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貯金200万円を切り崩す65歳のリアル。年金8万円、退職金もなかった

日刊SPA! / 2021年11月16日 15時54分

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伊藤正男さん(仮名・65歳)

 厚生労働省によれば、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等見込み労働者数は、’21年10月8日時点で11万8317人。うち非正規雇用者は5万4152人。新型コロナは多くの失業者を出すなど、“貧困パンデミック”とでも言うべき状況が生まれている。生活困窮層は分厚くなり、さらに下流の“底”がヒビ割れ奈落に落ちる人も……。

 そんなニッポンの貧困のリアルを総力取材。今回は再就職を希望も年金8万円での生活を余儀なくされている60代男性の実態から貧困問題を考える。

◆定年延長のはずがリストラ……OVER60歳を直撃するコロナ貧困

 手厚い年金や保障制度など、悠々自適な老後を送れるはずのシニア世代だが、今回話を聞いた伊藤正男さん(仮名・65歳)は、じわじわと朽ち果てるような生活を送っていると明かす。

「現在の月収は年金の約8万円だけ。実家暮らしで家賃こそかかりませんが、同居している母親と2人分の食費や生活費を払うとほとんど残りません。最後に勤めた会社がコロナの影響で業績が傾き、辞める半年前に正社員から契約社員に格下げされて給料は25万円から14万円になり、その契約も打ち切り。

 私自身、転職が多かったため退職金をもらったこともなく、足りない生活費を賄う貯金も残り200万円くらいになった。

 このままだと1年後には貯金もなくなるし、本当はすぐにでも働かないといけないのですが、昨年11月に契約を切られてから再就職先はまだ見つからず。今は4月にシニアジョブという高齢者向けの紹介会社に登録して、声がかかるのをひたすら待っています」

◆歩んできたキャリアも足かせに

 当然、一刻も早く働かなければならないのは伊藤さんも理解しているが、歩んできたキャリアも足かせになっているようだ。

「90歳になる母親からは『早く仕事しろ!』と叱られていますが、これまで機械設計技師として働いてきたので、そのスキルを生かせる仕事がいいんですよ。

 仕事を選ばなければ働き口はあるんでしょうけど、この年になって生活のために新しい環境でストレスを溜めながら働くのはキツい。それなら頑張って切り詰めて生活しながら、いい仕事に出合えるまで待とうかなと思っています」

◆再就職できる確率10%

 手に職があってもやはり年齢がネックになるのだろうか。伊藤さんの話にも挙がったシニアジョブ代表の中島康恵氏も「高齢者の再就職はかなり厳しい」と話す。

「今、弊社に登録中の60代中盤くらいの方で正社員や契約社員として再就職できる確率は約10%、おそらく世間的にも同じようなものだと思います。昨年の緊急事態宣言からシニアの求職・転職希望の登録者は求人以上に増えており、コロナが下火になっても職が見つからない人は一向に減りません」

◆つまずいて立ち上がれなくなる高齢者

 中島氏によると、コロナでダメージが大きかった業界ほど、シニアの採用が特に厳しいという。

「『まだ現役でやれる』と正社員を希望するシニア側と、職種によっては若い社員すら採りたくない企業側。このミスマッチのせいで、伊藤さんのように手に職があっても声がかからないんだと思います。コロナが落ち着いて採用枠が広がるまでは、シニア側が条件を緩くするくらいしか対策がないのがツラいところですね」

 伊藤さんのようにつまずいて立ち上がれなくなる高齢者は、アフターコロナに増えそうだ。

◆もし母の介護が必要になったら…

 最後に「母がまだ元気なのは不幸中の幸い。この状況で介護をするのは金銭的に無理ですから」と話す伊藤さん。

 再就職できる日は来るのだろうか。

【シニアジョブ代表 中島康恵氏】
茨城県生まれ。大学在学中に同社の前身となるIT会社を設立。’15年から50歳以上のシニア専門の人材サービス事業を開始。無料で学生起業相談も受けている

<取材・文/週刊SPA!編集部 画/北村永吾>

※厚生労働省の生活支援特設ホームページでは、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少し生活に困窮する方の相談を受付ている
「新型コロナウイルス感染症 生活困窮者自立支援金相談コールセンター」
0120-46-8030(受付時間9:00~17:00 平日のみ)

―[貧困パンデミック]―

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