「あおり運転をしてきた軽自動車」に下った天罰。対向車からガテン系の男性が降りてきて…

　2人は、グッと我慢して走行を続けた。スペースを見つけたときには端に寄って止まり、軽自動車と間隔を空けようとしたこともあったが、思うようにいかない。軽自動車もサッと2人の車の前で停車して動かなくなるのだ。

「車から降りてきても怖いので、走行するしかありません。軽自動車は、そんな私たちを面白がっているかのようにイチャイチャしながらノロノロ運転を続けていました。まわりを走る車もいないので、やりたい放題です」

◆運転手が前に向き直った瞬間…！

　ところがそんなとき、助手席に乗っていた酒井さんは、前方に見えるクネクネとした山道のずっと向こうから走行してくる対向車の姿をチラリと捉えていた。そしてすぐにSさんに対向車の存在を知らせる。

「Sは相当イライラしていたので、『とにかく落ち着いて！ このまま軽自動車の後ろを走ってたら、事故に巻き込まれるかも』と諭したのです。Sがしぶしぶ車を道の脇に停めると、軽自動車の運転手は、速度を落として前に向き直りました」

　酒井さんは、「また車を停止して、私たちに嫌がらせをしようと考えたのではないか」と推測する。そして、軽自動車の運転手が前に向き直ったと思った次の瞬間……。軽自動車が対向車の方向に、猛スピードでぶつかっていったのだ。

「パーンッ！と大きな音が響き渡ったかと思うと、破片のようなものがこちらに吹き飛んできてビックリ。軽自動車は、対向車のミラーに思いっきりぶつかったようです。前に向き直ったとき、対向車に気づいてアクセルとブレーキを踏み間違えたのかもしれません」

◆軽自動車が衝突した車からガテン系ニキが…

　そして酒井さんは、「ちょっと面白かったのが、私たちを煽ってきていた軽自動車のミラーは折れてぶら下がる状態まで破損していたのに、対向車のミラーには傷がついている程度だったのです」と、当時を振り返る。

「軽自動車が止まると同時に、対向車からガテン系のお兄さんが降りてきて発狂していました。お兄さんに『目撃者として証言してほしい』と頼まれたため、あおり運転の一部始終を警察に話すことができ、スッキリ。正直、いい気味だと思ってしまいました」

　軽自動車の運転手は、警察からこってり叱られていたというが、「怒りに任せてピッタリくっついて運転していたら、ミラーの破片で車が傷つくなど、巻き込まれていたかもしれません」と、酒井さん。たとえイラっとしても、未来の自分のために冷静な判断をしたいものだ。

＜TEXT／夏川夏実＞

【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter：@natukawanatumi5

―［シリーズ・危険!あおり運転］―