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『おかえりモネ』が“朝ドラの失敗作”の評価を覆したワケ。テレビマンが解説

日刊SPA! / 2021年10月27日 8時53分

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NHKホームページより

◆低視聴率を揶揄されることもあったが……

 国民的ドラマとして2010年前後から再評価されるようになり、軒並み高視聴率をマークしている“朝ドラ”こと「NHK連続テレビ小説」シリーズ。

 そんななか、5月よりスタートした清原果耶主演の『おかえりモネ』は初回こそ19.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高い視聴率をマークしたが、それ以降は16%前後に下降。さらに、8月6日には広島平和記念式典や東京五輪の影響もあってか同作最低の11.5%を叩き出すなど、低視聴率を揶揄されることが多かった。

 しかし、ラストを迎えるにつれて業界人やドラマファンからは視聴率と相反して“史上最高傑作”といった声や“新しい朝ドラだった”という高評価を得る結果に。一体『おかえりモネ』の魅力とは何だったのか、全話を視聴した業界関係者たちに話を聞いた。

◆『おかえりモネ』が“暗すぎる朝ドラ”と言われたワケ

 キー局でドラマのプロデューサーを担当する50代男性のA氏は、序盤から2週目あたりまでは不安視をしていたと明かす。

「序盤は『このままで大丈夫?』という不安がありました。清原果耶さんは表現力に関しては若手随一の女優ですが、朝ドラのヒロインらしい天真爛漫さや破天荒なところが欠けていた。

 また、主人公のモネ自身が葛藤を抱えているという設定だったこともあって、『ヒロインにしては暗すぎる』だったり『ストーリーが重い』という序盤の低評価に繋がってしまったんだと思います。ここで視聴者を離してしまったことはもったいなかったかな」

 ドラマにおいて、序盤の展開や明確なキャラクター設定は重要だが、その点においては失敗だったのかもしれない。

◆リアルな心理描写とスローな伏線回収

 しかし、この朝ドラらしくないヒロインや周囲のキャラクターが抱える葛藤や心の闇が巧みなシナリオでゆっくりと回収されていくことでドラマとしての評価が上がっていったとA氏は語る。

「脚本を担当していた安達奈緒子さんは、緻密で繊細なシナリオを書く方で伏線回収も非常にうまい。だからこそ簡単に元気を取り戻す、仲直りするといった描き方はしなかった。

 その典型的なシーンとして、東日本大震災発生時に津波を見なかったモネと津波を目の当たりにした蒔田彩珠さん演じる妹の未知とのギクシャクした関係性が修復されたのもドラマの中盤以降。

 モネと他の登場人物たちが繋がっていく過程も非常にゆっくり描かれていて、非常にリアリティがあって深みのあるドラマになっていました。週ごとに成長を遂げて問題を解決していくというのが朝ドラの定石でしたが、『おかえりモネ』は新しい試みをしているなと感心しましたね」

 この新しい試みが業界人やドラマファンに評価された要因であるとしつつ、その反面で視聴率の伸びには繋がらなかった点なのでは……とA氏はまとめた。

◆坂口健太郎演じる菅波先生に萌える人多数!

 キー局ドラマを手掛ける映像制作会社の女性社員・B氏にも話を聞いた。大の朝ドラファンである彼女は『おかえりモネ』を手放しで評価した。

「『スカーレット』で戸田恵梨香演じるヒロインの夫役を演じてブレイクした松下洸平さんなどが記憶に新しいですが、『おかえりモネ』では“変わり者”で不器用な医師・菅波を演じた坂口健太郎さんの存在が非常に大きかったのでは……と思います。モネと菅波のロマンスが動き出してから一気に面白くなっていった印象です。

 口下手ながら夢を追うモネを必死に後押しする姿や実直なセリフが絶妙で、ツイッターで『俺たちの菅波』というワードが何度もトレンド入りしたほど。モネが何気なく口にした言葉から誕生日を割り出し、誕生日プレゼントとして参考書を渡すシーンは思わずキュンとしてしまいました(笑)」

 イケメンながら不器用な役が似合う稀有な俳優・坂口健太郎演じる菅波とモネの甘酸っぱい恋模様も『おかえりモネ』の魅力だったようだ。

◆永瀬廉はジャニーズきっての名俳優になる逸材

 また、B氏はモネの幼なじみ・亮を演じた「King&Prince」の永瀬廉の演技力も高く評価した。

「あれだけ華があるにも関わらず、気仙沼で健気に漁師を続ける青年を違和感なく演じ切れていたのは演技力の賜物だと思います。また、モネに想いをぶつける告白シーンや仲間たちに胸に秘めた感情を吐露するシーンの演技は、共演していた若手俳優の中でも群を抜いていましたね」

 B氏は、永瀬廉は今後ジャニーズきっての名俳優になると太鼓判を押した。

◆感動や胸キュンを生む名ゼリフがズラリ!

 最後に、深夜ドラマやアニメの脚本を手掛ける女性脚本家・C氏にも同作の感想を尋ねた。彼女も脚本の繊細さを評価しつつ、心を打つセリフの数々を絶賛した。

「東京編になってからモネと菅波が再会するシーンや車いすマラソンに関わっていくシーンが“ご都合主義”という声もありましたが、私は非常にドラマ的な展開で好感を持ちました。何より全話を通してよかったのは脚本家の安達さんが紡ぐセリフの数々。

 西島秀俊さん演じる気象キャスター・朝岡の『何もできなかったと思う人は、次はきっと何かできるようになりたいと強く思うでしょ。その思いが私たちを動かすエンジンです』という力強いセリフや亮がモネに想いを伝える『違う、そういう意味じゃない。わかってんでしょ?』といった胸キュンゼリフなど、さまざまな名ゼリフが盛り込まれていた名作朝ドラだったと思います」

 同じ脚本家が嫉妬するほどの名ゼリフの数々も『おかえりモネ』の高い評価の一因だったようだ。

 このように、結果的に視聴率こそ振るわなかったものの、朝ドラの歴史に大いに名を刻んだ『おかえりモネ』。記録よりも記憶に残る作品として語り継がれるだろう――。

取材・文/木田トウセイ

【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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