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靴屋のセールストーク“信じてはいけない台詞”3選。長持ち、ラクの基準を疑うべし

日刊SPA! / 2024年2月28日 15時52分

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写真/PIXTA

こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
靴屋も商売なので定番のセールストークがあります。今回、「それ、どうなの?」という謳い文句について一刀両断にします。「一生ものの靴ですよ」「オンオフ兼用ですよ」「このパンプスは走れますよ」。これら3つは注意が必要です。

◆「この靴、一生ものですよ」

昭和の頃から聞くキャッチコピー。お高めの靴を探しているときに囁かれます。100足以上のコレクションがあって、大事にメンテナンスしながらローテーションで履いているうちに主人の寿命が尽きた……なんてことでもない限り、「一生ものの靴」は言い過ぎです。

どんなに大事に扱っても靴の寿命は10年ほど。靴専門店や百貨店などで売られている高額な靴であっても、10年も履けば「履けるけど、みすぼらしい」靴になります。とくにビジネス用のドレスシューズは外見の劣化は致命的。

しかしショップは不況で必死なので「底の張り替えが何回もできるので、半永久的に履けます」などと甘言を弄してきます。嘘ではありませんが、維持費は莫大です。そもそも「半永久的」ってなんでしょうか。

◆「本格製法のグッドイヤー式なので長持ちしますよ」

「一生ものの靴」の根拠が「グッドイヤー・ウェルテッド製法」の靴です。略してグッドイヤー式と呼ばれ、国内外問わず販売価格は3万~20万円と高価な靴です。パーツが多く、手間がかかるので本格靴であることにまちがいはありません。パーツと手間の多さは、実はリペア(修理)を前提につくられているからです。筆者自身、15年以上リペアの現場にいたのでわかりますが、グッドイヤー式の靴は本体に負担がかからないつくりになっているので確かに直しやすい。

ただし、「リペアしやすい=安く済む」わけではありません。メーカーやショップがいうところの「底の張り替え」(オールソール)は、1足で2万円ほどかかります。ヘビーに使うと2年ほどで底に穴が空くので、基本的にはオールソールすることになります。つまり2~3年に一度は都度2万円前後がかかることになります。

「グッドイヤー式の靴=半永久」にはもうひとつグレーな部分があります。本体と底をウェルトという細い革のパーツで縫い合わせるのですが、うまく縫わないとウェルト自体が2~3回のオールソールで使いものにならなくなります。すると今度はウェルトを完全に手作業で新調する必要があり、オールソール2万円とは別にプラス2万円前後がかかります。つまり、10年でかかる維持費は本体とは別に5万~10万円前後になる可能性もあるのです。

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