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「中学受験はコスパが悪い」納得の理由。“高偏差値の私立中学”を目指すのは有益な投資ではない

日刊SPA! / 2024年3月31日 15時53分

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―[貧困東大生・布施川天馬]―

◆中学受験に意味はあるのか?
 みなさんは、学歴には意味があると思いますか? 学歴社会を否定する声は数多く上がりますが、私の見ている限りでは、未だにその効力は強い。その証拠として、特に首都圏を中心とした受験ブームは衰えを知りません。

 早くは幼稚園入園以前から受験の準備は始まります。私立の幼稚園に入れて勉強をさせ、私立の小学校に入学。特別なカリキュラムを通して学力を高め、そのまま付属の中高一貫校に進学、さらに上位の大学を目指す……。

 こういった教育を施す親の真意は、「少しでも子どもに良い学歴を身につけさせたいから」だといいます。どこまでが本音かはわかりませんが、根幹をなすのは「子どもに幸せになってほしいから」なのでしょう。

 となれば、中学受験は子どもに幸せになってもらうために最適な手段かを考えなくてはいけません。ただ、私が見る限りでは、どうやらそうも考えられない。

 私は、2月20日に『東大合格はいくらで買えるか?』を上梓しています。本書では、東大生(卒業生含む)100人にアンケートを行い、そこから得られた生の東大生データを元に、様々な角度から東大受験を分析しています。

 今回は、「コスパがいいとは言えない中学受験」についてお伝えします。

◆中学受験の結果と大学受験の結果は関係がない

 そもそも、中学受験の結果は、大学受験に影響しているのでしょうか?

 今回、私が東大生に取ったアンケートでは、100人中38人が中学受験をしていないと回答しています。確かに、60%は中学受験をしており、これは高い数字でしょう。

 ですが、そもそも東大には毎年3,000人しか入れません。中学受験時の偏差値や、その人口を考えると、もしも中学受験と大学受験に強い相関があるのであれば、東大合格者のほとんどが中学受験経験者になってもおかしくはない。

 では、なぜ40%もの中学受験未経験者が東大に入学できているのか。それは、中学受験時の偏差値、学力と、大学受験には何の関係もないからでしょう。

 実際に、これを証明する研究もあります。現在、東大教授を務められている近藤絢子先生が2014年に発表した研究「私立中高一貫校の入学時学力と大学進学実績―サンデーショックを用いた分析」によれば、中学入学時の、その中学校の偏差値と、大学受験の結果には、何の相関関係もないことが示されています。

 近藤先生は、大学進学実績を決めるのは、中学受験時の偏差値ではなく、中学進学後の教育によるものが大きいと予想されています。そのため、逆説的に進学校進学の有用性が示されていると考えられています。

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