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愛車のベンツW140がぶつけられた…塗装を繰り返した涙と闘いの記録

日刊SPA! / 2021年10月24日 15時52分

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ディーラーから送られてきた画像。赤丸は筆者が追加。広範囲にわたって擦り傷がついている

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

 クルマ大好き、腕時計投資家の斉藤由貴生です。私は、メルセデス・ベンツのW140型Sクラスに乗っているのですが、きれいな状態を維持するために、日頃から様々な努力をしています。

 クルマは“乗ってなんぼ”ということも重々承知しているつもりですが、とはいえ、何も考えずにどこへでも駐車してしまうと、思わぬダメージを受ける場合があります。例えば、都内の狭いコインパーキングに止めたならば、ドアパンチの危険性がありますし、駐車が下手なドライバーにぶつけられる危険性もあります。ですから、駐車場に止める際は、なるべくクルマが隣に来ないような場所を探し、できれば、絶対に“トナラー”(注:空いているのに隣に駐車してくる車を指す)が来ないような機械式パーキングに入れるようにしているのです。

◆板金塗装歴がないことが誇りだった

 なぜ、私がここまでW140の取り扱いに気をつけているかというと、これが文化的価値があるクルマでもあるからです。私のW140は、非常にきれいな個体なのですが、「単にきれい」というだけでなく、これまで板金塗装を一切したことがないクルマなのです。つまり、全てがオリジナル塗装というコンディションであるわけで、世界的にも珍しい一台であるのです。

 多くのクルマは、どこかしら修理した後があり、そういった部分の大半は、板金塗装工場で再塗装されています。つまり、オリジナル塗装ではない部分があるわけです。もちろん、新車として販売されてから数年程度しか経っていないクルマの場合、“すべてがオリジナル塗装”というクルマは珍しくないでしょうが、W140のように20年以上も前のクルマとなると、“オリジナル塗装”は稀なのです。

◆オリジナル塗装だからこそ気を使っていた

 実際、クルマは、ちょっとした不注意で傷がついてしまいますから、自分がいくら気をつけていたとしても、普段遣いする中で、ドアパンチなど、他人からの被害に合うことがそれなりにあります。ですから、多くのクルマは、どこかしらに“修理あと”(業者オークションの出品票では「W」と表記)があるわけで、すべてがオリジナル塗装という個体は少ないわけです。

 だからこそ、私はオリジナル塗装という状態の、自分のW140に格段気を使っていたのです。しかし、そんなW140、先日ぶつけられてしまいました。それも、再塗装が回避できないぐらいの大きなキズを残す状態で。

 普段から、「ぶつけられるリスク」が高い場所には、乗っていかないようにしていた私ですが、どこでぶつけられたのかというと、その答えは、メルセデス・ベンツの正規ディーラーです。

◆ぶつけられた経緯

 私は、普段専門店にW140のメンテナンスをお願いしているのですが、そのお店では「やっていない」という作業をディーラーに依頼。ディーラーとの付き合いがない私は、どのディーラーが良さそうかというところから、検討することとしたのです。

 今回は、「ランバーサポート交換」や「ヘッドライト洗浄」といった、少々特殊な作業が入るため、多少なりともW140の扱いに慣れていそうなディーラーが良いだろうという結論になりました。最初に電話したのは、都内にあるヤナセのお店ですが、ヘッドライト分解洗浄は行っていないということで断念。また、同じヤナセのクラシックセンターにも連絡してみましたが、入庫できるのは数ヶ月先という返事をもらい、他を探すことにしたのです。

 そして、次に有力候補となったのが、メルセデス・ベンツの正規販売店が運営する千葉の店。こちらは、W140を始めとした「ヤングクラシック世代」のメルセデス・ベンツ中古車を取り扱う店舗で、以前の情報では整備も行っているということでした。そのため、こちらに電話をしてみたのですが、今年4月から、整備部門は、同じ正規販売店が運営する、東京のB店に移管されたと伝えられました。

◆印象が良かったために整備を依頼

 正規ディーラーのB店を調べて見ると、「マイバッハ/SLRサービスセンター」も併設されていることが判明。見積もりをお願いするために店舗に足を運んでみたところ、印象が良かったため整備を依頼。そうして、私はW140をB店に預けることにしました。

 今回の整備内容の、大まかな内容としては、ヘッドライトレンズの分解洗浄、ランバーサポートの交換、ウィンドウミラースイッチの交換の3点だったのですが、一部の部品が国内に欠品で、ドイツからの取り寄せとなりました。そのため、私のW140は約3週間にわたってB店に預けることとなったわけですが、その修理が完了した連絡と同時に、納車前点検をしたら、バンパーに傷ができているという報告を受けたのです。驚きと怒りはあったものの、失態を認めて正直に報告してくれたという部分は、きちんとしているという印象でした。

◆ぶつけられた状態

 そこで、早速私は、傷がついた状態の画像を送ってもらい、愛車の状態をチェック。傷がついていたとしても、再塗装ではない方法できれいになれば良いと思ったのですが、画像をみたら、ガッツリと塗装が剥がれている状態でした。

 一応、サービス担当の方にも、「再塗装なしで治せるか?」ということを聞いたのですが、それは難しいという返事。そのため、私のW140は完全オリジナル塗装の状態が失われるかもという事実に直面したわけです。

◆なぜぶつけたのか

 普段から気を使って乗っていたW140。それが、まさかディーラーでぶつけられてしまうとは完全な想定外だったわけですが、よりにもよって、なぜ、「ヤングクラシック世代」を扱っているということを明言するB店が、今回W140をぶつけてしまったのでしょう。

