『週刊ベースボール』での手記が球団批判と取られ…… ドジャース戦法を取り入れた川上哲治と広岡達朗の確執前夜
日刊SPA! / 2024年4月8日 15時50分
『92歳、広岡達朗の正体』が各書店で発売中
現役時には読売ジャイアンツで活躍、監督としてはヤクルトスワローズ、西武ライオンズをそれぞれリーグ優勝・日本一に導いた広岡達朗。彼の80年にも及ぶ球歴をつぶさに追い、同じ時代を生きた選手たちの証言や本人談をまとめた総ページ数400の大作『92歳、広岡達朗の正体』が発売直後に重版となるなど注目を集めている。
巨人では“野球の神様”と呼ばれた川上哲治と衝突し、巨人を追われた。監督時代は選手を厳しく律する姿勢から“嫌われ者”と揶揄されたこともあった。大木のように何者にも屈しない一本気の性格は、どこで、どのように形成されたのか。今なお彼を突き動かすものは何か。そして何より、我々野球ファンを惹きつける源泉は何か……。その球歴をつぶさに追い、今こそ広岡達朗という男の正体に迫る。
(以下、『92歳、広岡達朗の正体』より一部編集の上抜粋)
〜読売巨人軍編〜
◆大きな転換期となった〝ドジャース戦法〟
「川上哲治という人は〝打撃の神様〟ではあったが〝野球の神様〟ではなかった」
これが、広岡から見た川上評だ。川上は自分が勝者になるためなら何でもやる個人主義者。打撃の神様であると同時に野球の悪魔でもあった。
川上哲治という人間を知る端的なエピソードがある。太平洋戦争を経験している川上は「銃弾の雨の中を潜り抜ければ、無の境地を会得できて打撃に生かせるのではないか」と 戦地へ行くことを心待ちにしていたという。野球技術向上のため戦争へ赴きたいという思考回路を持つ人間が、他人とまともに交われるはずがない。
「川上さんは熊本工業から巨人に入って、相手から自分になびいてくるのはいいけれど、 自分から引き入れようとする勇気がないね」
現役時代は互いに牽制し、衝突を繰り返していた川上が六一年に監督就任。その三年後に確執の決定打となる「長嶋ホームスチール激怒事件」が起きてしまう。
「ホームスチール事件の前に『週刊ベースボール』で手記を書いてくれと頼まれたことがあった。球団にお伺いを立てて〝大丈夫〟と言われたから三回の連載を書いた。あの試合のときはこうやるべきだったとか、俺だったらこうするといった自分なりのドジャース戦法の分析と戦術を書いたつもりだったが、それがまずかった」
球団側も了承したので「それならば」と書いたことが、機密事項の漏洩、球団批判と取られてしまった。正しいこと、間違っていることをきちんとそれぞれ分析したことを手記にした。書く以上は持論を交えて戦術・戦略を解析し改善点も記した。それが逆鱗に触れたのだ。
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