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予想もつかない形となった衆院選。政権担当能力のある政党に最も必要なものとは/倉山満

日刊SPA! / 2021年11月22日 8時51分

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衆院選の投開票時の日本維新の会・吉村洋文副代表(手前)。10日に府庁で応じた取材では、「まともな野党として自民党にぶつかっていきたい」との意気込みもあったが―― 写真/時事通信社

―[言論ストロングスタイル]―

◆政治に対し「どうなるか」ではなく「どうするか」

 誰もが予想もつかない形で、衆議院総選挙が終わった。5千票差以内の選挙区が約1割、2万票差以内が約4割。そして過半数が3万票差以内の接戦だった。マスコミ各社がはずすのもやむをえまい。

 しかし、考えてもみよ。公示日にほとんどの候補者の当選と政党のあらかたの議席数が決まっている選挙など、意味があるのか。今回は本当に、ふたを開けてみるまでわからない選挙だった。激戦区では有権者の1.5%(だいたい数千人)が動けば、当落が入れ替わる。

 政治に対し、「どうなるか」ではなく、「どうするか」を考えるきっかけになったのではないだろうか。

◆有権者は自民党に投票するしかなかった

 ’55年以来、衆議院選挙をやれば、たった2回の例外を除き、常に自民党が勝利する。総理大臣とは自民党総裁のことだった。

 それでも高度経済成長期は、まだよかった。国民はメシが食えた。真面目に働けば、給料が上がった。努力すれば、やりたい仕事ができた。だから、自民党がいかに腐敗しようと、誰も怒らなかった。

 ところが、高度経済成長の終焉から50年。自民党の腐敗と無能は留まるところを知らなかったが、国民は我慢するしかなかった。代わる、マトモな野党第一党が存在しなかったからだ。

 バブル崩壊後の日本は、長いデフレ不況に苦しめられている。時たま小泉純一郎や安倍晋三のような長期政権が生まれると緩やかな景気回復だけはできるが、常に希望は打ち破られる。それでも、非自民党の首相による阪神大震災や東日本大震災は、地獄絵図だった。どこにも選択肢がないなら、災害対策くらいはできる自民党に投票するしかないではないか。有権者の諦念は頂点に達した。

◆選挙は選択肢が二つ以上なければゼロと同じ

 そもそも、選挙は最低でも二つの選択肢がないと、やる意味がない。選択肢が一つならば、いっそのこと一党独裁をやればいい。一党優位で、代わるマトモな野党が存在しない場合、国民は無限大の我慢を強いられる。その成れの果てが、今のコロナ禍だ。結局、選挙において選択肢が二つ以上ないということは、ゼロと同じなのだ。

 多くの良識的な日本人は、立憲民主党に政権を託したいなどとは考えない。そもそも、立民の連中は、本気で政権を獲る気があるのか。本気かどうかはともかく、党首の枝野幸男は本気の恰好だけは見せた。

 国民民主党に大量移籍を強要し、共産党は大量の立候補取りやめの末に選挙協力を求め、社民党やれいわ新選組にも居丈高に振舞った。ここまでやって議席が微増なら、執行部の責任問題だった。ところが現実は、まさかの惨敗。さすがの枝野幸男も、退陣を決意せざるを得なかった。

◆マトモな野党第一党を持てる千載一遇の好機

 選挙結果は、自民党は議席の減らし幅を最小に抑え、261で単独安定過半数を維持。公明党は微増の32。立民は96。共産党も10と微減した。一方で健闘したのが、日本維新の会で41。国民民主党も11と微増。

 有権者の判断は明確だ。代わる選択肢がない以上、「自由公明党」に任せるしかない。しかし、「立憲共産党」に政権を託すのは、真っ平御免だ。

 ここに、「マトモな野党第一党を持てない」宿痾(しゅくあ)を治す、千載一遇の好機が到来した。立憲民主党を、解党してしまえ!

 共産党との野党共闘は、「自公政権を打倒する」の一点で推進させられた。だが、それはありえないとの現実を有権者に突きつけられた。立民は、自民党以上に幅が広い。共産党と喜んで組む者もいれば、何かの間違いで所属している真人間もいる。結局、今の野党共闘など、立憲民主党が野党第一党だから行われているのだ。その前提をぶち壊してしまえばいい。

◆政権を獲る意思も能力も無い野党第一党

 単純計算で、28人が維新に行けば、野党第一党は日本維新の会となる。立民は潔く解党、維新に行きたい者、国民に行きたい者、れいわや共産党に行きたい者に分かれればいいではないか。その方が、すっきりする。

 もはや政権を獲る意思も能力も無い野党第一党には飽き飽きだ。消えてもらうしかない。

 維新の今回の勝因は、自民党との対決姿勢を明確にしたことだろう。安倍・菅の両政権の時代は、自民党の補完勢力としか見られていなかった。ならば、自民党で良いのではないかと有権者に判断されるのは仕方ない。それを今の内閣になり、「岸田首相には改革はできない」と言い切った。「自由公明党」にも「立憲共産党」にも嫌気がさしている有権者の受け皿がようやくできた。

◆政権担当能力のある政党に最も必要なもの

 大健闘したのが国民民主党だ。この党は「野党共闘」の名目で、議員の大量移籍を強要された。だが、それだけに残った議員は選挙に強い。それに日本最大の労働組合である連合の組織力もある。「提言政党」の旗を掲げるだけあって、この党の打ち出す政策は評価されて然るべきだ。

 コロナでも、特措法には違憲の疑いがあると反対に回り、2類から5類へのダウングレード、さらに尾身茂が率いるJCHOの補助金詐欺疑惑にも切り込んでいる。経済でも減税と金融緩和にも理解がある。難点は、発信力の無さだったが、支持率と議席は関係ない。今回、一定の勢力を得たことで、政界の台風の目になる可能性もある。

 自民党に代わる政権担当能力のある政党に最も必要な条件は何か。政策? 組織? 議員の数? それらも大事なのだが、最も大事なのは、「魅力ある党首」だ。

◆魅力ある党首、吉村洋文大阪府知事に他なるまい

 4年前、小池百合子東京都知事が新党を結成、国政に出馬と聞いた途端に、民進党は解党した。連合に支えられた、衆議院96人と参議院60人の政党が消滅した。それだけ当時の小池都知事には「世の中を変えてくれるのでは」との期待があった。

 では、現時点でそのような「魅力ある党首」は誰か。吉村洋文大阪府知事に他なるまい。

 日本維新の会は、実質的な党首がよくわからない。松井一郎大阪市長が代表らしいのだが、2年後の引退を宣言している。では、人気抜群の吉村知事の出番かと思いきや、コロナ対策が終わるまでは知事に専念するとか。国会議員でないと首相の資格はないのだが……。

◆「吉村代表」で一気に政権奪取を狙うべきでは

 しかし衆議院選挙は、誰を総理大臣に選ぶのかの選挙だ。維新は政権を獲る気が無いのか。

 ここは「吉村代表」で勝負! 立憲民主党の真人間を吸収、一気に政権奪取を狙うべきではないのか。

 それとも国民民主党にその機会を譲るなら、話は別だが。

【倉山 満】
’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、「倉山塾」では塾長として、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交についてなど幅広く学びの場を提供している。著書にベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』のほか、9月29日に『嘘だらけの池田勇人』を発売

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