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お別れがたったの10分!?  流行りの「ネット葬儀社」の注意点を専門家が解説

日刊SPA! / 2021年9月6日 15時52分

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「お葬式が最安〇〇円」「セットプランで明朗会計」——。

 スマートフォンで検索すると、こうした謳い文句の広告サイトがヒットする。インターネットで集客し提携葬儀業者に仲介する、いわゆる「ネット葬儀社」だ。全国一律のサービスと料金が特徴で、大手資本やIT企業など他業種から続々と参入している。

 リーズナブルな価格にわかりやすいサービスというメリットは大きいが、なかには残念な思いをしてしまった人も少なくない。そんな後悔を避けるためにも、数々のユニークな葬儀を手がけてきたクローバーグループ「小金井祭典」代表・是枝嗣人氏の『日本一笑顔になれるお葬式』から、「ネット葬儀社」を利用する際、後悔しないためによく起こるミスマッチの例を紹介しよう。

◆ネット葬儀社の仕組み

 全国一律のサービスを掲げるネット葬儀社のスタイルは、一見わかりやすくて便利ですが、地域の文化や風習まで汲み取れないのが実情です。お葬式のことがわからないまま、検索結果が上位だからと信頼し、ネット葬儀社に頼み、「こんなはずじゃなかった」と悔いることが最近増えています。

 まずネット葬儀社の仕組みから見ていきましょう。
 スマホやパソコンで検索したネット葬儀社に電話をかけると、コールセンターにつながり、簡単なプランと日時、料金について10分程度の話し合いでプランが決まります。ただお葬式は、地域によって風習が大きく変わるのですが、コールセンターの担当者は、その地域の風習を知らないことが多いです。

 その後、実際にお葬式を担当する地元の葬儀社からも連絡が来ますが、この時点ですでにプランが決まっているので、主にスケジュールを確認するだけです。ここで故人や残されたご家族が要望を伝えても、火葬場や式場の都合で聞き入れてもらえなかったり、聞き入れてもらえてもオプションとなることが多いです。

 それでは実際のミスマッチの例を見ていきましょう。

◆家族葬はかえって煩わしい?

 70歳を超えた団塊世代には、祖父母のお葬式のときに大人数に弔問に来られて、煩わしい体験をした人が多くいます。そのためある方は、ご家族だけでお別れをしようと、ご近所にも会社にも知らせずに、ネットで見つけた葬儀社に依頼し、近親者だけでの家族葬を選びました。

 でも、故人は地元の名士で、地域社会の発展に貢献してきた人。本来なら葬儀には1000人を超える参列者が訪れていたでしょう。にもかかわらず家族葬を選んだことで、どんなことが起こったと思いますか?

 お葬式に参列できなかった人たちが「お線香だけでも」と週末ごとに家を訪ねてくるようになりました。1回に3人ぐらい、入れ代わり立ち代わり。しかも「先生には本当にお世話になったんですけどね」「最後ぐらいお顔が見たかったわ」と、葬儀に呼ばれなかった不平不満を言われるのです。こういう期間は3か月ほど続きました。

 葬儀式場でしたら、参列者の対応は50分で終わったはずなのですが、家族でのお別れの時間を大切にするために煩わしいことを省いてみたところ、余計に煩わしい思いをすることになったのです。

 たしかに、お葬式で参列者の対応をしていると、「ちゃんとお別れできなかった」となってしまいます。こういうケースをなくすには、家族だけでのおみおくりの機会を別につくり、そのあとでお葬式をすればよいのです。

 きちんと家族だけでお別れができれば、「なんで会ったこともない息子の会社の社長に、こんな日に挨拶しなければならないの」が、「お父さん、息子の会社の社長さんまでわざわざ来てくれたわ」という感謝の気持ちに変わっていくでしょう。

◆「ご遺体を預かります」と連れていかれて……

 最近は、在宅で最期を迎える方が増えています。

 ガンを患っていた元公務員の80歳代男性。最期は家で看取りたいとのご家族の強い思いで、病院から在宅治療に。家族思いの方で、その最期に相応しく、2か月間、ご家族に囲まれ、人生を思い返しながら穏やかに亡くなられました。

 そこまで丁寧に看取ったのに、ご遺族が介護疲れで燃え尽きていたので、よくわからないまま「ネット葬儀社」に申し込みました。

 するとその葬儀社から「ご遺体を預かります」と言われ、故人は連れていかれました。なぜなら申し込んだのが安価な「ネット葬儀社」の一番シンプルなプランだったからです。葬儀社は一か所に遺体を集めたほうが管理しやすく、コストを抑えることができます。自宅での安置だと、ご遺体の傷みを防ぐために、定期的なドライアイス交換などのコストがかかるのです。どうして安い値段でできるのか、普通の人は知りませんよね。

 せっかく自宅で看取り、今からゆっくりご遺体のそばで看病疲れを癒やせるというところで、その機会が奪われてしまったのです。

◆お別れの時間は10分だけ?

 結局、故人と再会できたのは火葬場で10分間だけでした。

 しかも火葬の最中に葬儀社は、クレジットカードで決済を済ませ「では失礼します」と帰ってしまったそうです。なんだか寂しいですよね。これでは何のために在宅で看取ったのか、わかりません。

 最近は、コロナ禍でご遺体と対面できなかったという悩みもよく耳にします。どれだけ一緒にいても、やはりお亡くなりになられてから火葬されるまでの間は、特別な時間なのです。せっかく丁寧に看取ったのであれば、おみおくりから供養まで丁寧に歩んでいきたいと思いませんか。

 こういったお葬式の失敗事例は、遺族側が「ネット葬儀」について、よく知らなかったことが原因ですが、そもそも「何のためにお葬式をするのか」という本質を見誤っていたことも大きくかかわっています。そうならないためにも普段からお葬式について考え、どのようなお葬式にしたいか周りと話し合っておくことが大切です。

*本稿は『日本一笑顔になれるお葬式 大切な人が亡くなる前に知っておきたい葬儀の本当のハナシ』を一部抜粋、再構成したものです。

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