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ワクチン接種者と未接種者の間に広がる「分断」。ママ友、タワマン内での村八分も

日刊SPA! / 2021年8月2日 8時53分

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写真/Shutterstock

米モデルナ製ワクチンの不足に関し、政府は「供給量が当初計画の4000万回分より大幅に少ない1370万回分だった」と明かした。こうしたなか、現役世代では打った人と未接種者の間で「分断」が広がっていた!

◆接種者と未接種者の間に起こる「分断」

「6月中に2回ワクチンを打ち終わって、7月から趣味のジム通いを再開しました。外食も週4で行ってます。外出時はマスクをつけてますが、会社ではノーマスク。お盆は石垣島にバカンスに行く予定です。接種者は島内の商業施設で割引が受けられるみたいですよ~」

 こう語るのは都内在住の女性経営者(44歳)。知り合いの医師から優先枠ワクチンの余剰分の接種を受け、一足先に“コロナ後の世界”を満喫している。

 多くの自治体で高齢者の接種率が8割を超えるなか、6月下旬から職域接種が全国でスタートし、現役世代の接種も進んだ。しかし、7月に入って急にワクチンの供給がストップし多くの職域接種・地域接種の新規予約が中止に。現役世代の間では、接種者と未接種者の間で「分断」が起きている。

◆ママ友、タワマン内での村八分も

「子供を公園に連れていくと、ママ同士で『どのワクチンを打った』とか、『副反応はどうだった』とやたら話している。接種済みをアピールすると同時に、どの家族が未接種か確認しているんです。みんな旦那さんが大企業に勤めているので、職域接種の家族分を打ったそう。私の夫は自営業なので、夫婦ともまだ接種できていない。気まずい限りで、接種が終わるまで子供を公園に連れていけません」

 こう語るのは都内に住む30代の主婦だ。さらにエスカレートして村八分にされる人も。目黒区のタワマンに住む会社員の男性(40代)はこう嘆く。

「小学4年生のウチの娘は、同じタワマンに住む仲良し4人組でいつも遊んでいたのですが、うちひとりの子の家で行われたお泊まり会に、娘だけ誘われなかった。考えられる理由はひとつ。ほかの3人の子の父親は大企業の社員で、両親とも2回接種を終えている。ウチは急遽、職域接種が中止になり未接種状態。話がどこからか伝わったんでしょうね……」

 コロナ禍で飲食店の休業が相次ぐ中、この男性はよくタワマン内のラウンジでパパ同士の飲み会をしていたというが、接種した3人のパパたちは参加しなくなったという。その理由について、男性は「接種を終えたので、酒を提供している居酒屋で堂々と飲んでるんじゃないですか」と推測する。

◆分断は独身者の間でも

 分断は独身者の間でも。フリーのITエンジニア(32歳)は言う。

「コロナ前に、同業者が集う週末のホームパーティによく参加していたんですが、フェイスブックを見ると、どうやら再開しているんです。僕は常連だったのにお誘いは来てない。主催者は医療系ベンチャーの役員なんですが、FBのプロフ写真に『I’ve had my covid vaccine』と欧米人の真似をしてロゴを入れ、ウザい接種アピールをしていた。接種を終えた仲間だけで、朝までどんちゃん騒ぎしているそうで腹が立ちます」

 飲食店やホテルでは、接種者への優遇サービスも増えている。居酒屋チェーンのモンテローザやカラオケ館などは、それぞれ「最初の1杯1円」や「室料10%割引を打ち出した(4度目の緊急事態宣言を受け都内店舗などでは中止)。

「カラオケは感染源として政府から狙い撃ちされ、クレームも多い。そうした世間の目に配慮して今回のサービスを決めました。現時点では、あまり大きな反響はありません」(カラオケ館の広報担当者)

◆突如ワクチン不足に陥った原因は?

