当に普通の子がデビューしちゃってますよね。頭も心も、ごく一般の。マインズにも外資系OLやってた子、いますもん。私、その子に英会話の学校を紹介してもらいましたよ(笑)

◆実はデビュー作が一番売れなかった

峰:昔はちょっと考えなしじゃないとAVなんか出なかったけど、今は普通より賢いくらいじゃないと上手くやっていけないと思いますよ。同時期(2005年ころ)に活動していた鈴木涼美さんとよく「私たち今なら絶対に企画デビューだよね……ちょいブスだから。パイパイでかいだけで」って話しますもん。ちょいブス巨乳は今も需要はあるでしょうけど、単体はいけませんね。

川上:実は私は、デビュー作が一番売れなかったんですよ。おっぱいもない、イモっぽい田舎っぽい感じで……。その頃は全く垢ぬけてなくて、全く可愛いとは言えない感じで。ただ、そこからウナギ登りになった珍しいパターン。意地とやる気だけで上手いことやってこれました。

峰:今、デビューして何年になるんですか?

川上:来年1月で10周年なんです。まあ、やりきりましたね。もういいやってなりました。

峰:でも、そんなに長くやってる人ってどうやってメンタルを維持してるんですか? しんどくなりません?

川上:プライベートの恋愛は、まあ上手くいかないですよね。仕事のことしか考えてない。常にどうやって売れるか、どうやって作品のクオリティ上げるかを考えてばかり。私の場合は、芝居力を上げることに活路を見出したんですよね。AVってドラマものでもお芝居が凄く上手い作品ってそんなにないから。

峰:私の演技のドヘタさを見て欲しい! 凄いですよ、才能のなさ。ヤバいですよ。監督もあきらめちゃって、噛んだり台詞忘れたりしてても「もういいや、これで」ってなるくらい。だからドラマものとか全然なかったんです。

◆痴女を身につけるには時間がかかる

川上:でも、AVって一人芝居じゃないですか。男優さんは台詞は言ってくれますけど役者ではないので、自分一人で盛り上げていかなきゃならないし。だから、一般の映画に出た時に一人芝居をやりすぎて、監督に「もっと相手の台詞を聞いて。相手が渡そうとしてるんだからそれを受けて」って演出をされたことがあるんです。そこで新しい感覚を得て、芝居には相手を信じることも大切なんだって知れて、またそれをAVにも活かすみたいな。お芝居ができると、同じような内容でも全く違う作品にできるじゃないですか。私はそれで本数をたくさん出せたんだと思います。

峰:でも、AV監督によっては素人感を大事にしたい人もいるんですよね。私はそれに甘えて棒読みのままだったんです(笑)。

川上:峰さんは、芝居をするのが恥ずかしいと思ったりします?

峰:そういうことじゃなくて、ダンスを含めて体を使った表現すべてが向いてないんだと思いますよ。セックスの演技だけは得意なんですけど、それ以外はダメなんです。それも全部が無意識。芝居って意識的なものだし、痴女モノみたいな頭使うやつは無理でしたね。

川上:言葉攻めが全然できないエピソード、漫画でも描かれてましたね(笑)。確かに、痴女を身に着けるのは時間かかりますよね。

峰:で、習得するころにはもう仕事がなくなっちゃって。私は引退してからのほうがちゃんと痴女を学んだので、プライベートでのほうが痴女を頑張れてますね。今のほうがずっと上手くできるんじゃないかと思います(笑)

◆AV女優を辞めるタイミング

川上:女優の息って5年で一回途絶えそうになりますよね。私はそのタイミングで一度、辞めたいと本気で思ったことがあります。

峰:あ、そうなんですね。私も5年目で辞めてます。もともと学生時代の間だけって思ってたんですよ。周りが大学を卒業してどんどん就職をし始めて、20代が終わりに近づくあたりで「あれ? 私、職歴ないのに大丈夫?」って焦り始めました。よくよく考えたら、20代後半でもAVに出てる方ってもう辞められないですよ。それか、風俗に流れていくか、お金貯めてる人ならスナック開店するくらい。

川上:あれ? でも、その時代って今より全然ギャラが良かったと聞きますよ。

峰:今に比べれば、ですよ。そんな高級クラブを経営できるほどの額は貰ってなかったと思いますよ。

川上:それ、事務所毎の事情もありますよね。私も5年目くらいまでは全然貰えてなかったですもん。

峰:え? どういうこと?

川上:当時はブラックな事務所に所属してたもので。最初は普通のOLよりはちょっとだけいい給料かな?くらいだったのが、どんどん下がっていって、途中からは、これなら昼職でよくないか?みたいな金額に……。
峰:え、単体女優さんが!? 
川上:でも、周りの事情を知らなかったからそれが低いとは思わなかったんですよ。家賃払って体の手入れとかしたらもう全然残らなくて「おかしいなぁ~」とは思ってましたけど。他の同業の女の子の話を聞くようになってから気づきました……。(後編へ続く)

●峰なゆか
漫画家。女性の恋愛・セックスについての価値観を冷静かつ的確に分析した作風が共感を呼ぶ。『アラサーちゃん 無修正』(全7巻)、『アラサーちゃん』(KADOKAWA)はシリーズ累計70万部超のベストセラーに。『もっとオシャレな人って思われたい!』などエッセイも執筆

●川上奈々美
AV女優、浅草ロック座専属ストリッパー。演技力には定評があり、『下衆の愛』『東京の恋人』『全裸監督』『ゾッキ』など映画出演も多数。2021年4月に、2022年1月を以てAV女優を引退、2月を以てストリッパーを引退することを発表した。今後は俳優業に専念していく

(取材・文/もちづき千代子 撮影/山川修一)

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