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キリン「氷結無糖」の“成田悠輔氏”広告取り下げが起こった本当の理由

日刊SPA! / 2024年4月6日 8時51分

◆必要だったのは「覚悟」

 もし、氷結無糖のブランド戦略に「覚悟」があった場合、どんなことが起こっていたのだろうか? 松下氏は、広告取り下げが起こらなかったこと以外に、「ピンチをチャンスに変える絶好の機会でもあったため、双方のブランディング向上に寄与できたはず」と推測している。

「『今の世の中を甘いと思ってる人』『もっと爽やかに、クールに生きていきたい人』に向けた新商品だと明確になっていたら、成田さんの人選は正しかったと思います。確かに、彼はセンセーショナルな発言をしましたが、その根底にあるのは、新陳代謝が悪くなることからさまざまな問題が発生している現代社会への危惧の念です。

 発言の裏側にある真意を捉えた上で、成田さんの人となりを理解していたら、広告は取り下げなかったでしょう。また。SNSで批判の声が上がったとしても、きちんと説明できたはずです」

◆ピンチをチャンスにできなかった

「例えば……氷結無糖のイメージキャラクターを成田さんに依頼した理由は、成田さんの考え方や生き様を見て、氷結無糖を飲んでいただきたいと思ったからです。彼の言動には、やや不適切な部分があるのは否めないが、その根幹にあるものには共感しています。

 こういった内容を含んだ発表があったらどうでしょうか? 『氷結無糖はブランドのことも成田さんのこともきちんと理解している』、『成田さんは、ちゃんとした信念を持っている人なんだ』。そんなふうに思いませんか?」

 氷結無糖は、無糖ジャンルで圧倒的なブランドになろうと考えて尖った広告を出した。しかし、それだけの覚悟を持っていなかったために、万人に愛される路線から尖ったものが好きな人たち路線に変更しきれていなかったのだろう。そして、万人に受け入れられなかったために、広告取り下げに至ったのだろう。

「当たり前のことですが、万人に受け入れられる路線を進み、誰からも愛される商品になりたいのなら、主張のはっきりした著名人をイメージキャラクターに人選するべきではありませんでした。しかし、万人受けを狙った場合は、別の問題が発生する可能性があるのも否めません」

◆コモディティ化・価格競争を避けるために

 松下氏の指摘する「万人受けを狙った際に起こる問題」とは、様々な産業で問題視されているコモディティ化だ。

「戦後、至るところでモノが不足していた日本では、どの産業でも量産することが大きな命題でした。ニーズがあるため、作った分だけ売れるという経験をした日本経済は、高度成長期に入ると、次々と前作よりも性能のいい商品を製造・販売しました」

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