 さて、7月に入って突如、ワクチン不足に陥った原因は何なのか。医学博士の石蔵文信氏は言う。

「接種が開始された当初、ワクチンを打つ医者が足りないという話になりました。政府は医師会に依頼したのですが、開業医が中心のため、通常の診察もありなかなか進まなかった。ところが、自治体が続々と医師会を通さずに医療系求人サイトで時給2万5000円ほどの高給で打ち手を募集すると、産休・育休中の医師や暇を持て余した医療関係者が殺到したのです。打ち手と場所さえあれば職域接種が可能になるため、レンタル会議室でバンバン行われるようになり、ワクチン不足になったのです」

 石蔵氏も、医師としてワクチン接種に協力しているが「7月の担当日の一部が中止になり、8月はすべて一旦、白紙になった」とか。

◆余剰ワクチンをキャバ嬢に打つ医師

 男女の出会いの場でワクチン接種をアピールし、他者を出し抜こうという動きも盛んだ。

「パパ活サイトで最近、接種済みをアピールする看護師の女性が目立ちます。うち一人とやりとりしたんですが、『学生の間で感染が広がっているので、相手にしないほうがいい』とご丁寧に忠告されましたよ(笑)」(50代の自営業者)

 マッチングアプリで露骨な行為に出る者もいる。

「『ペアーズ』にワクチン接種に関するコミュニティがあり、接種者や接種希望者がたくさんいるんですが、そこで若い医師や大企業務めの会社員がナンパしまくってるらしいです。友達の勤務医はそこで2人喰ったと自慢してました」(30代の女性・会社員)

 一方、都内の医院に勤務する医療関係者は、余剰ワクチンを“悪用”する院長に辟易している。

「余剰ワクチンが出た場合、廃棄が出ないように柔軟に対応せよと政府は医療機関に通達しましたが、個々のクリニックが堂々と募るとあぶれた者から不公平というバッシングを受けるので、医師の親族や知人にこっそり接種しているのが実情。ウチの院長は、あろうことか余剰ワクチンを融通することを口実に毎晩、キャバ嬢を西新宿のホテルに呼び出しているんです。深夜に部屋で接種したりもしてて、キャバ嬢から当然、“対価”も得ているんでしょうね」

◆ワクチンの接種でも他者と優劣を競ってしまう

 作家の橘玲氏は、ワクチン接種をめぐる現役世代の分断や差別についてこう語る。

「大企業優遇に怒っている人がいるのはわかりますが、摂取率を上げなければいけない状況なので、打ちやすいところから打つというのは理解できます。ただ、組織に属していない自営業者やフリーランスが後回しになるという不公平感があるのは間違いない。

 人間の悲しいさがで、自分は相手より優れていることを示したいという欲望が常にある。あらゆる機会を使ってそれを示したいと思っているので、ワクチンの接種でも他者と優劣を競ってしまう。結果、『接種できた自分はあいつより偉い』『接種していないヤツは入れない』と差別が生じてしまうのです」

 現役世代の接種は先が見えぬなか、分断はまだまだ続きそうだ。

◆ワクチン接種の地域格差が生む新たな差別

 みずほリサーチ&テクノロジーズが試算し、『日経新聞』が報じた「接種の地域格差」(6月28日付)が話題になっている。現役世代の6割が2回目の接種を終える時期(全国で一日100万回接種を前提)にかなり地域差があったからだ。

 ワーストと予想された栃木県・那須塩原の温泉宿の関係者は言う。

「こっちは観光業が死にかけているのに、お客さんから県自体が敬遠されると思うと絶望的ですね。知り合いの日光の観光業者も、来年までもたないと言ってますよ……」

 新型コロナをめぐっては、他府県ナンバー狩りや訪問者を露骨に阻止する自治体が出現するなど一部で差別があっただけに、接種の地域格差でも同様のことが起こることが懸念される。

 地理的要件や医師の偏在の問題もあり、北海道や沖縄は最下位グループとなっている。日本の観光業の復活する日は来年まで待たなければいけないようだ。

取材・文/大橋史彦 奥窪優木 アズマカン

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