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「女性用下着業界」が地盤沈下…しまむらの“安価な大量生産商品”の勢いに勝てず――大反響トップ10

日刊SPA! / 2024年3月22日 8時45分

 90年代は付け心地と同時に、下着のファッション性も重視されていました。

◆「女性用下着への支出額」は20年で6割以下に

 しかし、消費者の意識は大きく変化します。ファッション性よりも着心地を求め、下着にかける金額を抑制するようになったのです。

 通販事業を行うフェリシモは、女性下着の意識調査を行っています(「【アンケート結果】コロナ禍におけるインナー&美容意識についてのアンケート」)。それによると、下着購入時に「締め付け感のなさ」や「肌当たりの良さ」を重視する消費者が多くいることがわかります。

 しかも、この傾向はコロナ禍で顕著となりました。在宅勤務や自宅で過ごす時間が増えたことが影響しています。

 女性用下着の支出額もここ20年ほどで大きく変化しました。総務省統計局における家計調査によると、2022年の婦人用下着類の支出額は年間5335円。2000年と比較すると、6割以下の水準まで落ち込んでいます。

◆「しまむらの下着カテゴリ」が伸びている

 消費者は自分の好みや体型に合う下着を多少高くても購入するという意識が薄くなり、付け心地や肌当たりの良いものを安く買いたいと考えるようになったのです。

 この商品に該当するものの一つが、ユニクロやしまむらで1000円から3000円程度で販売されているブラトップです。高い縫製技術は必要なく、大量生産に向いているため、安価で提供できます。

 しまむらの下着カテゴリは、2023年2月期の売上高が前年同期比5.4%増の1073億円でした。コロナ禍で2020年2月期は売上高が1000億円を下回ったものの、その後は増収を重ねています。

 この数字には男性用の下着も含まれているとは言え、しまむらの婦人衣料は売上全体の3割を占めており、紳士衣料は1割程度しかありません。下着も女性から支持されていると見て間違いないでしょう。

 ワコールはこの変化に取り残されました。現在、商品ラインナップを整理していますが、高い技術力やデザイン性が要求される高価格帯に注力するなど、根本的な事業の見直しが必要になるかもしれません。

◆ストッキング市場は4割以下まで縮小…

 時代の変化に取り残されている、もう一つの会社がストッキングのアツギ。2024年3月期は3億円の営業赤字を予想しています。6期連続の赤字となる見込みです。この会社は緩やかに収益力を失って赤字へと転落。そこから抜け出すことができなくなりました。実はワコールよりも遥かに厳しい状況に置かれています。市場が他社に奪われているのではなく、急速に失われているのです。

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