 その質問に対する回答としては、「入庫数が多いため、複数の従業員が、入庫したクルマを動かしているため、そのうちの誰かがぶつけてしまった」ということでした。そのため、今回の事故をきっかけに、B店では、W140を始めとする「ヤングクラシック世代」には、専用スペースをつくり、動かさなくても良い状態を作る対策をしたと聞きました。

◆オリジナル塗装は戻ってこない

 さて、傷がつけられてしまった私のW140ですが、その後はどういったことになったかというと、結局は、再塗装をするしかないという結論になりました。しかし、ここからが大変だったのです。というのも、W140の再塗装箇所の色合わせが非常に困難だったからで、何度もやり直しを依頼した結果、私は約2ヶ月にわたって、W140の色合わせに悩む事態となってしまいました。

 最初に、B店から、塗装が完了したという連絡をもらった際、いざ自分の「再塗装車となってしまったW140」に対面すると、なんとも「いかにも塗った」と言わんばかりのバンパーに驚きます。ちなみに、業者オークションの評価では、再塗装は「W」という表記ですが、これでは、私のW140には「ガッツリWが入る」という状態。新車で購入した前オーナーと、それを引き継いだ私が努力して維持した「オリジナル塗装」が、まさにWの悲劇という状態になってしまっていたわけです。

 ちなみに、私はぶつけられたという怒りから、リアバンパーも塗ってほしいと依頼していました。リアバンパーの一部には、塗装がやや剥がれたような箇所があったため、どうせ前を塗るなら、後ろも塗ってしまえという感じで依頼したのですが、このときは、「失敗した」と痛感しました。

 そこで、オリジナル塗装が残っているサイドのバンパー部分と比較して、わからない状態にしてほしいとディーラーに依頼。ノンオリジナルとはいえ、“塗ったかわからない”状態になると期待していた私は、怒りと落胆と、この先どうなるのかという不安に襲われながら、急遽用意してもらった代車で店を後にしたのです。

◆2回目の確認

 それから1週間後、B店から、「仕上がりを見てほしい」という連絡を受けた私は、まったく期待せずにお店に向かいます。しかし、そこで対面したW140の状態は、「再塗装したかわからない」ぐらいに、オリジナル塗装の再現性が高い状態だったのです。

 実は、W140のバンパーの部分は「艶なし」が本来の姿なのですが、艶なし箇所は、洗車などをしていくうちに、だんだんと「艶あり」となってしまいます。そのため、「艶なし」から20年の月日を経て「やや艶あり」となった状態を再現するのが難しかったわけですが、それがほぼ完璧にできていたのです。

 ですから、私は満足してW140を家に持ってかえることにしました。ちなみに、依頼した部分の整備代金は、きちんと請求されました。もちろん、私としても払うつもりでいましたが、「ぶつけた」という失態があったため、どういった請求をするのか興味深かったのですが、普通に全額請求という結果でした。

 愛車をぶつけられて、10万円以上のお金を支払うのは、正直気持ちがよくありませんでしたが、『整備代金を請求しないかわりに、適当に塗って終わり』よりは、遥かに良かったと思います。

◆再塗装したバンパーに異変が…

 再塗装前の再現性が高い状態で家に持ち帰ったW140ですが、その数日後に洗車をしていたら、問題が見つかります。それは、再塗装したバンパーの複数箇所に、ポツポツと「凸」があるということだったのですが、それを見た私は、いずれその「凸」からだんだんと塗装が剥げる状態になるのでは、と不安になりました。

 そこで、B店に再度連絡した結果、もう一度入庫して、「凸」を除去してもらうこととなったのです。

「凸」は、ゴミだったということが後から分かるのですが、それを除去した結果、せっかく、再塗装前の再現性が高い状態だったバンパーは、テッカテカの「艶あり」という状態に変化。それでは、せっかくの再現性が失われてしまった状態のため、結局、W140のバンパーは、ゴミがなるべく入らないように、「再々塗装」をするということになってしまいました。

◆誰が悪いというわけではないけれど…

 そして、それから数週間後、再び私はW140の状態をチェック。最初に持ち帰ったときに、再塗装前の再現性が高かったため、今回ももちろんそうなっているだろうと思って、お店に向かったら、なんと再現性が「まったくだめ」という状態だったのです。

 そのため、その日W140に乗って帰る気満々だった私は、肩を落として、またもや代車で家に帰宅。そして、それから2週間近くが経過し、再びW140と対面。今回も、1度目に持ち帰った時ほどの再現性ではなかったものの、これ以上やり直ししてもらったとしても、逆に汚くなるリスクがあると思って、引き取ることにしたのです。

 そうして、W140を受け取ってお店を出ると、今度はエアコンが全く効かない状態になっていることが判明。これは、ブロアモーターがご臨終という状態だったのですが、私が預ける前には、そういったことがなかったため、「泣きっ面に蜂」という感じでした。

 もちろん、エアコンに関しては、ディーラーが壊したわけではないということが分かっていたため、クレームは言いませんでしたが、なんとも印象がよくない帰宅となりました。というわけで、今回私は、クルマを良くしたいと思ってディーラーに預けたら、大切な「オリジナル塗装」が失われるという結果になってしまったわけですが、皆さんも、クルマを整備に出す際は、どうぞお気をつけください。

<文/斉藤由貴生>

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

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